2020-01-01から1年間の記事一覧
// リンク ひとりの女性が突然行方不明になる。女性の名前はサブリナ・ギャロ。しばらくして、新聞社などにスナッフビデオが届くとメディアやネットが騒然とする。メディアによる執拗なまでの取材攻勢。SNSを中心にネットに拡散する誹謗中傷デマ。それはまさ…
// リンク 国書刊行会の『世界探偵小説全集』第5巻。学校の終業式を目前にして起きた女子生徒の失踪事件。最初はちょっとした不祥事と思われていたが、ふたりの教師が相次いで殺害されたことで重大事件へと発展する。事件の解決に乗り出すのは、終業式の来…
// リンク 主人公稲葉明日実(わたし)は小学4年生。もうすぐ夏休みになるというのに、母さんが事故で足を骨折し入院してしまう。 「ユタとハルねえがいないあいだ、明日実ちゃんをどうするのか」 「ユタ」は父さん、「ハルねえ」は母さんのニックネームだ。…
// リンク 『はじめての海外文学vol.5』で訳者の宮坂宏美さんが推薦している作品です。「ジュディ・モードとなかまたち」シリーズの第1巻になります。 主人公のジュディ・モードは、小学3年生です。物語は、夏休みが終わって新学期がはじまるという朝の場面…
// リンク 『世界探偵小説全集』の第4巻。最近では「アンリ・バンコラン」シリーズが東京創元社から和爾桃子さんの新訳で刊行されているジョン・ディクスン・カーがカータ・ディクスン名義で発表したヘンリーメリヴェール卿(H.M卿)シリーズの一冊。 事件…
// リンク 「あのね、おばあちゃん。ぼくもマーメイドなんだ」 プールからの帰り道、ジュリアンはマーメイドの姿をしたおねえさんたちと出会います。ジュリアンはマーメイドが大好きです。きれいなおねえさんたち見て、自分がマーメイドになった姿を想像しま…
// リンク ある日突然庭にあらわれたぽんこつロボット『タング』を中心に、ベンとエイミーのチェンバーズ夫妻が、ひとり娘のボニー、前作「ロボット・イン・ザ・ハウス」でチェンバーズ家の一員となった卵型ロボットのジャスミンを巡って奮闘するシリーズの…
// リンク “ルシッド・ドリーム”とは、自らで「これは夢だ」と自覚して見る夢のことであり、“明晰夢”とも言われる。本書は、そのルシッド・ドリームを題材とした様々な人間模様の描かれる連作短編集である。 八丁堀の駅近くで開催されるルシッド・ドリーム・…
// リンク 中学生、高校生くらいの頃、学校に代々語り継がれてきた噂話があったという人は多いだろうか。夜中になると自殺した生徒の霊が出るといった怪談話もあれば、◯◯年の卒業生が在学中に先生と駆け落ちしたみたいな話もあるかもしれない。 「放課後にシ…
liondo.thebase.in ときどき、「この人、いったいいつ寝てるんだろう?」と不思議に思う人がいる。竹田さんはそういう不思議な人の筆頭に位置している(私の中で)。 竹田さんは、赤坂にある『双子のライオン堂』という本屋の店主だ。本書「めんどくさい本屋…
// リンク 国書刊行会『世界探偵小説全集』の第3巻。著者はイギリスのミステリー作家フィリップ・マクドナルドで、アントニー・ゲスリン大佐を探偵役とする作品である。 アメリカ人の劇作家シェルドン・ギャレットは、自分が書いた芝居「賢者の休日」が公演…
// リンク ニュースの伝え手よ、目的地ばかり見ようとするな。そこまでの旅に常に目を向けよ。 ヴィンス・ヴォーター「コピーボーイ」は、吃音の少年ヴィクターのひと夏の経験を描いた「ペーパーボーイ」から6年後の物語だ。 17歳になったヴィクターは、メ…
// リンク 「薔薇荘にて」に続く国書刊行会の『世界探偵小説全集』の第2巻。全集全体の中で最初に配本された作品となる。著者は、「毒入りチョコレート事件」などの作品で知られるアントニイ・バークリーで、原著は1930年に刊行された。ちなみに本書の刊行…
// リンク 突然、ひとりの男の目が見えなくなるところから物語は始まる。信号待ちをする車の列。横断歩道を行き交う人の波。やがて信号は赤から青に変わるが1台の車が動き出さない。不審に思った人々が集まってくる。運転席の男がなにか叫んでいる。 目が見…
// リンク 新型コロナウィルスが世界中で猛威を奮っている。もちろん、日本も例外ではない。ウィルスには、人種とか国とか貧富の差とか、そういう垣根がない。世界中の誰もが感染する可能性がある。いま、こうしてレビューを書いている私にも感染リスクはあ…
