2019-01-01から1年間の記事一覧
// リンク 子どもがなにか良いことをしたとき「○○ちゃんはおりこうさんだね!」とほめられる。だけど、度を過ぎてかしこいと逆にムッとしてしまうことがある。子どもというのは、適度におバカで、適度にかしこいくらいが大人から見ると可愛かったりするのだ…
// リンク 『はじめての海外文学vol.5』で訳者の芹澤恵さんが推薦している作品。南アフリカ生まれのイギリス人作家によるキャス・ハンター名義での初の著作にあたる。 AI研究機関〈テロス〉でアンドロイド開発に携わっていたレイチェル・プロスパーは、夫の…
// リンク 動物を相手にセックスをする。多くの人は、そのような性的嗜好を持つ人たちを変態と感じ、嫌悪するだろう。私もそうだ。 濱野ちひろ「聖なるズー」は、大学院で文化人類学におけるセクシャリティ研究に取り組む著者が、ドイツの世界唯一の動物性愛…
// リンク エドワード・ケアリー著/古屋美登里訳「おちび」(原題は『Little』)は、アイアマンガー3部作(「堆塵館」「穢れの町」「肺都」)から2年、エドワード・ケアリーファン待望の新刊だ。実に執筆に15年を費やしたという長編小説は、マダム・タッ…
// リンク 『多田尋子作品を読む』の第6弾。「臆病な成就」を読んだ。表題作を含む3篇が収録されている。 臆病な成就慰撫白蛇の家 ※第102回芥川賞候補(1989年下期) 1988年、1989年は、多田尋子の作品に対する評価が一気にあがった時期といえるだろう。「単…
// リンク 『多田尋子作品を読む』の第5弾。多田尋子の商業誌デビュー作「凪」を含む4篇が収録された短編集「裔(すえ)の子」を読んだ。 収録されているのは以下の4篇 裔の子 ※第101回芥川賞候補(1989年上期)殯笛夢の巣凪 「裔の子」は、祖母、母、娘と続…
// リンク 書肆汽水域「体温」から始まった『多田尋子作品を読む』の第4弾として読んだのは「単身者たち」である。書肆汽水域「体温」にも収録されていた短篇「単身者たち」を表題作とする4篇が収録された短編集だ。 s-taka130922.hatenablog.com 単身者たち…
// リンク 書肆汽水域刊「体温」、講談社刊「体温」に続いて、講談社刊の「秘密」を読んだ。書肆汽水域「体温」に収録されている「秘密」を含む4篇が収録されている。 毀れた絵具箱遠い華燭雑踏秘密 東京の美術学校に通う朋子は、仕方なく出席した美術関係…
// リンク 書肆汽水域から刊行された「多田尋子作品集 体温」で、多田尋子という作家の存在を知った。30年以上前に書かれた作品であり落ち着いた大人の恋愛を描く短篇小説は、古さを感じさせるが、それでいてどこかに新しさも感じさせて、「こんな作家がいた…
// リンク 1932年長崎県生まれ。日本女子大学国文科を卒業。1985年に短編小説「凪」を「海燕」に発表し小説家デビューする。1986年に「白い部屋」で第96回芥川賞候補となり、その後「単身者たち」「裔の子」「白蛇の家」「体温」「毀れた絵具箱」で計6度候補…
// リンク 少女に恨みがあるわけではなかった。ただほしかったのだ、必要だったのだ。 物語は、この不穏な書き出しからはじまる。そして、3人の男たちによってひとりの少女が犠牲になる。それは、男たちが自らの願いを叶えるための儀礼殺人だ。彼らは、自分…
// リンク 我が家では、かなりの頻度で鶏肉をつかった料理が並ぶ。唐揚げ、焼き鳥、照り焼き、蒸し鶏、煮物、鍋料理。使う部位も多様で、もも肉、胸肉、手羽元、手羽先、砂肝、レバーなどなど。鳥料理は安価で手軽に作れるので重宝している。 川上和人「鳥肉…
// リンク 灼熱の砂漠を数日をかけて250キロも走るなんて人間技ではない。運動嫌いで歩くことすら億劫な私には考えられないことだ。しかし、この本の著者ディオン・レナードは、そういうマラソン大会をいくつも走ってきた。まさに鉄人である。 ディオンは、…
// リンク 僕は魂の目的を果たしたのだ。 前作「野良犬トビーの愛すべき転生」のラストで、トビーが何回も転生を繰り返して愛し続けた少年イーサンと、最後の犬バディとして永遠の別れを迎えたとき、彼はそう感じた。これで、自分の使命は終わったのだと思っ…
野良犬トビーの愛すべき転生 (新潮文庫) 作者: W.ブルースキャメロン,W.Bruce Cameron,青木多香子 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2012/06/27 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (5件) を見る これまでに4匹の犬を飼ってきた。 最初の犬は、3、4歳の…
