タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

「犬がいるから」村井理子/亜紀書房-村井さんちの黒ラブ・ハリーの圧倒的なかわいさにキュン死しそう

 

 

カワイイ!かわいすぎる!!

村井理子さんの愛犬、黒ラブ(黒毛のラブラドールレトリバー)のハリーくんが、とにかくもうカワイイのだ。「どんだけカワイイの?」と思った方、まずは本書9ページに掲載されている子犬のころのハリーくんの写真をご覧ください。全犬好きなら間違いなくキュン死する!

村井理子「犬がいるから」は、生後3ヶ月で村井家にやってきた黒ラブのハリーくんの成長とハリーくんを溺愛する村井さんとその家族の日々を記したエッセイだ。ちなみに「犬がいるから」と書いて「きみがいるから」と読みます。

ここに書かれているエピソードのひとつひとつに、同じく犬を飼うものとして共感することばかりだ。

いつも寝ているくせに、村井さんがちょっとでも動こうものならガバっと起き上がり、どこへでもついていこうとするハリーくん。わかる! ウチもそうでした! そーっと動いてもすぐに気づいてすっ飛んできます(笑)

リビングの窓の網戸を体当たりでぶち壊してしまうハリーくん。わかる! ウチもそうでした! 何度網戸を張り替えても壊しちゃうから、あるときから諦めてしまっていまだに網戸はベローンと外れたままになってます(笑)

留守番ができなくて、村井さんがちょっとゴミ捨てに行くだけでもヒンヒンと寂しそうに鳴くハリーくん。わかる! ウチもそうです! ひとりで家に残されると大声で悲しそうに鳴き喚き、ご近所さんに「悲しそうに鳴いてたよ~」と報告されてます(笑)

他にも、バニラアイスクリームが好きなところも同じ。犬って、みんなバニラアイスクリームが好きなのかしら? まぁ、本当は牛乳がつかわれている人間用のアイスクリームは、乳糖という成分が入っていて、犬が食べるとお腹を壊しやすくなるから食べさせない方がいいんだけど、アイスを食べている足元にやってきて、つぶらな瞳で「私にもちょーだい!」という目でみつめられたら、「一口だけだよ~」と言いながらお皿にアイスを分けてあげちゃうのは仕方ない。不可抗力ですよね?

本書には、ハリーくんのことばかりではなく、村井家で起きるさまざまな出来事が綴られている。双子の男の子たちの成長。スケボーに乗ってハリーくんを散歩させているときに転んで怪我をしちゃう旦那さん(しかも骨折!)

なにより、村井さん自身が心臓の疾患で入院、手術を経験されている。およそ1ヶ月間の入院生活。その間、ハリーくんは旦那さんや双子の息子さんたちと村井さんの帰りを待ち続けた。村井さんがちょっとゴミ捨てに行くだけでも悲しげに鳴くようなハリーくんにとって、その1ヶ月間はどれだけ不安だったろう、寂しかったろう。

退院して家に帰ってきた村井さんをハリーくんはそっけなく迎えたそうだ。でも、それはきっとハリーくんなりの照れくささとか、拗ねた感じがあったんだと思う。「なんで僕をおいていなくなってたの?」「どうしてこんなに長く帰ってこなかったの?」とハリーくんは村井さんに訴えていたんだろう。「寂しかったよ」「会いたかったよ」という気持ちが強すぎて、逆に素直になれなかったのかもしれない。

犬ってそういうところがある。いつも全力で飼い主に愛を注いでくるのに、ときどき離れていくことがある。「あれ?どうしたのかな?」と思うけど、そこには彼らなりの愛情表現があるのだ。ツンデレではないけれど、愛情の爆発がある一方で少しだけ身を引いてくれるときもある。そのバランス感覚が犬の賢さだと、犬好きで犬バカな飼い主としては思っている。

村井さんちのハリーくんは、本書の時点ではまだ1歳9ヶ月。体重は30キロになり、一応成犬に分類されるお年頃ではあるけれど、まだまだやんちゃな子どもである。彼はまだまだこれから、村井家でいろいろな事件を巻き起こすだろう。村井さんにとって大変な日々が続くことになるが、その苦労を打ち消すほどにハリーくんはカワイイ。そのかわいさにぞっこんな村井さんには、大変さもきっと楽しい日々になるんだろうと思う。