タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

「エレベーター」ジェイソン・レナルズ/青木千鶴訳/早川書房-兄を殺された少年ウィルが復讐に向かうために乗り込んでエレベーターで経験する出来事。ラストの言葉に心が震える。

// リンク #掟 何があろうと、けっして泣いてはならない。 何があろうと、けっして密告してはならない。 愛する誰かが殺されたなら、殺したやつを見つけだし、かならずそいつを殺さなければならない。 兄のショーンが殺された。ウィルは、掟にしたがって兄…

「ロンドン・ジャングルブック」バッジュ・シャーム作/三輪舎-色鮮やかに描かれる作品たち。そこに表現される作者のイメージ。それらを引き立たせる本づくりの技

// リンク 本の感想を書くのに、こういう話から始めるのは違うと言われてしまうかもしれませんが、この本についてはこの話を抜きにはできないと思うので、そこから始めます。 紙の本ってすばらしい! 何を言っているのか? と思われたかもしれません。これは…

「わたしがいどんだ戦い1940年」キンバリー・ブルベイカー・ブラッドリー著/大作道子訳/評論社-エイダの身体の回復と心の成長を見守るように読みました。

// リンク キンバリー・ブルベイカー・ブラッドリー(大作道子訳)「わたしがいどんだ戦い1940年」は、2018年度の「第64回 青少年読書感想文全国コンクール」の課題図書に選ばれた「わたしがいどんだ戦い1939年」の続編であり完結編になる作品です。 s-taka1…

「ペーパータウン」ジョン・グリーン著/金原瑞人訳/岩波書店-自由奔放な少女に振り回されるおとなしい少年。Qとマーゴの関係は、どこにでもありそうだからこそ、放っておかれない気持ちにさせられる。

// リンク まだ本当に小さな子どもの頃に、とても仲の良い女の子がいたことだけを覚えている。 覚えているのは仲の良い女の子がいたことだけ。その子の名前も顔も全然思い出せない。幼稚園に通っていたときによく一緒に遊んだらしいことはなんとなく覚えてい…

「アナーキストの銀行家-フェルナンド・ペソア短編集」フェルナンド・ペソア著/近藤紀子訳/彩流社-はじめてのペソア。最初の一文で魅了されてしまいました。

// リンク それは、第十五回をむかえるベルリン美食協会定例会の席上のことであった。 これは、本書「アナーキストの銀行家-フェルナンド・ペソア短編集」の冒頭に収録されている「独創的な晩餐」の書き出しである。パッと読むと普通のありがちな書き出しな…