タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧

実際の現場を体験したからこそのリアルには、誰もかなわないのだということ-竜田一人「いちえふ 福島第一原子力発電所労働記」

2015年9月5日、福島第一原子力発電所から半径20キロ圏内の南に位置する福島県双葉郡楢葉町に出されていた避難指示が、正式に解除された。これにより、楢葉町の住民は4年半振りにそれぞれの自宅に帰ることを許された。 福島第一原子力発電所(いちえふ)が未…

脚本執筆に行き詰まった作家は、誰かの話を聞くことでひとつの映画を完成させた-ミランダ・ジュライ「あなたを選んでくれるもの」

ミランダ・ジュライは、映画監督であり、脚本家であり、女優であり、アーティストであり、作家である。最近では、スマホアプリを手掛けていて、「somebody」というちょっと風変わりなコミュニケーションアプリを手がけている。 wired.jp SOMEBODY - MIU MIU …

腹が減っては深く潜れぬ!モンスターで腹を満たせ!-九井諒子「ダンジョン飯(2)」

ダンジョンRPGの世界では、地下迷宮の奥深くに潜むお宝を目指して冒険者たちが危険に身を費やす。ダンジョンの奥深くまで冒険の足を伸ばせば、当然ながら食料の問題に行きつく。持ち運べる荷物の数には制限があり、冒険者たちは食料が不足するたびに、地上へ…

いろんな生き物持ってみよう!-松橋利光「その道のプロに聞く生きものの持ちかた」

ペットショップとかに行って、ケージでじゃれつく子犬や子猫、ハムスターとかウサギとかの小動物を見て、 「カワイイィ~~! 抱っこしたぁ~い!」 とか身悶えしているそこのあなた。生きものには、それぞれにあった持ちかた(抱き方)があるんだそうですよ…

ひとつひとつの作品が、どれも強く心に刺さる。これは、私の中で間違いなく今年のマイ・ベストにラインナップされる1冊となる-ケン・リュウ「紙の動物園」

たったひとつの言葉、たったひとつの文章、たったひとつの物語が、読んでいて深く胸に刺さる小説がある。 ケン・リュウ「紙の動物園」は、間違いなく読者に深く強い印象を残す小説だ。 紙の動物園 (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ) 作者: ケン・リュウ,古沢嘉通,…

読んでないけど読んだつもりで語る騙れ!それがド嬢の読書道(?)-施川ユウキ「バーナード嬢曰く2」

本なんてまともに読んじゃいないけど、読んだふりだけしていたい。そんな《なんちゃって》読書家バーナード嬢こと町田さわ子が帰ってきた。 バーナード嬢曰く。 2 (IDコミックス REXコミックス) 作者: 施川ユウキ 出版社/メーカー: 一迅社 発売日: 2015/07/2…

2015年ノーベル文学賞作家が綴るチェルノブイリ原発事故で人生を翻弄された無辜の人々の証言−スベトラーナ・アレクシエービッチ「チェルノブイリの祈り~未来の物語」

今年(2015年)のノーベル文学賞は、ベラルーシのドキュメンタリー作家・スベトラーナ・アレクシエービッチに決まった。ジャーナリストとしてのノーベル文学賞受賞も、ベラルーシ人としての受賞もはじめてのことである。 不勉強なもので、スベトラーナ・アレ…

タイトルのインパクトは大だけど、その中身は王道パターンの小説-住野よる「君の膵臓をたべたい」

難病ものというのは、泣かせる小説の定番であろう。ましてや、青春真っ盛りの若い男女が主人公で、そのヒロインが不治の病に冒されて余命幾ばくもない中で愛を育んでいくなんて設定は、もはや泣かせるために書かれているとしか思えない。 君の膵臓をたべたい…

読めば《蛭子能収》のイメージが変わる、かもしれない-蛭子能収「ひとりぼっちを笑うな」

「蛭子能収」について、世間ではどう評価されているのだろう。 私のイメージは、テレビによく出ていて、いつもヘラヘラしていて、ギャンブル好きでケチなおじさんくらいなものだ。 ひとりぼっちを笑うな (角川oneテーマ21) 作者: 蛭子能収 出版社/メーカー: …

アフリカの飢餓に苦しむ人々のために立ち上がったアメリカを代表するアーティストたち。だがそれは、呪いの序章だった!?-西寺郷太「ウィー・アー・ザ・ワールドの呪い」

"♪We are the world,we are the children~" USA for Africa - We are the World - YouTube 1980年代に中学生、高校生くらいの年代を過ごした方の多くは、洋楽にハマった世代ではないだろうか。FMラジオから流れるマイケル・ジャクソンやマドンナに熱狂し、…

原理原則にもとづいて考えることで見えてくる世の中のおかしなところを二人の論客がバッサリと斬る-勝谷誠彦✕田尾和俊「怒れるおっさん会議」

物事を原理原則から照らして理路整然と突き詰めていくことは、何かを考えるにあたって当たり前のことであるはずだ。しかし、原理原則に照らして明確な目的と目標(具体的な数値)を決めることやそれを広くオープンにすることは、どちらかというと敬遠されて…

足が動かねぇ? 物忘れがひでぇ? それがどうした、四の五の言ってると俺のマグナムが黙ってねぇぜ!−ダニエル・フリードマン「もう過去はいらない」

誰しも、「寄る年波には勝てない」はずである。身体はガタつき、歩くこともままならなくなり、物忘れもひどくなっていく。家族に先立たれることもあるだろうし、古くからの旧友たちも櫛の歯が欠けるようにひとりひとり減っていく。 もう過去はいらない (創元…

君は深夜の《飯テロ》に立ち向かえるか!?-久住昌之(原作)・谷口ジロー(絵)「孤独のグルメ2」

《飯テロ》なる言葉があります。主に(というかほぼ)ネット上で見かける言葉です。特に、深夜の時間帯になると発生し、各所でパニックを誘発します。 《飯テロ》とは、TwitterやFacebook等のSNSメディアやテレビ等の映像メディアにおいて、美味しそうな料理…

ジジイをナメると痛い目見るぜ!-ダニエル・フリードマン「もう年はとれない」

今年(2015年)87歳になる偉大なる先達たちは、1928年(昭和3年)にこの世に生を受けている。はるか遠い過去だけに、その時代のことなんてまったく想像もつかない。ちなみに、主な出来事としては、 張作霖爆殺事件 ミッキーマウス初登場のアニメ「蒸気船ウィ…