タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

2016-01-01から1ヶ月間の記事一覧

戌井昭人「のろい男ー俳優・亀岡拓次」(文藝春秋)-安田顕主演で映画化!亀岡拓次をどう演じるのか楽しみだなぁ~

《名脇役》と呼ばれる役者がいる。 映画やテレビドラマで渋く脇を固める貴重なバイプレーヤー。その存在は主役の芝居を引き立てる。それでいて、その役者自身が目立つことはない。だけど、妙に存在感があって、つい気になってしまう存在なのである。 のろい…

大月悠祐子「ど根性ガエルの娘」(KADOKAWA)-アイディアに行き詰まって失踪するのは漫画家の宿命なのか?

漫画家って、創作に行き詰まると失踪するものなのだろうか? 大月悠祐子「ど根性ガエルの娘」を読んでの第一印象はそのことだった。 ど根性ガエルの娘 (1) 作者: 大月悠祐子 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス 発売日: 2015/11/26 メデ…

青山文平「つまをめとらば」(文藝春秋)-世の中は人と人が関わりあうことで回っている。

世の中は、人と人との関係で成り立っている。 夫婦関係、友人関係、親戚関係、等々。人間というのはいつも誰かと関係を有し、その関係の中で生きている。 つまをめとらば 作者: 青山文平 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2015/07/08 メディア: 単行本 こ…

オ・ジョンヒ「鳥」(段々社)-訳ありな人たちが暮らす長屋は姉弟にとっての鳥籠。自由であるかのように見えて囚われている小鳥たち

オ・ジョンヒ「鳥」は、11歳の姉・宇美(ウミ)と9歳の弟・宇一(ウイル)の物語。姉・宇美の視点で語られる。 鳥 (“アジア文学館”シリーズ) 作者: オジョンヒ,文茶影 出版社/メーカー: 段々社 発売日: 2015/11 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る…

滝口悠生「死んでいない者(文學界2015年12月号掲載)」(文藝春秋)-亡くなった老人の通夜の席に集まった親戚一同それぞれの人生模様

お通夜や葬儀の席というのは、どうにも居心地が悪い。 両親世代が70代、80代という年齢に差し掛かってくると、親戚縁者の不幸には、それなりに遭遇するするもので、そのたびに親戚一同が集まることになる。 お通夜の夜に、通夜振る舞いの席に集まってくれた…

イアン・マキューアン「未成年」(新潮社)-信仰という危うさを抱えた少年と家庭という危うさを抱えた女性裁判官の危うく静かな関係

世の中には、様々な宗教があり、それぞれに強い信仰心を有する信者がある。ときに、それは過激な方向に進み、悲劇を生み出すことがある。一方で、信仰がその人の心を平穏をもたらすこともある。 未成年 (新潮クレスト・ブックス) 作者: イアンマキューアン,I…

本谷有希子「異類婚姻譚(群像2015年11月号掲載)」(講談社)−とある夫婦の身に起こる不可思議な変化。怖いけどどこか笑えるホラー小説

“似た者夫婦”という言葉がありまして、長年連れ添ったご夫婦というのは、食の好みだとか、物事の考え方だとかがなんとなく似てくるものなんだそうです。なるほど、言われてみれば私の周囲にも、よく似たご夫婦がいらっしゃいますな。ま、ひとりもんの私には…

ピエール・ルメートル「悲しみのイレーヌ」(文春文庫)-戦慄の猟奇連続殺人の残酷さが、ラストに待ち受ける衝撃を助長させる。はっきりいって、かなりのイヤミス

2014年の翻訳ミステリーは、1冊の本が話題と評価を独占した。ピエール・ルメートル「その女アレックス」である。 「その女アレックス」は、パリ警視庁犯罪捜査部の警部であるカミーユ・ヴェルーヴェンが活躍する作品だが、そのカミーユ・ヴェルーヴェン警部…

セサル・アイラ「文学会議」(新潮社クレスト・ブックス)-1回読んだだけじゃ理解できないから、2回以上読むのがオススメです

2015年の読み納めで、セサル・アイラ「わたしの物語」を読んだ際に、「2016年の読み初めには、アイラの『文学会議』を読もう」と宣言したとおり、2016年のレビュー第1号は、セサル・アイラ「文学会議」です。 文学会議 (新潮クレスト・ブックス) 作者: セサ…

セール終了間近! 光文社古典新訳文庫Kindle版半額セールで私が買った作品たち

新年あけましておめでとうございます。この記事が2016年の初記事となります。今年もぼちぼちと更新していければと思っております。 さて、この年末年始はどう過ごされましたでしょうか? 帰省された方。旅行に出かけられた方。家でのんびりと過ごされた方。…