タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

2019-01-01から1年間の記事一覧

エヴァ・イボットソン/三辺律子訳「夢の彼方への旅」(偕成社)-マイヤ、フィン、クロヴィス。子どもたちは夢の世界で大きく成長していく。

// リンク エヴァ・イボットソンの作品の中でも評価の高い作品が本書「夢の彼方への旅」です。 舞台は、いまから100年くらい前、20世紀初頭のブラジルです。当時、ヨーロッパからの移民者はアマゾンの奥地で大規模なゴム農場を経営して利益を得ていました。…

エヴァ・イボットソン/三辺律子訳「ガンプ魔法の島への扉」(偕成社)-9年に一度9日間だけ開く魔法の島と人間界をつなぐ魔法の扉を抜けて、さらわれた王子を救い出しに来た4人の救出者。彼らがみた成長した王子の姿は想像を絶するものだった。

// リンク いまの世の中、学校へ行って子どもたちに「ガンプってなんだ?」ときいても、ろくなこたえが返ってこないだろう。 という一文からはじまるのが、エヴァ・イボットソン「ガンプ 魔法の島への扉」で、魔法の島の王子様を人間界から救出するミッショ…

イ・ジョンミョン/鴨良子訳「星をかすめる風」(論創社)-戦争末期の福岡刑務所。囚人として収監された詩人と看守は、言葉を介して関係をつなぐ。言葉、文字、そして詩によって生まれる共感。

www.e-hon.ne.jp 星をかすめる風(Amazonで購入) 星をかすめる風 [ イ・ジョンミョン ](楽天ブックスで購入) 韓国の国民的詩人・尹東柱(ユン・ドンジュ)をめぐる愛と死の物語 本書「星をかすめる風」の帯には、こんな惹句が記されている。 舞台は、太平…

エヴァ・イボットソン/三辺律子訳「黒魔女コンテスト」(偕成社)-偉大なる魔法使いのパートナーは誰に?黒魔法世界のシンデレラストーリー

// リンク 黒魔法世界のシンデレラストーリー。エヴァ・イボットソン「黒魔女コンテスト」は、簡単に言ってしまうとそういう話です。 これまで読んできたイボットソンの作品の中では、比較的ストレートな話だと思います。 黒魔術の世界で〈恐ろしのアリマン…

亀石みゆき「CINEMA TALK Vol.1、Vol.2」「映画の中の女たち」-可愛らしいイラストと素敵な文章で好きな映画を紹介するZINE。映画が観たくなる!

映画感想zine各種を下記の書店様で販売しています。どのお店もすごく素敵なお店です♬どうぞよろしくお願いします。Readin’ Writin’ BOOK STORE(東京・田原町) Title(東京・荻窪)隣町珈琲(東京・荏原中延)ポルベニールブックストア(神奈川・大船)乃帆…

エヴァ・イボットソン/三辺律子訳「おいでフレック、ぼくのところに」(偕成社)-ずっと犬が欲しかったハルのところにやってきたフレック。ずっと一緒のはずだったのに...

// リンク 子どもの頃から犬を飼っています。今の犬が4匹目です。17歳のおばあちゃん犬ですが、衰え知らずで元気いっぱい。もりもり食べてグーグー寝る幸せな日々を過ごしています。 エヴァ・イボットソン「おいでフレック、ぼくのところに」は、犬と一緒に…

クリス・ダレーシー/三辺律子訳「龍のすむ家」(竹書房)-条件は、子どもとネコと龍が好きな方。デービットが暮らすことになった下宿には、女主人と子どもとネコ、そして陶器の龍が住んでいた。

www.e-hon.ne.jp Amazonで購入の場合はこちら 龍のすむ家 (竹書房文庫) 楽天ブックスで購入の場合はこちら 龍のすむ家 (竹書房文庫) [ クリス・ダレーシー ] 下宿人募集中家賃40ポンド一軒家のすてきな部屋 食事、選択付き清潔で、きれい好きな、静かな…

ピョン・ヘヨン/きむふな訳「アオイガーデン」(クオン)-人智の及ばない恐怖と日常のそばにある恐怖。大きな恐怖を乗り切っても安心できない。

www.e-hon.ne.jp 巻頭に収録されている短編「貯水池」から読み始めた。 女子学生の服が貯水池の裏の森で見つかるところから話は始まる。最近、長い失踪のあと死体で発見されるケースが頻発しているのだ。失踪したまま見つからない人もいる。女子学生も、死体…

パヴェル・ブリッチ/阿部賢一訳「夜な夜な天使は舞い降りる」(東宣出版)-夜な夜なくりひろげられる守護天使たちのオフ会に、あなたも参加してみませんか?

www.e-hon.ne.jp 昨年(2018年)11月に開催された『第3回はじめての海外文学スペシャル』イベントに、パヴェル・ブリッチ「夜な夜な天使は舞い降りる」の翻訳者である阿部賢一先生が登壇された。ご自身の推薦で、本書が『はじめての海外文学vol.4』に選書さ…

リーヴ・ストロームクロヴィスト/相川千尋訳「禁断の果実-女性の身体と性のタブー」(花伝社)-女性の身体について堂々と語れない環境をつくっているのは、私も含めたアホな男たちなんだよね。

www.e-hon.ne.jp 「女性器に興味はありますか?」と問われたならば、「興味はあります」と答えるだろう。だけど、「女性器について何を知っていますか?」と問われたならば、「詳しいことは何も知らないです」としか答えようがない。 なぜ、私たちは女性器に…

