タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

「臆病な成就」多田尋子/福武書店-夫婦でもない、兄弟姉妹でもない、血の繋がりのない関係でも支え合える人たちの物語

// リンク 『多田尋子作品を読む』の第6弾。「臆病な成就」を読んだ。表題作を含む3篇が収録されている。 臆病な成就慰撫白蛇の家 ※第102回芥川賞候補(1989年下期) 1988年、1989年は、多田尋子の作品に対する評価が一気にあがった時期といえるだろう。「単…

「裔の子」多田尋子/福武書店-家族のつながり、人とのつながり、さまざまなつながりが生み出す関係性はときに人を幸せにし、ときに人を苦しめる

// リンク 『多田尋子作品を読む』の第5弾。多田尋子の商業誌デビュー作「凪」を含む4篇が収録された短編集「裔(すえ)の子」を読んだ。 収録されているのは以下の4篇 裔の子 ※第101回芥川賞候補(1989年上期)殯笛夢の巣凪 「裔の子」は、祖母、母、娘と続…

「単身者たち」多田尋子/福武書店-ひとりであることの自由と不自由。ひとりでいることの安心と不安。単身者であることの意味とは?

// リンク 書肆汽水域「体温」から始まった『多田尋子作品を読む』の第4弾として読んだのは「単身者たち」である。書肆汽水域「体温」にも収録されていた短篇「単身者たち」を表題作とする4篇が収録された短編集だ。 s-taka130922.hatenablog.com 単身者たち…

「秘密」多田尋子/講談社-結婚できる機会があるのに結婚しなかった女性。結婚とは何か。結婚すれば幸せなのか。結婚に対する価値観を問われているような短編集

// リンク 書肆汽水域刊「体温」、講談社刊「体温」に続いて、講談社刊の「秘密」を読んだ。書肆汽水域「体温」に収録されている「秘密」を含む4篇が収録されている。 毀れた絵具箱遠い華燭雑踏秘密 東京の美術学校に通う朋子は、仕方なく出席した美術関係…

「体温」多田尋子/講談社-『男性の存在感』が描かれる4つの短篇を収録する作品集

// リンク 書肆汽水域から刊行された「多田尋子作品集 体温」で、多田尋子という作家の存在を知った。30年以上前に書かれた作品であり落ち着いた大人の恋愛を描く短篇小説は、古さを感じさせるが、それでいてどこかに新しさも感じさせて、「こんな作家がいた…