タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

2018-01-01から1年間の記事一覧

キム・エラン他/矢島暁子訳「目の眩んだ者たちの国家」(新泉社)-2014年4月16日のセウォル号沈没事故があぶり出した韓国の深い闇

目の眩んだ者たちの国家 posted with ヨメレバ キム・エラン,パク・ミンギュ,ファン・ジョンウン,キム・ヨンス 新泉社 2018-05-10 Amazonで購入 楽天ブックスで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 2014年4月16日韓国。300人以上の修学旅行生(高校生…

ファン・ジョンウン/斎藤真理子訳「野蛮なアリスさん」(河出書房新社)-女装ホームレスとして街角に立つアリシア。その背後に横たわる韓国社会の暗部

野蛮なアリスさん posted with ヨメレバ ファン・ジョンウン 河出書房新社 2018-03-23 Amazonで購入 楽天ブックスで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 私の名前はアリシア。女装ホームレスとして、四つ角に立っている。 この一文からはじまる物語は…

石橋毅史「本屋な日々 青春篇」(トランスビュー)-本屋がこんなに頑張っているんだから、私たち読者も本屋をもっと応援しようじゃないか!

本屋な日々 青春篇 posted with ヨメレバ 石橋毅史 トランスビュー 2018-06-25 Amazonで購入 楽天ブックスで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 私が中学生、高校生の頃は、学校の通学路の途中に必ず本屋があった。こじんまりした規模で、雑誌、単行…

チョ・セヒ/斎藤真理子訳「こびとが打ち上げた小さなボール」(河出書房新社)-韓国で長く読まれ続けているベストセラー。貧しき労働者の悲痛な叫びが重く胸に刺さる。

こびとが打ち上げた小さなボール posted with ヨメレバ チョ・セヒ 河出書房新社 2016-12-23 Amazonで購入 楽天ブックスで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 1978年に刊行され、現在に至るまで長くベストセラー、ロングセラーとして読みつがれてき…

マヤ・ルンデ/池田真紀子訳「蜜蜂」−ウィリアム、ジョージ、タオ。異なる時代に生きる3人をつなぐ『蜜蜂』と『家族』

蜜蜂 posted with ヨメレバ マヤ・ルンデ NHK出版 2018-06-26 Amazonで購入 楽天ブックスで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 今年(2018年)は、関東地方で6月中に梅雨明けしたかと思うと、西日本や北海道では記録的な大雨になるなど異常気象が続…

パク・ミンギュ/吉原育子訳(亡き王女のためのパヴァーヌ」(クオン)-静かにせつなく奏でられる恋の物語。「カステラ」や「ピンポン」とは違うパク・ミンギュのラブストーリー。

亡き王女のためのパヴァーヌ (新しい韓国の文学12) posted with ヨメレバ パク・ミンギュ クオン 2015-03-09 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 雪に降られて、彼女は立っていた。 パク・ミンギュ「亡き王女のためのパヴァーヌ」は、この一…

澤西祐典「フラミンゴの村」(集英社)-振り向けばフラミンゴ。それは妻が変身した姿だった。

フラミンゴの村 posted with ヨメレバ 澤西 祐典 集英社 2012-02-03 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 「文字の消息」でその魅力を知り、「別府フロマラソン」でユニークな想像力に驚かされた澤西祐典のデビュー作が、本書「フラミンゴの…

澤西祐典「別府フロマラソン」(書肆侃侃房)-温の町『別府』を舞台にとんでもないフロマラソンが繰り広げられる。かつてない温泉ガイドファンタジー

別府フロマラソン posted with ヨメレバ 澤西祐典 書肆侃侃房 2017-07-28 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 「文字の消息」が個人的にツボにはまったので、澤西祐典という作家が他にどんな作品を出しているのかな、と思っていたら、なんと…

澤西祐典「文字の消息」(書肆侃侃房)-静かに降り積もる『文字』に埋め尽くされた街。ゆっくりと砂糖になっていく身体。朽ち果てた災いをもたらす船。想像力によって描かれる幻想世界は、どこか現実的でもある。

文字の消息 posted with ヨメレバ 澤西 祐典 書肆侃侃房 2018-06-18 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 『文字』の力がこれほどに静かに心を締め付けてくるとは思いもしなかった。 澤西祐典「文字の消息」は、表題作の他、「砂糖で満ちてゆ…

内沼晋太郎「これからの本屋読本」(NHK出版)-本が好きな人、本屋が好きな人、本屋になりたい人。本に関わるすべての人が読んでおきたい本。

これからの本屋読本 posted with ヨメレバ 内沼 晋太郎 NHK出版 2018-05-26 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 『ブックコーディネーター』として、本と本屋に関わる様々なことを手がけている内沼さんが、自らの知識と経験を踏まえ、これか…

ジェローム・K・ジェローム/小山太一訳「ボートの三人男もちろん犬も」(光文社古典新訳文庫)-三人の独身男たちが繰り広げるおかしなおかしなボートの旅。横にはもちろん犬もいるよ!

