タカラ~ムの本棚

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「鳥肉以上、鳥学未満」川上和人/岩波書店-商店街で手に入る鳥肉の様々な部位を観察し、ときに味わいながら鳥類の進化や生態に迫る!?

 

 

我が家では、かなりの頻度で鶏肉をつかった料理が並ぶ。唐揚げ、焼き鳥、照り焼き、蒸し鶏、煮物、鍋料理。使う部位も多様で、もも肉、胸肉、手羽元、手羽先、砂肝、レバーなどなど。鳥料理は安価で手軽に作れるので重宝している。

川上和人「鳥肉以上、鳥学未満」は、鳥肉の様々なパーツ(部位)を題材に、その特徴などをあげながら鳥の生態などを解説していく。著者は、森林総合研究所の主任研究員であり、これまでに「鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ」(新潮社)などの著書がある。

ふだん、何も気にすることなくただ「美味い!」と食べている鳥肉だが、胸肉には胸肉の、もも肉にはもも肉の、砂肝には砂肝の、ぼんじりにはぼんじりの役割がちゃんとある。食べて美味しいだけではなく、鳥が鳥として生きるための意味がちゃんとある。

例えば胸肉。鳥の体で一番の大きさを占めていて、その役割は翼の打ち下ろしだ。鳥は、翼を力強く打ち下ろすことで上昇する力(揚力)と前に進む力(推進力)を得て大空を自由に飛び回ることができる。鳥にとって胸肉はもっとも重要な部位である。だが、鳥肉の供給者であるニワトリは空を飛ばない。飛ばないニワトリが大きな胸肉を有するのは、食肉として提供するための品種改良の結果であり、そのおかげで私たちは美味しい胸肉を食べることができるのだ。

こんな調子で他の部位についても、思わず「へぇ」といってしまいたくなる雑学が記されている。

もも肉は複数の筋肉が集まって構成されていること。

歯のない鳥類にとっての咀嚼器官が砂肝であること。

胸肉が空を飛ぶための筋肉であることを確認するにはモスチキンがオススメであること。

なんとなく知っていたけど深くは知らずにいたことや、はじめて知る筋肉の役割など、鳥肉ひとつとっても、1冊の本が書けてしまうくらいに話題が豊富にあるのだと感心した。

余談だが、私は鳥肉の部位ではもも肉と砂肝が好物である。胸肉は、調理すると少しモサモサするので苦手だったのだが、最近ネットで知った調理方法を試したところ驚くほど柔らかく仕上がったので、これからも時々作ってみようと思っている。

ねぇ、今日ケンタッキーにしない!?