タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「仙童たち 天狗さらいとその予後について」栗林佐知/未知谷-天狗にさらわれた4人の子どもたち抱える苦痛。天狗はその苦痛から彼らを救ったのだろうか

// リンク ある日突然子どもが行方不明になる。子どもの神隠しを昔は『天狗さらい』といって、天狗が子どもをさらっていったと考えられていたという。平田篤胤の「仙境異聞」は、江戸文政年間に天狗にさらわれたといわれる寅吉という少年の記録である。 栗林…

「あの本は読まれているか」ラーラ・プレスコット/吉澤康子訳/東京創元社-(プルーフ版先読み)東西冷戦下、一冊の本によって世界は変わるのか? 出版権200万ドル、初版20万部、世界30ヶ国で翻訳刊行のデビュー作。

// リンク 4月刊行予定のラーラ・プレスコット「あの本は読まれているか」を発売前のプルーフ版で読む機会をいただきました。訳者の吉澤康子さん、版元の東京創元社さん、ありがとうございます。 本書は、デビュー作としては破格の200万ドル(約2億円)で出…

「ニジノ絵本屋さんの本 本屋さんで、出版社で、絵本パフォーマー。」いしいあや文、小林由季イラスト/西日本出版社-絵本屋、出版社、パフォーマーと、さまざまな顔を持つ『ニジノ絵本屋』はこうしてできあがった

// リンク 『ニジノ絵本屋』は、東京東横線の都立大学駅近くにある絵本専門書店です。2011年にわずか1.5坪の小さなスペースからスタートして、2017年に現在の店舗に移転しました。 nijinoehonya.com 本書「ニジノ絵本屋さんの本」は、ニジノ絵本屋代表のいし…

「広場」崔仁勲/吉川凪訳/クオン-〈韓国最高の小説〉にも選ばれ、長く読まれ続けている作品。誰もが自らの『広場』を探し続けていると考えさせられる小説。

// リンク 「人は広場に出なければ生きられない」 著者は本書の前書きをこう書き始めている。そして、「しかしその反面、人間は密室に引きこもらずには生きられない動物だ」と記す。 訳者あとがきによると、「広場」は、1960年に雑誌「夜明け(セビョク)」…

「ZENOBIA(ゼノビア)」モーテン・デュアー文、ラース・ホーネマン絵/荒木美弥子/サウザンブックス-デンマークの作家が描き出すシリア難民少女の物語

// リンク 遠く水平線が広がる海原に、ぎっしりと大勢の人を乗せたちっぽけな小舟が浮かんでいる。舟にはひとりの少女が大人たちと肩を寄せあって窮屈そうに座っている。やがて、おとなしかった海は波の荒れ狂う海へと姿を変え、ちっぽけな小舟はその波に飲…

「1793」ニクラス・ナット・オ・ダーグ/ヘレンハルメ美穂/小学館-両手足を切断され両目をえぐり取られた惨殺死体。労咳で残り少ない人生を生きる法律家と戦争で左腕を失った義腕の引っ立て屋は猟奇殺人の謎を追う。

// リンク 1793年のスウェーデンを舞台に、労咳(肺結核)を病んでいる法律家セーシル・ヴィンゲと、ロシアとの戦争に従軍して左腕を失い義腕となった引っ立て屋ミッケル・カルデルがコンビとなって猟奇殺人事件の謎に挑むミステリ小説。 著者はあとがきで、…