タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

2014-09-01から1ヶ月間の記事一覧

「生きることに意味がある」と教えてくれる-天童荒太「永遠の仔」

読み終えて、実は意外と救われる作品なのだと思った。親による子供の虐待。心を病んだ少年、少女。トラウマを抱え、誰にも救われることもなく成長する苦しさ。素直な気持ちを伝えられず結局相手を傷つけるだけの恋。だが、最後に語りかける言葉でそれはすべ…

歴史の“if”を描く-宮本昌孝「家康、死す」

歴史を語る上で“if”はつきものである。もし、本能寺で織田信長が死んでいなかったら。もし、太平洋戦争で日本が勝っていたら。時代小説の中には、そういう“if”をテーマにした作品がある。 本書は、「もし、徳川家康が暗殺されていたら」がテーマである。…

あの事件から10年-川名壮志「謝るなら、いつでもおいで」

今年(2014年)7月、長崎県佐世保市で世間を震撼される事件が起きた。市内の高校に通う女子生徒が、同級生の女子生徒を殺害し、死体の首と左手首を切断した猟奇事件である。女子高生が事件を起こしたこととその計画性、猟奇性が世間に戦慄を与えた。 今…

人生は様々な欲望を学ぶ場所-山田詠美「学問」を読む

性の芽生えを4人の少年少女を主人公に描きあげた傑作である。ラストは思わず涙がこぼれた。 物語は静岡県の架空の地方都市美流間市を舞台に、心太、無量、千穂、仁美の4人の少年少女の小学生から高校生までの成長を描いている。心太は地元育ちで人望も厚く…

2020年東京オリンピックにも「オリンピックの身代金」はあるか?

今、東京は2020年のオリンピック開催に向けて様々な準備活動を展開している。新しい国立競技場の建設やその他会場、選手村の建設など、オリンピックにための公共投資、建設ラッシュが今後予定されている。 東京オリンピックが開催されるのは2020年が…

金原ひとみ「マザーズ」とちょっとだけアベノミクス

安倍政権が掲げる目玉政策の中に「女性の活用」がある。結婚や出産、子育てなどで仕事から離れたまま社会復帰が果たせないでいる女性たちの能力を積極的に活用しようというもので、そのための施策として子育て支援や女性の再雇用支援、女性管理職の登用支援…

さよならタマちゃん

ある日、自分が癌であると知ったなら。果たして平静にしていられるだろうか。延々と続いていく放射線治療や抗癌剤治療の苦しみに耐えて戦えるだろうか。 著者は、「GANTZ」の作者である奥浩哉のアシスタントを勤めていたマンガ家である。ある日、セックスを…

中の人などいない@NHK広報のツイートはなぜユルい?

私がツイッターのアカウントを取得したのは2007年で、比較的早い時期だろうと思う。ただ、まだその頃はツイッターをやっている人が少なくて、一部の友人や例外的なユーザー以外にはフォローしたくなるようなアカウントもなく、その後はしばらくツイッターを…