タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

「死に山 世界一不気味な遭難事故〈ディアトロフ峠事件〉の真相」ドニー・アイカー/安原和見訳/河出書房新社-半世紀もの間、謎とされてきた遭難死事件。長く解明できなかった事件の真相に著者はたどり着けるのか?

// リンク 「あなたの国には、未解決の謎はひとつもないのですか」 1959年、旧ソ連のウラル山脈で起きた不可解な遭難事故。遭難した大学生トレッキンググループのリーダーだったイーゴリー・ディアトロフの名前から〈ディアトロフ峠〉と呼ばれるようになる場…

「ビア・マーグス-ビールに魅せられた修道士」ギュンター・テメス/森本智子、遠山明子訳/サウザンブックス-モルト工場で発見された古い手記に記されていたのは、ビールに魅せられた男の人生の物語だった

// リンク ビールといえばドイツ、ドイツといえばビールとは、日本人の多くが認識していると思います。 あとがきで訳者も書いているように、私たちの頭の中ではドイツとビールは切っても切り離せない関係がしっかりとできあがっている。 それゆえ、「ビア・…

「きらめく拍手の音」イギル・ボラ/矢澤浩子訳/リトルモア-『コーダ』はろう者と聴者をつなぐ存在。ろう者の両親を持つ著者だから書き得たろう者の世界

// リンク その光景に一瞬で魅了された私は、急いでビデオカメラの電源を入れた。頭上にカメラを高く上げると、前にいたろう者が振り向いて私を見た。彼はレンズに向かって手を振った。きらめく拍手だった。 イギル・ボラ「きらめく拍手の音」は、『コーダ』…

「天使のゲーム」カルロス・ルイス・サフォン/木村裕美訳/集英社文庫-作家として成功した青年の前に現れた謎の編集者。そこから青年の周囲で不可解な事件が起こり始める。「風の影」に続く『忘れられた本の墓場』シリーズ第2弾

// リンク 前作「風の影」(木村裕美訳、集英社文庫)に続く『忘れられた本の墓場』シリーズの第2弾となる作品。本作でも、「風の影」と同様に『忘れられた本の墓場』や『センペーレと息子書店』といった印象深かった場所が登場する。 本書の主人公は、ダビ…

「老ピノッキオ、ヴェネツィアに帰る」ロバート・クーヴァー/斎藤兆史、上岡伸雄訳/作品社-晴れて人間となり学問を極めたピノッキオ。老境を迎えて故郷に戻った彼が見舞われる散々なトラブル

// リンク 勇気を持ち正直で優しい子になって人形から人間になったピノッキオは、その後どのような人生を歩んだのか。ピノッキオのその後を描いた感動の続編! 本書は、そんな作品ではない。著者はロバート・クーヴァー。となれば一筋縄ではいかない曲者な作…