// リンク イケワンだ!イケワンすぎる!! 翻訳家・村井理子さんの愛犬ハリーくんと村井家の日々を記したエッセイ集の第2弾「犬ニモマケズ」です。前作から1年、2歳9ヶ月になった黒ラブのハリーくん。体重45キロ(前年比10キロ増)と、体もすっかり…
// リンク カワイイ!かわいすぎる!! 村井理子さんの愛犬、黒ラブ(黒毛のラブラドールレトリバー)のハリーくんが、とにかくもうカワイイのだ。「どんだけカワイイの?」と思った方、まずは本書9ページに掲載されている子犬のころのハリーくんの写真をご…
habookstore.shop 早助よう子「ジョン」の存在は、「本の雑誌10月号」に掲載された大塚真祐子さんの『新刊めったくたガイド』で知った。 // リンク 「ジョン」には、表題作を含む9篇の短編がおさめられている。さまざまな商業誌に掲載された短編が7篇と書…
// リンク 首に女王を想起させるカラーをまとい、誇り高い表情をカメラをみつめる一匹の犬。クレアという名のブルテリアは、壁紙が剥がれ落ちて下地がむき出しになった壁を背に、薄汚れたソファに座っている。まるで貴族のように、その態度は自信に満ちてい…
// リンク 「違う! アーサー、違うって、その逆だよ! 僕は成功だったって言ってるんだ。喜びと支援と友情の二十年っていうのは成功だ。何であれ、ほかの人と二十年一緒に過ごしたのは成功なんだよ。バンドが二十年、活動を続けたら奇跡だろ。お笑いの二人…
「今日もパリの猫は考え中 黒猫エドガーの400日」フレデリック・プイエ+シュジー・ジュファ/坂田雪子訳/大和書房-猫を飼っているみなさん、あなたのおうちの猫もエドガーみたいに考えているかもしれませんよ
// リンク エドガーは6ヶ月の子猫。フレデリック・プイエ+シュジー・ジェファ著、坂田雪子訳「今日もパリの猫は考え中 黒猫エドガーの400日」は、エドガーが“アホ家族”と呼ぶ一家との日々を、エドガーの目線で語る物語だ。 物語は、「とらわれて1日目」か…
// リンク #掟 何があろうと、けっして泣いてはならない。 何があろうと、けっして密告してはならない。 愛する誰かが殺されたなら、殺したやつを見つけだし、かならずそいつを殺さなければならない。 兄のショーンが殺された。ウィルは、掟にしたがって兄…
// リンク 本の感想を書くのに、こういう話から始めるのは違うと言われてしまうかもしれませんが、この本についてはこの話を抜きにはできないと思うので、そこから始めます。 紙の本ってすばらしい! 何を言っているのか? と思われたかもしれません。これは…
// リンク キンバリー・ブルベイカー・ブラッドリー(大作道子訳)「わたしがいどんだ戦い1940年」は、2018年度の「第64回 青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書に選ばれた「わたしがいどんだ戦い1939年」の続編であり完結編になる作品です。 s-taka1…
// リンク まだ本当に小さな子どもの頃に、とても仲の良い女の子がいたことだけを覚えている。 覚えているのは仲の良い女の子がいたことだけ。その子の名前も顔も全然思い出せない。幼稚園に通っていたときによく一緒に遊んだらしいことはなんとなく覚えてい…
// リンク それは、第十五回をむかえるベルリン美食協会定例会の席上のことであった。 これは、本書「アナーキストの銀行家-フェルナンド・ペソア短編集」の冒頭に収録されている「独創的な晩餐」の書き出しである。パッと読むと普通のありがちな書き出しな…
// リンク 音楽にはあまり詳しくない。ジャズについても、そういう音楽のジャンルは知っていても、どういうプレイヤーがいたのかなどはよくわからない。だから、『はじめての海外文学vol.4』で金原瑞人さんが、本書「バット・ビューティフル」を推薦していな…
// リンク サッカーは、アフリカで人気のスポーツだという。ボールひとつあればどこでも楽しめるし、ボールがなくても新聞やビニールを集めて丸めたものをボールに見立てればよい。 マイケル・ウィリアムズ「路上のストライカー」も、サッカーを題材にした物…
// リンク 毒親とは、過干渉や暴言・暴力などで、子どもを思い通りに支配したり、自分を優先して子どもを構わなかったりする「毒になる親」のことを言う。 これは、2019年4月にNHKの「クローズアップ現代」で放映された『毒親って!? 親子関係どうすれば・…
// リンク わたしは奴隷として生まれた。 その短い言葉から、ひとりの黒人奴隷少女の闘いの記録は始まっている。 「ある奴隷少女に起こった出来事」は、いまからおよそ150年前の1861年に刊行された作品である。その内容は、あまりに衝撃的で、これがノンフィ…