チェ・ウニョン/牧野美加・橋本麻矢・小林由紀訳、吉川凪監修「ショウコの微笑」(クオン)ー人と人とのつながり。そこから生まれる物語の奥深さ。

ショウコの微笑 (新しい韓国の文学) 作者: チェウニョン,吉川凪,牧野美加,横本麻矢,小林由紀 出版社/メーカー: クオン 発売日: 2018/12/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 何気なく読み始めて、すぐに「これはスゴイ」と思った。 チェ・ウニョ…

ジュリー・オオツカ/小竹由美子訳「あのころ、天皇は神だった」(フィルムアート)-日米開戦、日系人強制収容、そして終戦と解放。戦争によって分断された人と人とのつながりと奪われた人間としての尊厳。

あのころ、天皇は神だった 作者: ジュリー・オオツカ,小竹由美子 出版社/メーカー: フィルムアート社 発売日: 2018/09/25 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る ある日、突然にあらわれた告知。掲示板、木の幹、バス停のベンチ、その他あらゆ…

ジョーン・G・ロビンソン作・絵/小宮由訳「メリーメリーおとまりにでかける」(岩波書店)-まだ小さい女の子メリーメリーは、いつだって好奇心いっぱい。

メリーメリー おとまりにでかける 作者: ジョーン・G.ロビンソン,小宮由 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2017/03/18 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る メリーメリーはまだ小さい女の子。五人きょうだいの末っ子で、一番上はお姉ちゃんのミリ…

バーバラ・ストック/川野夏実訳「ゴッホ-最後の3年」(花伝社)-数々の傑作が描かれた晩年のゴッホを描くグラフィック・ノベル。自らに追いつめられ、狂気を帯びていく天才の姿。

ゴッホ 最後の3年 作者: バーバラストック,Barbara Stok,川野夏実 出版社/メーカー: 花伝社 発売日: 2018/11/23 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブログ (1件) を見る ヴィンセント・ヴァン・ゴッホでパッと思いつく作品はなんだろう。 『ひ…

マイケル・ボンド/おおつかのりこ訳、いたやさとし絵「モルモット・オルガの物語」(PHP研究所)-食いしん坊のモルモット『オルガ・ダ・ポルガ』の毎日は、なんだか楽しそう

モルモット・オルガの物語 (みちくさパレット) 作者: マイケル・ボンド,いたやさとし,おおつかのりこ 出版社/メーカー: PHP研究所 発売日: 2017/12/15 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る モルモットとハムスターの区別がつかないくらいに、齧歯類…

エヴァ・イボットソン/三辺律子訳「幽霊派遣会社」(偕成社)-孤児のオリヴァーは、ある日突然スノッド=ブリトル家の後継者になる。でもそれは、彼にとって幸せなことではなかった。幽霊たちが来るまでは。

// リンク 「リックとさまよえる幽霊たち」「クラーケンの島」と読んできて、すっかりその面白さにハマってしまったエヴァ・イボットソン。続いて手にとったのは「幽霊派遣会社」で、これも面白かった。 s-taka130922.hatenablog.com s-taka130922.hatenablo…

エヴァ・イボットソン/三辺律子訳「クラーケンの島」(偕成社)-地図にものらない秘密の島は怪物たちの楽園。島を存続させるため、おばさんたちはある一計を案じるのですが...

クラーケンの島 作者: エヴァ・イボットソン,三辺律子 出版社/メーカー: 偕成社 発売日: 2011/10/06 メディア: 単行本 クリック: 3回 この商品を含むブログを見る エヴァ・イボットソン「クラーケンの島」は、秘密の島で生き物たちの世話をして暮らす3人のお…

カレン・ヘス/金原瑞人訳「イルカの歌」(白水社)-イルカに育てられた少女ミラ。彼女が人間の世界に戻ったときに起きる悲劇と奇跡(ミラクル)。ミラの本当の幸せとは?

イルカの歌 (白水uブックス―海外小説の誘惑) 作者: カレンヘス,Karen Hesse,金原瑞人 出版社/メーカー: 白水社 発売日: 2004/07 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (1件) を見る キューバ沖の孤島で野生児発見 物語は、アメリカ沿岸警備隊によってキュ…

「しししし2~特集ドストエフスキー」(双子のライオン堂)-本屋発の文芸誌第2号。新しいドストエフスキーをお届けします。

shishishishi.liondo.jp 赤坂にある本屋「双子のライオン堂」が年1回刊行する文芸誌が「しししし」である。本書は、その第2号となる。一般発売は2019年1月25日だが、一部書店では先行発売されている。私は、版元でもある「双子のライオン堂」で購入した。 …

アンナ・ウォルツ/野坂悦子訳「100時間の夜」(フレーベル館)-ハリケーンがもたらしたニューヨーク大停電。その経験がエミリアを変える。

100時間の夜 (文学の森) posted with ヨメレバ 作者:アンナ ウォルツ 出版社:フレーベル館 発売日: 2017-03-01 Amazonで購入 楽天ブックスで購入 7netで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す たったひとりニューヨークへ向かうフライトを待つ14歳のエ…

エミリー・バー/三辺律子訳「フローラ」(小学館)-「ドレイクとキスをした」。記憶に障害のあるフローラがたったひとつ覚えていられたこと。それだけを支えにして彼女は旅立つ。北極へ、そして未来へ。

フローラ (SUPER!YA) posted with ヨメレバ 作者:エミリー バー 出版社:小学館 発売日: 2018-02-14 Amazonで購入 楽天ブックスで購入 7netで購入 hontoで購入 e-honで購入 図書館で探す 寒々とした氷の海。遠くに見える雪山。そして、氷の上に佇む少女。 エ…