タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

ディストピア

佐藤亜紀「戦争の法」(伽鹿舎)-デビュー作『バルタザールの遍歴』に続く第2長編が待望の復刊。日本海に面したN県の独立宣言に端を発する戦いの記録は、型にはめられない戦争と地方を描く。

戦争の法 (伽鹿舎QUINOAZ) posted with ヨメレバ 佐藤 亜紀 伽鹿舎 2017-12-23 Amazonで購入 Kindleで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 1975年、日本海に面したN県が日本国からの独立を宣言した。本書「戦争の法」は、そんな架空の独立騒動とその…

A・ボグダーノフ、E・ゾズーリャ他/西周成編訳「ロシアSF短編集」(アルトアーツ)-1800年代から1900年前後のロシアSF短編を集めたアンソロジー。ディストピア物から宇宙物まで、意外に王道のSF作品なれど、ロシアらしさも感じられます。

ロシアSF短編集 作者: アレクサンドル・ボグダーノフ,エフィム・ゾズーリャ,アレクサンドル・クプリーン,ウラジーミル・オドエフスキー,セルゲイ・ステーチキン,西 周成 出版社/メーカー: 合同会社アルトアーツ 発売日: 2016/11/09 メディア: オンデマンド…

M・R・ケアリー/茂木健訳「パンドラの少女」(東京創元社)-〈飢えた奴ら(ハングリーズ)〉と呼ばれる生ける屍が蔓延する世界で生き延びるための戦いがはじまる

パンドラの少女 作者: M・R・ケアリー 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2016/04/28 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (6件) を見る パンドラの少女 作者: M・R・ケアリー,茂木健 出版社/メーカー: 東京創元社 発売日: 2016/04/28 メディア: …

ジョージ・オーウェル/山形浩生訳「動物農場」(早川書房)-1940年代に書かれたこの作品が、そのまま今の世界への批判になっている怖さ

動物農場〔新訳版〕 (ハヤカワepi文庫) 作者: ジョージ・オーウェル,水戸部功,山形浩生 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2017/01/07 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (2件) を見る ドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領に就任してから、彼の国では…

【書評】J・M・クッツェー/鴻巣友季子訳「イエスの幼子時代」(早川書房)-その幼子を無垢と呼ぶなかれ。か弱き幼子はいつかこの世界を動かすであろう。

イエスの幼子時代 作者: J・M・クッツェー,鴻巣友季子 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2016/06/23 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (4件) を見る 子どもはいつでも好奇心に溢れているものだ。 「どうして○○なの?」「なんで□□しなきゃいけないの…

【書評】村田沙耶香「コンビニ人間」(文藝春秋)−定められたマニュアルの沿って動く。安心よりも恐怖を感じる作品

コンビニ人間 (文春e-book) 作者: 村田沙耶香 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2016/07/27 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る コンビニ人間 作者: 村田沙耶香 出版社/メーカー: 文藝春秋 発売日: 2016/07/27 メディア: 単行本 この商…

【書評】ハラルト・ギルバース「オーディンの末裔」(集英社)-「ゲルマニア」の続編。ドイツの敗色濃厚な中、夫殺しの嫌疑を駆けられた友人を救うためにオッペンハイマーは奔走する

ハラルト・ギルバースのデビュー作「ゲルマニア」を読んだのは1年少し前、2015年8月のことだ。ナチス政権下のドイツでユダヤ人の元刑事オッペンハイマーが、ナチス将校フォーグラー大尉の命令で残忍な連続猟奇殺人事件の捜査に挑むという作品で、ユダヤ人と…

【書評】村田沙耶香「消滅世界」(河出書房新社)-《クレイジー》と称される作家が描くこの世界はユートピアなのかディストピアなのか?

先日、「王様のブランチ」のブックコーナーに村田沙耶香さんが出演されていた。なんでも、朝井リョウ氏ら作家仲間からは《クレイジー沙耶香》と呼ばれているらしい。 その《クレイジー》な作家が描き出す特異な世界は、確かにぶっ飛んだ世界だった。本書「消…