タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「やんごとなき読者」アラン・ベネット/市川恵里訳/白水社-女王陛下、読書にハマる

// リンク 「陛下にも暇つぶしが必要なのはわかります」「暇つぶし?」女王は聞き返した。「本は暇つぶしなんかじゃないわ。別の人生、別の世界を知るためのものよ。サー・ケヴィン、暇つぶしがしたいどころか、もっと暇がほしいくらいよ。(後略)」 アラン…

「ハンナのいない10月は」相川英輔/河出書房新社-学生自治会選挙の不正疑惑、女子学生の洋服盗難事件にスパイ疑惑。大学内で起きるさまざまな事件に『穏やかな狂人』はどう動くのか?

// リンク 相川英輔作品は、これまで「雲を離れた月」と「ハイキング」を読んできた。過去作はどれも日常にある恐怖や不安を描き、読んでいてスーッと背中に冷たいものが伝うような感覚を与えてくれる作品だったが、本作はこれまでとはまったく違ったテイス…

「フライデー・ブラック」ナナ・クワメ・アジェイ=ブレニヤー/押野素子訳/駒草出版-ガーナ移民の両親を持つ著者のデビュー短編集。#BlackLivesMatter 運動に世界が揺れる今の時代に読む一冊。

// リンク 2020年5月、アメリカ・ミネソタ州ミネアポリスで白人警察官が黒人のジョージ・フロイド氏を逮捕する際に、8分46秒もの間フロイド氏の頸部を膝で圧迫し続けて死に至らしめる事件が起きた。この事件をきっかけにして、全米各地で大規模な抗議デモが…

「英国風の殺人」シリル・ヘアー/佐藤弓生訳/国書刊行会-『世界探偵小説全集』の第6巻。互いに不穏な空気を醸す一族が集った聖夜の宴で起きた毒殺事件。ボトウィンク博士が解き明かす『英国でのみ起こりうる事件』とは?

// リンク 国書刊行会の『世界探偵小説全集』第6巻。それぞれが互いに何らかの因縁を持つウォーベック一族が集まったクリスマスの夜、大雪に閉ざされた屋敷で行われた夜会の席でファシスト団体のリーダーとなったウォーベック卿の跡取り息子が毒殺された。古…

「サブリナ」ニック・ドルナソ/藤井光訳/早川書房-サブリナが消えたことで起きる波紋。メディアに追い回され、ネットにはデマがはびこる。現代社会の抱える闇をえぐり出すような作品。

// リンク ひとりの女性が突然行方不明になる。女性の名前はサブリナ・ギャロ。しばらくして、新聞社などにスナッフビデオが届くとメディアやネットが騒然とする。メディアによる執拗なまでの取材攻勢。SNSを中心にネットに拡散する誹謗中傷デマ。それはまさ…

「愛は血を流して横たわる」エドマンド・クリスピン/滝口達也訳/国書刊行会-『世界探偵小説全集』の第5巻。女子生徒の失踪事件を発端に起きる連続殺人事件。事件をつなぐ謎の解明にジャーヴァス・フェン教授が挑む。

// リンク 国書刊行会の『世界探偵小説全集』第5巻。学校の終業式を目前にして起きた女子生徒の失踪事件。最初はちょっとした不祥事と思われていたが、ふたりの教師が相次いで殺害されたことで重大事件へと発展する。事件の解決に乗り出すのは、終業式の来…

「あふれる家」中島さなえ/朝日新聞出版-いつも誰かであふれている破天荒な家庭で育つ明日美のたくまして想像力豊かな毎日を描く自伝的長編。

// リンク 主人公稲葉明日実(わたし)は小学4年生。もうすぐ夏休みになるというのに、母さんが事故で足を骨折し入院してしまう。 「ユタとハルねえがいないあいだ、明日実ちゃんをどうするのか」 「ユタ」は父さん、「ハルねえ」は母さんのニックネームだ。…

「ジュディ・モードはごきげんななめ」メーガン・マクドナルド作、ピーター・レイノルズ絵/宮坂宏美訳/小峰書店-小学生のジュディと友だち、家族が繰り広げる元気で楽しい毎日!

// リンク 『はじめての海外文学vol.5』で訳者の宮坂宏美さんが推薦している作品です。「ジュディ・モードとなかまたち」シリーズの第1巻になります。 主人公のジュディ・モードは、小学3年生です。物語は、夏休みが終わって新学期がはじまるという朝の場面…

「一角獣殺人事件」カーター・ディクスン/田中潤司訳/国書刊行会-『世界探偵小説全集』の第4巻。鋭い角で突かれた死体。嵐の中、閉ざされた城の中で起きる殺人事件。王道の本格探偵小説。

// リンク 『世界探偵小説全集』の第4巻。最近では「アンリ・バンコラン」シリーズが東京創元社から和爾桃子さんの新訳で刊行されているジョン・ディクスン・カーがカータ・ディクスン名義で発表したヘンリーメリヴェール卿(H.M卿)シリーズの一冊。 事件…

「ジュリアンはマーメイド」ジェシカ・ラブ 絵・文/横山和江訳/サウザンブックス-マーメイドに憧れるジュリアンにおばあちゃんがくれた最高のプレゼント

// リンク 「あのね、おばあちゃん。ぼくもマーメイドなんだ」 プールからの帰り道、ジュリアンはマーメイドの姿をしたおねえさんたちと出会います。ジュリアンはマーメイドが大好きです。きれいなおねえさんたち見て、自分がマーメイドになった姿を想像しま…

「ロボット・イン・ザ・スクール」デボラ・インストール/松原葉子訳/小学館-「何で僕には学校がないの?」(タング、学校へ行くの巻)

// リンク ある日突然庭にあらわれたぽんこつロボット『タング』を中心に、ベンとエイミーのチェンバーズ夫妻が、ひとり娘のボニー、前作「ロボット・イン・ザ・ハウス」でチェンバーズ家の一員となった卵型ロボットのジャスミンを巡って奮闘するシリーズの…