タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

【2016年まとめ】今年読んだ本と今年見た映画からお気に入りをリストアップしてみた!

2016年最後のブログ更新です。最後は、2016年に読んだ本、劇場で鑑賞した映画の中からマイ・ベスト3を選んでみたいと思います。

2016年に読んだ本、観た映画の数は以下の通りです。

  • 2016年に読んだ本 108作品
    ※上下巻などの複数冊の本はまとめて1作品でカウント
  • 2016年に劇場で観た映画 19本

それではまず、読んだ本の中からマイ・ベスト3を発表します。国内編と海外編に分けました。

 

■2016年国内編マイ・ベスト3
1位 桜風堂ものがたり 村山早紀 PHP出版
2位 三の隣は五号室 長嶋有 中央公論新社
3位 世界の果てのこどもたち 中脇初枝 講談社

国内編の1位に選んだのは、村山早紀「桜風堂ものがたり」です。村山さんの本は、これが初読みでしたが、本を愛する人、書店を愛する人にとっては感情移入できる作品なんじゃないかと思います。なにより、村山さんの書店員を愛する気持ち、書店員への感謝の気持ちが溢れていて、この本を読んだらきっと街の書店に足を運びたくなると思います。

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2位の「三の隣は五号室」は、あるアパートの一室を舞台に、その部屋に代々住んできた住人たちの全然関わりのない日常が描かれる作品です。アパートの一室に固定のカメラを仕掛けて、代々入居してきた人たちの暮らしぶりをずっと定点観測しているような、やや覗き趣味の趣もあり、ドキュメンタリーのような雰囲気もあり、人間模様の悲喜こもごもが面白くもあり切なくもある、そんな作品だと思います。

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3位には、戦争と戦後の混乱に翻弄された3人の少女の人生を描きだした長編小説「世界の果てのこどもたち」を選びました。戦時中に満州の地で親友となった3人の少女。ひとりは戦後中国に取り残されて残留孤児となり、ひとりは在日朝鮮人として謂れなき差別と闘い、ひとりは戦災孤児として大空襲に逃げまどったときの恐怖のトラウマを背負いながら自分のような孤児たちを育て上げる活動に人生を捧げる。ラストに3人が再会する場面には彼女たちの背負ってきた苦悩の重さと戦争の悲惨さを改めて感じてしまいます。

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■2016年海外編マイ・ベスト3
1位 僕とおばあさんとイリコとイラリオン ノダル・ドゥンパゼ 未知谷
2位 年月日 閻連科 白水社
3位 堆塵館 エドワード・ケアリー 東京創元社

海外編1位に選んだ作品「僕とおばあさんとイリコとイラリオン」は、今年出版された本ではありません。翻訳刊行は2004年です。この作品は、グルジアを舞台にした少年の成長物語です。彼には一緒に暮らしているおばあさんと近所に暮らしているふたりのおじさん(イリコとイラリオン)がいます。このイリコとイラリオンが実に存在感があって面白いキャラクターで、少年はこのふたりのおじさんと一緒にいろいろといたずらをしでかして楽しんでいます。全編そんな調子で楽しく読める作品ですが、ところどころにホロリとさせるところがあって、この本の存在を教えてくれた書評サイト「本が好き!」のレビュアーさんたちに感謝です!

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2位には、2014年の「愉楽」で強烈な印象を受けた中国の作家閻連科の「年月日」を選びました。大日照りに襲われた村でたったひとり残った1本のトウモロコシの苗を守ろうと奮闘する先じいという老人と、彼と行動をともにする1匹の盲目の犬メナシ。このひとりと1匹が数々の苦難と闘う姿は鬼気迫るものがあります。はっきりいって彼らの闘いは勝ち目のない破滅の道だと思います。それでも、彼らは闘い続ける。そして、最後に彼らの身の上に起きた出来事は奇跡であり、ロウジンスキーの皆さんやケモノバカの皆さんの心をグイッと鷲掴みにしてしまうでしょう。

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3位は、前作「アルヴァとイルヴァ」から10年以上ぶりにエドワード・ケアリーが発表した「堆塵館」を選びました。この作品、「アイアマンガー3部作」の第1部にあたる作品です。なので、まだ物語としては途中段階なのですが、第2部、第3部の順調な刊行を祈念して本書を選んでみました。もちろん、この「堆塵館」だけで抜群に面白いです。ゴミの山の中に建つ堆塵館という屋敷に暮らすアイアマンガー家の人々。ゴミを扱うことで巨万の富を得た一族は、純血を重んじ、ひとりひとりには生まれながらにして与えられる『誕生の品』があります。アイアマンガー家のクロッドは、物の声を聞く能力をもった少年で、本書は彼の成長の物語でもあるのです。ラストの場面では、その終わり方から第2部の刊行が待ち遠しくなること請け合いです。

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続いては劇場で観た映画のマイ・ベスト3です。

■2016年劇場鑑賞映画マイ・ベスト3
1位 この世界の片隅に
2位 シン・ゴジラ
3位 リリーのすべて

最後に映画のマイ・ベストです。

1位はこの世界の片隅に。2016年はこの映画を観るために存在していたといっても過言でないくらい、それほどのインパクトの作品でした。原作はこうの史代の同名マンガ。太平草戦争末期の広島・呉を舞台にして、ごく普通の庶民が、戦争に翻弄されながらも、あたりまえに日常を暮らしていたということを、北條すずというひとりの女性の日常を描くことで、現代に暮らす私たちに教えてくれる。戦争映画でありながら、ただ暗くつらい日々を描くだけではないこの作品が、あの戦争の記憶を紡ぐ新しい代表作となる気がします。

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2位は、夏に公開されて大ヒットとなったシン・ゴジラです。あの庵野秀明監督が描き出すゴジラ像はどんなものなのか、という公開前からの期待感も去ることながら、映画が描き出すリアルな日本の姿が印象深い作品になりました。いろいろと批判もあるのでしょうが、個人的には相当に楽しめる作品でしたし、1位に選んだ「この世界の片隅に」がなかったら、間違いなく2016年のマイ・ベスト1になったはずの映画です。

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3位には、世界ではじめて性転換手術を受けて男性から女性へ性転換したデンマークの画家アイナー・ヴェルナー/リリー・エルベの物語リリーのすべてを。作品としての美しさ、印象の強さももちろんなのですが、なにより強く印象づけられたのは主演のエディ・レッドメインの妖艶たる演技でした。「キャロル」を鑑賞した際の予告編で観た時は、女優が演じていると思ったくらいに、エディ・レッドメインの女性らしさは際立っていました。

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ということで、2016年も残すところあと数時間です。このブログの読者になっていただいている皆さま、検索その他でたまたまこのブログを見つけてアクセスしてくださった皆さま、アクセスしていただいて本当にありがとうございました。また来年も、ダラダラと読んだ本、観た映画の感想をダラダラと書き綴るだけの自己満足なブログとして細々と更新していこうと思っています。たまに覗いてみていただければ幸いです。

それでは、皆さま良いお年を!!