タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ゴーストソング(スーザン・プライス/金原瑞人訳/サウザンブックス)-嫉妬と憎悪と怒りによって生きる魔法使いクズマとは、現実世界に生きる私たちの姿なのかもしれない。

// リンク 「ゴーストシリーズ」の第2作となる作品。「ゴーストドラム」でチンギスと対立する悪役として登場したクズマを中心とする物語だ。 「ゴーストソング」の物語は、夏至の日、猟師のマリュータとその妻イェフロシニアの間に男の子が生まれる場面から…

ウジョとソナ 独立運動家夫婦の子育て日記(パク・ゴヌン著/ヤン・ウジョ、チェ・ソナ原案/神谷丹路訳)-祖国独立のため活動するウジョとソナ。彼らの子育て日記を通じて見えてくる戦争の過酷さと子どもたちの存在の大きさ

// リンク 本書は、大韓民国臨時政府に関わった独立運動家であるヤン・ウジョとチェ・ソナの夫婦が記した日記を原案として描かれたグラフィックノベルである。原案となった日記は、ふたりの間に生まれた娘ジェシーの育児日記となっている。日記には、韓国が…

【新装版】ゴーストドラム(スーザン・プライス/金原瑞人訳/サウザンブックス)-【再読】ゴーストドラムのリズムに導かれ、魔法使いチンギスは囚われの皇子サファを救いに向かう。「ゴースト三部作」の幕開けとなる物語

// リンク ある冬至の夜、ひとりの奴隷女が赤ん坊を産んだ。女の子だった。だが、奴隷の娘は奴隷になるしかない。女はわが子の逃れられない運命を嘆く。そこへ、ひとりの老婆が訪ねてくる。老婆は魔女だ。魔女は女に言う。「お前が腕に抱いている赤ん坊が生…

リッジウェイ家の女(リチャード・ニーリィ/仁賀克雄訳/扶桑社)-出てくる人物全員が怪しくみえてくる。どんでん返しの巨匠が描くミステリ小説。

// リンク 帯の惹句よれば、著者のリチャード・ニーリィは『どんでん返しの巨匠』なのだという。本書「リッジウェイ家の女」は、そんな『どんでん返しの巨匠』が描くミステリー小説である。 画家のダイアン・リッジウェイは、アートギャラリーで自分の作品を…

「カレンの台所」滝沢カレン/サンクチュアリ出版-「言葉」や「文章」を生業としている人たち全員が羨む才能の持ち主だと思います。

// リンク まず最初にお断りしておくと、この本は『料理レシピ本』です。ですが、書店の店頭に山と積まれた「誰でも簡単!お手軽激ウマレシピ!」とか「料理研究家○○の健康レシピ100選」みたいな普通の料理レシピ本とはまったく違う、滝沢カレンらしい独特な…

「見えない凶器」ジョン・ロード/駒月雅子訳/国書刊行会-『世界探偵小説全集』の第7巻。密室で起きた殺人事件。凶器が見つからないまま迷宮入りするかと思われた事件をプリーストーリー博士が解き明かす

// リンク 国書刊行会の『世界探偵小説全集』の第7巻。本作は、密室殺人のトリックに趣向を凝らした謎解きミステリーである。 アダミンスター警察署のクロード巡査部長は、シリル・ソーンバラ医師の自宅で殺人事件に遭遇する。ソーンバラ医師の妻ベティの伯…

「草 日本軍「慰安婦」のリビング・ヒストリー」キム・ジェンドリ・グムスク/都築寿美枝、李昤京訳/ころから-現在にもつながる女性としての尊厳の問題としてみた「従軍慰安婦」の人生を描いて世界的に高い評価を得たグラフィックノベル

// リンク 1996年、中国龍井(ロンジン)。ひとりの老婆が家族や村人に見送られて旅立つ場面から物語は始まる。彼女は、55年振りに祖国韓国に帰るのだ。彼女の名は李玉善(イ・オクソン)。彼女は、日本軍の『従軍慰安婦』だった。 キム・ジェンドリ・グムス…