ボートの三人男 もちろん犬も (光文社古典新訳文庫) posted with ヨメレバ ジェローム・K. ジェローム 光文社 2018-04-12 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 毎日忙しい。朝から晩まで一生懸命がんばって、ランチも慌ただしく食べて、午後…

アンドレアス・フェーア/酒寄進一訳「弁護士アイゼンベルク」(東京創元社)-冒頭の場面から惹きつけられ、二転三転する展開にハラハラさせられる。そして、最後に待ち受ける真相とは?読み始めたら止められなくなる法廷ミステリ。

弁護士アイゼンベルク (創元推理文庫) posted with ヨメレバ アンドレアス・フェーア 東京創元社 2018-04-28 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す プロローグからいきなり惹きつけられる。 殺人事件の被害者の解剖所見を頭の中で反芻する弁護…

海老原嗣生「『AIで仕事がなくなる』論のウソ」(イースト・プレス)-AIの台頭で自分の仕事はなくなってしまう?の本質

「AIで仕事がなくなる」論のウソ この先15年の現実的な雇用シフト posted with ヨメレバ 海老原嗣生 イースト・プレス 2018-05-12 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す オックスフォード大学の研究者が2013年に発表した「雇用の未来(THE FUT…

南方熊楠+杉山和也+志村真幸+岸本昌也+伊藤慎吾「熊楠と猫」(共和国)-博覧強記の天才にして強烈な変態南方熊楠の強すぎる猫愛が面白い!

熊楠と猫 posted with ヨメレバ 南方 熊楠 共和国 2018-04-21 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 南方熊楠は、1867年5月18日に生まれたとのことで、昨年(2017年)が生誕150年だったわけです。南方熊楠の名前は、多くの方々、自然科学に興…

巳年キリン「働く、働かない、働けば」(三一書房)-あなたはなぜ働いているの? 自分はなぜ働いているの? なぜ働かなくちゃいけないの?

働く、働かない、働けば posted with ヨメレバ 巳年キリン 三一書房 2017-11-18 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 『働く』ということは、『ごはんを食べる』とか『呼吸をする』と同じレベルで当たり前のことだと思ってきた。それが、いつ…

石井千湖「文豪たちの友情」(立東舎)-武者小路実篤と志賀直哉、太宰治と坂口安吾、谷崎潤一郎と佐藤春夫。ときに熱く、ときに冷酷でもある文豪たちの友情はすばらしい

文豪たちの友情 (立東舎) posted with ヨメレバ 石井 千湖 リットーミュージック 2018-04-13 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 自分の奥さんを友人に譲渡したり、返すあてのない借金を重ねたり、宿代のかたに友人を人質にしてみたり、など…

岩楯幸雄「幸福書房の四十年 ピカピカの本屋でなくちゃ!」(左右社)-多くの人に愛された街の本屋。その最後の日々。そして未来。

幸福書房の四十年 ピカピカの本屋でなくちゃ! posted with ヨメレバ 岩楯幸雄 左右社 2018-03-05 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 2018年2月、東京・代々木上原駅前にあった一軒の書店が40年の歴史に幕を下ろした。店の名前は『幸福書房…

東江一紀著、越前敏弥編「ねみみにみみず」(作品社)-縦横無尽に放つオヤジギャグの波状攻撃に抱腹絶倒、ところどころにのぞかせる翻訳者としての矜持に胸アツ、名翻訳家の訳業にあらためて感謝。

ねみみにみみず posted with ヨメレバ 東江 一紀 作品社 2018-04-21 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 翻訳家の東江一紀さんが亡くなられたのが2014年。翌2015年に開催されたイベント『言葉の魔術師 翻訳家・東江一紀の世界』に参加してか…

額賀澪「拝啓、本が売れません」(KKベストセラーズ)-どうすれば、自分の本が売れるのだろう? 作家はその答えを求めて、いろいろな立場の人たちに会いに行く

拝啓、本が売れません posted with ヨメレバ 額賀 澪 ベストセラーズ 2018-03-20 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 読み始めるまで、本書は小説だと思っていた。というか、読み始めてからも、少しの間は小説のつもりで読んでいた。 額賀澪…

キム・ヨンハ/吉川凪訳「殺人者の記憶法」(クオン)−失われゆく記憶。連続する殺人事件。過去の自分と現在(いま)の自分。その語りは騙りなのか?

