タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

上巻を読んだだけではわからなかった。最後まで読むことで胸に入る人間の生きる道のようなもの-西加奈子「サラバ!」

大変な誤解をしていた。それが、西加奈子「サラバ!」の下巻を読み終わっての感想だった。 サラバ! 上 作者: 西加奈子 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2014/10/29 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る サラバ! 下 作者: 西加奈子 出版社/…

ミステリーとしては凡庸。ギミックだらけのパズル小説−長江俊和「出版禁止」

この本、売れてるらしい。そうなると気になるのがミーハーの心情ってもの。でも、自分で買ってまだ読みたいかとなれば、そこまででもないわけで、今回は図書館で借りてみた。 出版禁止 作者: 長江俊和 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2014/08/22 メディア:…

いっそ気持ちいいくらいにケチョンケチョン(笑)-坂口安吾「『刺青殺人事件』を評す」

高木彬光は、そのデビュー作である「刺青殺人事件」が推理小説の権威である江戸川乱歩に高く評価され、一躍推理小説界の雄となった。探偵・神津恭介を主人公とする本格推理小説や、検事・霧島三郎、弁護士・百谷泉一郎を主人公とする社会派のミステリーシリ…

これはフィクションだ。ただし、限りなくリアルに近いのかもしれない-月村了衛「土漠の花」

日本の自衛隊は、世界各地で人道支援のための活動に従事している。また、日本という国自体が、人道支援を目的として紛争周辺地域の国々などへと多額の資金援助を表明しており、そのことが世界的に評価されていたり、反感を買っていたりする。 土漠の花 作者:…

新しい!これほどにそそらないグルメマンガの登場-九井諒子「ダンジョン飯(1)」

「孤独のグルメ」がきっかけだろうか、最近はグルメマンガがすっかりブームとなっている。「深夜食堂」や「ワカコ酒」がドラマ化、映画化されるなど、このブームはまだまだ衰えることはなさそうだ。 ダンジョン飯 1巻 (ビームコミックス(ハルタ)) 作者: 九…

お好み焼きだけじゃない、広島グルメ満載の1冊。ワカコも出るよ!-新久千映「新久千映のまんぷく広島」

広島グルメといって思いつくもの。広島風お好み焼き、牡蠣、穴子、もみじまんじゅう。どれも全国的に知られた定番グルメで、今はわざわざ広島に行かなくても食べられる。でも、他にもきっと何か地元でしか味わえない美味しいものがあるんじゃないだろうか。 …

子供が誘拐された!でも全員揃ってる。じゃ、誘拐されたのは誰?-連城三紀彦「小さな異邦人」

「誘拐物」というジャンルの小説は、だいたいのパターンが出尽くしていると思う。それだけに、誘拐物の小説には印象に残る面白い作品が多いと感じる。例えば高木彬光の「誘拐」であり、例えば井上夢人の「99%の誘拐」であり、西村京太郎の「華麗なる誘拐…

出るぞ必殺倍返し!大臣相手だって容赦しないぜ!-池井戸潤「銀翼のイカロス」

頭の中はすっかり堺雅人なのである。 銀翼のイカロス 作者: 池井戸潤 出版社/メーカー: ダイヤモンド社 発売日: 2014/08/01 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (31件) を見る 銀翼のイカロス 作者: 池井戸潤 出版社/メーカー: ダイヤモ…

信頼、愛情、そして友情。スコットとマギーのトラウマと絆-ロバート・クレイス「容疑者」

犬バカならプロローグのピートとマギーの場面を読んだだけで、グッと胸が詰まるだろう。 容疑者 (創元推理文庫) 作者: ロバート・クレイス,高橋恭美子 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2014/09/20 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (9件) を見る 容…

「全共闘世代」と呼ばれた人たちって、きっと誰もがスズキさん的な熱さを持っていたのかもしれない−矢作俊彦「スズキさんの休息と遍歴−またはかくも誇らかなるドーシーボーの騎行」

かつてこの国には、国家という強大な権力に対して敢然と立ち向かう若者たちがいた。彼らは「全共闘世代」と呼ばれ、安保闘争、ベトナム戦争反対運動、成田闘争などを繰り広げ、警官隊、機動隊との衝突を繰り返した。 スズキさんの休息と遍歴―またはかくも誇…

歴史に名を刻めなかった人たちの記録-ポール・コリンズ「バンヴァードの阿房宮 世界を変えなかった十三人」

2014年は、STAP細胞を巡る騒動が印象に残った1年だった。華々しい発表会見から始まり、論文内容や実験データに対する疑惑、研究者の死、そして検証実験の結果、再現されることのなかったSTAP現象。わずか1年に満たない間に科学界の明と暗を一気に見せられた…

旅は道連れ、ワンコも一緒!-片野ゆか「旅はワン連れ ビビり犬・マドとタイを歩く」

犬を飼っていると、どんなところでも犬を連れて出かけたくなるし、実際に連れ歩いてしまう。私も、今の犬を飼ってからは車に乗せて北は青森から南は四国まで出かけている。でも、さすがに海外に犬を連れて行くという発想はなかった。 旅はワン連れ (一般書) …