タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

2019-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「バット・ビューティフル」ジェフ・ダイヤー/村上春樹訳/新潮社-ミュージシャンたちのエピソードの数々は、ジャズに興味をもつ入口になると思う。

// リンク 音楽にはあまり詳しくない。ジャズについても、そういう音楽のジャンルは知っていても、どういうプレイヤーがいたのかなどはよくわからない。だから、『はじめての海外文学vol.4』で金原瑞人さんが、本書「バット・ビューティフル」を推薦していな…

「路上のストライカー」マイケル・ウィリアムズ〔著〕/さくまゆみこ〔訳〕/岩波書店-独裁政権に家族を殺され、命がけで逃げ込んだ南アフリカでは外国人として憎悪の対象となったデオ。彼を救ったのはサッカーだった。

// リンク サッカーは、アフリカで人気のスポーツだという。ボールひとつあればどこでも楽しめるし、ボールがなくても新聞やビニールを集めて丸めたものをボールに見立てればよい。 マイケル・ウィリアムズ「路上のストライカー」も、サッカーを題材にした物…

「わたしはイザベル」エイミー・ウィッティング〔著〕/井上里〔訳〕(岩波書店)-毒親に否定され続けたイザベルを救ったのは読書だった。言葉を得ることでイザベルは成長する。

// リンク 毒親とは、過干渉や暴言・暴力などで、子どもを思い通りに支配したり、自分を優先して子どもを構わなかったりする「毒になる親」のことを言う。 これは、2019年4月にNHKの「クローズアップ現代」で放映された『毒親って!? 親子関係どうすれば・…

「ある奴隷少女に起こった出来事」ハリエット・アン・ジェイコブズ〔著〕/堀越ゆき〔訳〕/新潮社〔文庫〕-奴隷として生まれ、奴隷として生きることを運命づけられた少女は、自らの自由を求めて闘った

// リンク わたしは奴隷として生まれた。 その短い言葉から、ひとりの黒人奴隷少女の闘いの記録は始まっている。 「ある奴隷少女に起こった出来事」は、いまからおよそ150年前の1861年に刊行された作品である。その内容は、あまりに衝撃的で、これがノンフィ…

「新装版プラテーロとわたし」J.R.ヒメナス・著/伊藤武義、伊藤百合子・訳/長新太・絵(理論社)-嬉しいことも、楽しいことも、悲しいことも、ささやかな日々のことも、いつもプラテーロがそばにいた。

// リンク プラテーロは、小さくて、ふんわりとした綿毛のロバ。あまりふんわりしているので、そのからだは、まるで綿ばかりでできていて、骨なんかないみたいだ。けれど、その瞳のきらめきは、かたい黒水晶のカブト虫のよう。 J.R.ヒメナス「プラテーロとわ…

「刑罰」フェルディナント・フォン・シーラッハ著/酒寄進一訳(東京創元社)-小説を書くことがシーラッハ氏が自らに課した『刑罰』なのかもしれない。

// リンク 「犯罪」「罪悪」に続くフェルディナント・フォン・シーラッハの短編集シリーズの第3作にして完結編となる作品である。モニター募集に当選して、刊行前のゲラの段階で読む機会をいただいたのだが、本格的なレビューを書くのが刊行後になってしまっ…

「お砂糖とスパイスと爆発的な何か 不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門」北村紗衣・著(書肆侃侃房)-フェミニスト視点で古今東西の小説、映画、舞台を論じる。視点を絞ることで見えてくる作品の新しい世界に興味津々。

// リンク 発売前からTwitterで話題になっていて、「なんだか面白そう」と思っていた北村紗衣「お砂糖とスパイスと爆発的な何か」を読んだ。思っていた通り、いや思っていた以上に面白かった。 「お砂糖とスパイスと爆発的な何か」は、Webメディア『wezzy』…

「観光」ラッタウット・ラープチャルーンサップ〔著〕/古屋美登里〔訳〕(早川書房)-タイという国が内部に有する影をみせてくれる短編集

観光 (ハヤカワepi文庫) 作者: ラッタウットラープチャルーンサップ,Rattawut Lapcharoensap,古屋美登里 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2010/08/30 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 59回 この商品を含むブログ (28件) を見る 『微笑みの国』と呼ば…