殺人者の記憶法 (新しい韓国の文学) posted with ヨメレバ キム ヨンハ クオン 2017-10-30 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 獣医師である“俺(キム・ビョンス)”の裏の顔は、残忍な連続殺人犯だった。一人娘のウニと表向きは平穏に暮らし…

本が好き!✕やまねこ翻訳クラブ合同企画「やまねこオフ会」でオススメされたやまねこ本の紹介(2)

去る2018年4月30日に、書評コミュニティサイト本が好き!とやまねこ翻訳クラブの合同企画として「やまねこオフ会」が開催されました。オフ会参加者は全部で30名。紹介されたオススメやまねこ本は全26作品となっています。 前半ではそのうち13作品を紹介しま…

本が好き!✕やまねこ翻訳クラブ合同企画「やまねこオフ会」でオススメされたやまねこ本の紹介(1)

去る2018年4月30日に、書評コミュニティサイト本が好き!とやまねこ翻訳クラブの合同企画として「やまねこオフ会」が開催されました。オフ会の模様は、ハッシュタグ『#やまねこオフ』でリアルタイムツイートされており、Togetterにまとめられています。 toge…

マイケル・ボーンスタイン、デビー・ボーンスタイン・ホリンスタート/森内薫訳「4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した」(NHK出版)-絶対に忘れてはいけない。絶対に繰り返してはいけない。

4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した posted with ヨメレバ マイケル・ボーンスタイン,デビー・ボーンスタイン・ホリンスタート NHK出版 2018-04-25 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 大勢の子どもたちが写った一枚の写真があ…

第四回日本翻訳大賞授賞式に行ってきました!(イベントレポート)

今回で第四回となる日本翻訳大賞の授賞式が、2018年4月28日に御茶ノ水にあるデジタルハリウッド大学で開催されました。第一回から毎回楽しみにしている授賞式に今年も当然参加してきましたよ! 第四回の授賞式は、第三回に続いてデジタルハリウッド大学駿河…

ジュリア・サーコーン=ローチ/横山和江訳「サンドイッチをたべたの、だあれ?」(エディション・エフ)−公園のベンチから消えたサンドイッチ。犯人はいったい誰なのか。目撃者の証言は完ぺきに思えたのだが...

サンドイッチをたべたの、だあれ? posted with ヨメレバ ジュリア サーコーン=ローチ エディションエフ 2017-10-01 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 事件はいつだって突然に起きる。 その日は朝から平和だった。もっとも、この街じゃ事件…

ティリー・ウォルデン/有澤真庭訳「スピン」(河出書房新社)-フィギュアスケートにかけた青春。仲間、ライバル、いじめ、そして恋。フィギュアスケーターだった著者の自伝的グラフィックノベル。

スピン posted with ヨメレバ ティリー・ウォルデン 河出書房新社 2018-02-24 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 今年(2018年)、平昌で冬季オリンピック・パラリンピックが開催された。日本人選手の活躍はもちろん、世界中からトップアス…

アンジー・トーマス/服部理佳訳「ザ・ヘイト・ユー・ギヴ~あなたがくれた憎しみ」(岩崎書店)-なぜカリルは撃ち殺されなきゃいけなかったのか。事実が歪められていく中で、スターは勇気をもって真実をみつめることを決意する。

ザ・ヘイト・ユー・ギヴ あなたがくれた憎しみ (海外文学コレクション) posted with ヨメレバ アンジー・トーマス 岩崎書店 2018-03-24 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す ビッグDの春休みのパーティで、スターは幼馴染のカリルと久しぶり…

池田浩士「【増補新版】抵抗者たち-反ナチス運動の記録」(共和国)-ナチスドイツの恐怖による独裁政治に抗った抵抗者たちの記録

[増補新版]抵抗者たち: 反ナチス運動の記録 posted with ヨメレバ 池田 浩士 共和国 2018-03-28 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す いつの時代にあっても、権力者は自分が手にした強大な力を自分の自由に使えるものと勘違いするようだ。ま…

たかおまゆみ「わたしは目で話します~文字盤で伝える難病ALSのこと、そして言葉の力」(偕成社)-難病ALSを発症した著者が文字盤を使って目の動きだけで言葉を伝え書かれた本。言葉の力、コミュニケーションの大切さに気づかされた。

わたしは目で話します posted with ヨメレバ たかお まゆみ 偕成社 2013-02-02 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す ALSという病気がある。筋萎縮性側索硬化症(英語表記:Amyotrophic lateral sclerosisの頭文字で略称ALS)という病気がどの…

R・J・パラシオ/中井はるの訳「もうひとつのワンダー」(ほるぷ出版)-顔に障がいのある少年と出会った彼らがとった態度。なぜ、あんなことをしたのか。3人の少年少女について描くスピンオフストーリー

もうひとつのワンダー posted with ヨメレバ R・J・パラシオ ほるぷ出版 2017-07-20 Amazonで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 生まれつき顔に障がいのある少年オギーが学校に通うことでおきるいろいろな経験を通じて、オギー自身や彼の周囲の人々…