// リンク 味噌味に仕込んたどて煮込みが名物の老舗居酒屋「トラとミケ」を切り盛りするのは、姉トラと妹ミケのばーちゃん姉妹。父の代から受け継いだどて煮は、朝挽きの新鮮なホルモンを丁寧に仕込んだ逸品だ。夕方になると常連客たちが続々と集まってきて…
// リンク // リンク // リンク 冷徹な殺人機械のはずなのに、弊機はひどい欠陥品です。 上巻の帯にも書かれている一節は、物語冒頭の一文に登場する。自らを“弊機”と称する人型警備ユニットは、かつて重大事件を起こしたが、現在はその記憶は消去されている…
// リンク 国書刊行会の『世界探偵小説全集』は、1994年にスタートして全4期で48巻が刊行された叢書シリーズだ。1900年代初頭から1950年代の探偵小説を集めてたシリーズになっている。 「薔薇荘にて」は第1期シリーズの第6回配本で、全集全体での第1巻となる…
// リンク ある日突然子どもが行方不明になる。子どもの神隠しを昔は『天狗さらい』といって、天狗が子どもをさらっていったと考えられていたという。平田篤胤の「仙境異聞」は、江戸文政年間に天狗にさらわれたといわれる寅吉という少年の記録である。 栗林…
// リンク 4月刊行予定のラーラ・プレスコット「あの本は読まれているか」を発売前のプルーフ版で読む機会をいただきました。訳者の吉澤康子さん、版元の東京創元社さん、ありがとうございます。 本書は、デビュー作としては破格の200万ドル(約2億円)で出…
「ニジノ絵本屋さんの本 本屋さんで、出版社で、絵本パフォーマー。」いしいあや文、小林由季イラスト/西日本出版社-絵本屋、出版社、パフォーマーと、さまざまな顔を持つ『ニジノ絵本屋』はこうしてできあがった
// リンク 『ニジノ絵本屋』は、東京東横線の都立大学駅近くにある絵本専門書店です。2011年にわずか1.5坪の小さなスペースからスタートして、2017年に現在の店舗に移転しました。 nijinoehonya.com 本書「ニジノ絵本屋さんの本」は、ニジノ絵本屋代表のいし…
// リンク 「人は広場に出なければ生きられない」 著者は本書の前書きをこう書き始めている。そして、「しかしその反面、人間は密室に引きこもらずには生きられない動物だ」と記す。 訳者あとがきによると、「広場」は、1960年に雑誌「夜明け(セビョク)」…
// リンク 遠く水平線が広がる海原に、ぎっしりと大勢の人を乗せたちっぽけな小舟が浮かんでいる。舟にはひとりの少女が大人たちと肩を寄せあって窮屈そうに座っている。やがて、おとなしかった海は波の荒れ狂う海へと姿を変え、ちっぽけな小舟はその波に飲…
// リンク 1793年のスウェーデンを舞台に、労咳(肺結核)を病んでいる法律家セーシル・ヴィンゲと、ロシアとの戦争に従軍して左腕を失い義腕となった引っ立て屋ミッケル・カルデルがコンビとなって猟奇殺人事件の謎に挑むミステリ小説。 著者はあとがきで、…
// リンク 南米チリの作家ロベルト・アンプエロの私立探偵カジェタノ・ブルレを主人公とするシリーズの第6作にあたるミステリ作品。 タイトルにもなっている“ネルーダ”とは、チリの詩人でノーベル賞作家のパブロ・ネルーダのこと。物語は、カジェタノが探偵…
// リンク 文学を中心に韓国なさまざまな本を翻訳紹介している出版社『クオン』が手掛ける『きむふなセレクション・韓国文学ショートショート』シリーズは、1篇の短篇小説の日本語訳と韓国語原文を両方掲載し、かつ韓国語の朗読音声をYoutubeで視聴すること…
// リンク 『ワイドスクリーンバロック』という言葉をご存知だろうか。 2020年1月に大阪の梅田蔦屋書店で開催された「はじめての海外文学スペシャルin大阪」イベントに登壇された翻訳家増田まもるさんのプレゼンで知った言葉だ。物語をいかに大きくいかにと…
// リンク ひとり出版社『夏葉社』の島田潤一郎さんが、ご自身が夏葉社を立ち上げるまでの日々や立ち上げてからのさまざまな出来事を綴った本。 「古くてあたらしい仕事」というタイトルが秀逸だ。出版業界はかなり以前から斜陽産業と言われ続けていて、特に…
// リンク 「アガサ・クリスティの『オリエント急行の殺人』と『アクロイド殺し』と『カーテン』を合わせたくらいの大大大どんでん返し」「ミステリ通を自認するならこの作品を知らないのはモグリ」 『はじめての海外文学スペシャルイベント』で壇上に立った…
// リンク はじめて読むジャンルの作品。著者サンドラ・ブラウンは『ロマンス小説』の第一人者で、60作以上の作品を発表していて大半がベストセラーになっている。 本書「赤い衝動」もロマンス小説だが、ミステリ小説としての要素が高く、非常に読み応えがあ…