タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

2016-05-01から1ヶ月間の記事一覧

【書評】樫原辰郎「『痴人の愛』を歩く」(白水社)-谷崎が好きで好きで好きでたまらないからこそのマニアックな谷崎論を刮目して読め!

谷崎潤一郎は、昨年(2015年)に没後50年となり著作権保有期間が終了した。今年に入ってから青空文庫などにその作品が続々と公開され、誰もが気軽に読めるようになっている。 『痴人の愛』を歩く 作者: 樫原辰郎 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2016/03/12…

【書評】久住昌之「昼のセント酒」(カンゼン)-みんなが働いている平日の昼間、ゆっくりと銭湯につかり、風呂あがりには冷たい生ビール。そんな背徳的な誘惑に勝てっこない!

毎日、何かに追い回されているような気がする。仕事に追い回され、ローンの支払に追い回され、絶世の美女に追い回され…ることは残念ながらない(笑)。 昼のセント酒 作者: 久住昌之 出版社/メーカー: カンゼン 発売日: 2013/09/25 メディア: Kindle版 この…

【書評】ヨハンナ・シュピリ「ヨハンナ・シュピリ初期作品集」(夏目書房新社)-「アルプスの少女ハイジ」原作者のデビュー作を含む初期の作品集

ヨハンナ・シュピリという作家をご存知だろうか。 ヨハンナ・シュピリ初期作品集 作家の名前は知らなくても、彼女の作品にはなじみがあると思う。 「アルプスの少女ハイジ」だ。私の年代だと、小説作品というよりは、テレビアニメの方がなじみ深い。最近では…

【書評】隆慶一郎「隆慶一郎全集7 かくれさと苦界行」(新潮社)-吉原vs.裏柳生、神君御免状を巡って繰り広げられる対立の決着はいかに?

デビュー作でもある前作「吉原御免状」の翌年に発表された続編が本書「かくれさと苦界行」である。 隆慶一郎全集第七巻 かくれさと苦界行 (第4回/全19巻) 作者: 隆慶一郎 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2009/12/22 メディア: 単行本 この商品を含むブログ…

【書評】太田和彦「太田和彦の東京散歩、そして居酒屋」(河出書房新社)-東京の街で楽しむ大人のための散歩ガイド

4月27日に、東京・神楽坂にあるイベントスペース「la kagu(ラカグ)」で行われたトークイベント『太田和彦「ぼくたちはこんな(に)居酒屋で呑んできた」』に行ってきました。居酒屋探訪家である太田和彦さんの著書「ひとり飲む、京都」が新潮文庫化された…

【書評】吉田覚「働かないふたり」(新潮社)-あぁ、憧れ?の働かなくても生きていける暮らし

できることならば、働かずに暮らしたい。でも、たいていの場合、働かなければ生活のためのお金を得ることができないから、多くの人は働くことを余儀なくされる。 働かないふたり 1巻 作者: 吉田覚 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2014/12/12 メディア: Kin…

【書評】阿部潤「忘却のサチコ」(小学館)-美味い食べ物はすべてを忘れさせてくれる

強いストレスを感じたり、どうしようもなく辛いことがあったり、激しく後悔したくなるような失敗をしてしまったとき、そのすべてを忘れてしまいたいと思ったことがある。 忘却のサチコ(1) (ビッグコミックス) 作者: 阿部潤 出版社/メーカー: 小学館 発売…

【書評】カレン・ラッセル「レモン畑の吸血鬼」(河出書房新社)-著者はよく「どうしてこんなアイディアを思いつくのか」と聞かれるらしい。聞きたくなる気持ちがよくわかる

吸血鬼って、どういうイメージだろう? レモン畑の吸血鬼 作者: カレン・ラッセル,松田青子 出版社/メーカー: 河出書房新社 発売日: 2016/01/26 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (5件) を見る 永遠の命を有し、美女の生き血をすすり、太陽の光を嫌い…