2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧
アンソニー・バージェス「時計じかけのオレンジ」は、1962年にイギリスで発表された作品である。だが、小説としてよりは、1972年に公開されたスタンリー・キューブリック監督の映画の方が印象に深いかもしれない。 時計じかけのオレンジ 完全版 (ハヤカワepi…
2015年9月19日の未明に、政府与党が提出した安全保障関連法案(安保法案)が、自民公明および一部野党の賛成によって参議院で可決された。 アナーキー・イン・ザ・JP (新潮文庫) 作者: 中森明夫 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2013/08/28 メディア: 文庫 …
今となっては遠い過去の話だが、時折ふと心に浮かぶ情景というものがある。それは、幼い子供の心に深く刻まれた思い出という宝物だ。 子供時代 (新潮クレスト・ブックス) 作者: リュドミラウリツカヤ,ウラジーミルリュバロフ,沼野恭子 出版社/メーカー: 新潮…
言わずと知れた“セカチュー”である。 熊五郎「ハイハイ、あの黄色っぽくて『ピカーッ!』って攻撃するヤツですね」ご隠居「それは『ピカチュウ』だよ、熊さん」 そうではなくて、“セカチュー”なのだ。 熊五郎「ってことは、あの…」ご隠居「ウンウン」熊五郎…
ミステリー小説における私立探偵像を確立したのが、コナン・ドイルが生み出したシャーロック・ホームズであることは間違いないことだと思う。 シャーロック・ホームズは、依頼人に対していきなり本人以外にはわからないはずの事実を突きつける“かまし”のテク…
きっかけは、「本が好き!」サイトにアップされた、レビュアー・はるほんさんの山本幸久「ある日、アヒルバス」のレビューでした。 東京タワーのゆるキャラ「のっぽん君」に遭遇したはるほんさんの第一印象東京タワーに新生姜がいるをきっかけに、レビューの…
環境省のホームページに掲載されている統計データによれば、平成25年度に全国で殺処分された犬猫の頭数は、合計で12万8241頭(犬:2万8570頭、猫:9万9671頭)である。 統計資料 「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」 [動物の愛護と適切な管理] 年間で…
書評サイト「本が好き!」で、本書の題材にもなったインドのポーパール化学工場事故について書かれたドキュメンタリーのレビューを読んだ。 ※allblue300さんによる「ポーパール午前零時五分(上/下)」のレビュー www.honzuki.jp www.honzuki.jp レビューを…
読み終わって、しばし考えたくなる小説というのがある。その本が面白くないというわけではない。ただ、読み終えて、どこかモヤモヤした印象を残す作品というのがあるのだ。 ビオレタ (一般書) 作者: 寺地はるな 出版社/メーカー: ポプラ社 発売日: 2015/06/0…
「恐るべきさぬきうどん」を出版し、さぬきうどんブームの盛り上げに一役買ったことをもって、田尾和俊氏は「うどんの人」と呼ばれるらしい。回転寿司を食べに行ったら、となりに座ったおばさんに、 「アンタ、うどん以外のもの食べるんな?」 と言われたこ…
大規模な地殻変動によって日本列島が海の底に沈没する未曾有の災害パニックを描いたのは、小松左京「日本沈没」であった。それが、1973年のこと。それから37年の時を経た2010年に、小松左京賞で作家デビューした上田早夕里が発表したのが、本書「華竜の宮」…
本書「華氏451度」はブラッドベリの代表作のひとつである。近未来社会を描いているためSFとして分類されているが、内容的には極めて社会的であり、オーウェルの「一九八四年」にも通じる管理社会の恐怖を描いた作品であると思う。 華氏451度〔新訳版〕 (…
原りょう(【りょう】は、寮のうかんむりを外した字)は、実に寡黙な作家である。 1988年に「そして夜は甦る」で鮮烈なデビューを果たし、1989年には、第2作にあたる「私が殺した少女」で第102回直木賞を受賞して順風満帆な作家生活を歩みだした。しかし、そ…
荻原魚雷「書生の処世」を読もうと思ったのは、2015年8月31日読売新聞朝刊の書評欄で紹介されているのを読んだからだった。 書生の処世 作者: 荻原魚雷 出版社/メーカー: 本の雑誌社 発売日: 2015/06/23 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブ…
ミステリー小説が好きな人がこの本を読んだら、怒りだしちゃうんじゃないだろうか。 そんな心配をしたくなるほど、徹底的にミステリー小説を酷評しまくっているのが、小谷野敦「このミステリーがひどい!」である。もうタイトルからしてケンカ売ってる感じだ…