タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

「老いゆく愛犬と暮らしたかけがえのない日々 ワンコ17歳」サエタカ/KADOKAWA-老犬と過ごす日々の幸せを描くイラスト&エッセイ集。読んでいたら、我が家の歴代ワンコたちを思い出しました。

 

 

子どもの頃からずっと犬を飼ってきました。今の家に引っ越してくる前に暮らしていたところで1匹。今の家で生活するようになってからは、4匹のワンコと一緒に暮らしてきました。最初の1匹だけは、私がまだずっと幼い3歳か4歳くらいのときに飼っていたワンコなので、残念ですが記憶にまったく残っていません。2匹目のワンコからは、どの犬も子犬のときから亡くなるまでの記憶がしっかりと残っています。

引っ越してきて最初に飼ったのは、近所の空き家に捨てられていたワンコでした。黒白の柴犬の血が混じっていそうなオスの雑種犬でした。脱走癖があって、ときどき庭から脱走するのですが、そのたびにどこからか靴を持ち帰ってきていました。不思議なことに、片方だけ持ち帰るのではなくて、きちんと両足揃いで持ち帰ってくる、ある意味賢いワンコでした。

次に飼ったのは、父の会社の友人宅で生まれたワンコでした。やはりオスのワンコで、とにかく吠える犬でした。夜になって通りかかった近所の人に吠えて怖がらせてしまうことも度々で、今でもその方からは「怖い犬だった」と言われて恐縮しています。

その次に飼ったのが、親戚の家で生まれたビーグル犬でした。このワンコとの思い出が我が家には一番残っているように思います。初めて室内飼いしたワンコで、どこに行くにも常に一緒。買い物にも、旅行にも一緒に行きました。歴代ワンコの中では一番長生きで18歳3ヶ月生きてくれました。

そして今飼っているワンコ。この子は、前の飼い主さんが家庭の事情で飼い続けることができなくなっているのを親戚づてに話をもらって、我が家に迎え入れたワンコです。飼い始めてもうすぐ4年になります。今では我が家のアイドルです。

どのワンコもしっかり最後まで面倒をみて、最期を看取りました。今飼っているワンコももちろん最後まで面倒をみる覚悟です。

我が家の愛犬話はこのくらいにして、サエタカ「ワンコ17歳」の話をしましょう。本書は、著者のサエタカさんがX(旧Twitter)上で、『#秘密結社老犬倶楽部』というハッシュタグをみつけて、自分も老犬となった愛犬について、投稿するようになったことをきっかけに生まれたエッセイ集です。全編描き下ろしのイラストとエッセイで構成されています。

ワンコの寿命は15年から、長くて20年に届くかどうかというところ。人間に比べると本当に短い一生です。子犬で我が家に迎え入れたときは、永遠にアイドルとして暮らしていけると思っていても、10年、15年と過ぎてくると次第に動きが鈍くなってきたり、反応が薄くなってきたり、ずっと寝てばかりいたりするようになってきて、年をとってきたなと感じさせられるようになります。元気に走り回っていたワンコが少しずつ弱っていく姿に寂しくなったり悲しくなったりすることも多くなります。

ですが、ワンコとの関係は、ワンコが老犬になってからが本格的になってくるというのが、5匹の犬を飼ってきた個人的な感想です。老犬との生活は、大変なことも多いですが、それ以上に楽しいことが多いのです。これって、なかなか伝わりにくいことなのですが、ワンコやニャンコなどのペットを飼ったことがあって、その子が旅立つ日まで面倒を見続けた経験がある飼い主さんならわかってくれるのではないかと思います。

そういう意味で、サエタカさんの「ワンコ17歳」は老犬との生活の楽しさを伝えてくれていると感じました。たくさん共感できるところがありました。ページをめくって、ひとつひとつのエピソードを読んでいくと、その全てが我が家で一緒に暮らしてきた歴代ワンコたちの思い出と重なっている気がして、「あぁ、ウチのワンコもそうだったなぁ」と、あの子はこうだった、この子はこうだったと思い出が次々と浮かんできます。ワンコやニャンコの飼い主さんがこの本を読んだら、同じ気持ちになると思います。

サエタカさんのワンコは、17歳11ヶ月で亡くなりました。元気だったときに散歩した道をサエタカさんに抱っこされて、いつもの時間、いつもの河川敷で、ゆっくりと息を引き取りました。大好きな飼い主の腕に抱かれて天国に旅立てる。なんて幸せな旅立ちでしょうか。サエタカさんのワンコは、世界一幸せなワンコです。そんなワンコを縁があって迎え入れ、一緒に過ごしてきた17年11ヶ月の日々は、サエタカさん家族にとってかけがえのない日々だったに違いありません。

十数年間をともに過ごしてきたワンコを見送ることは、何回経験しても悲しくて寂しいことです。でも、それ以上に感じるのは、「ありがとう」という感謝の気持ちです。

ウチの子になってくれてありがとう。
楽しい日々を一緒に過ごさせてくれてありがとう。
たくさんの愛情を与えてくれてありがとう。
たくさんの思い出を残してくれてありがとう。

たくさんの「ありがとう」が溢れてきます。いつまでも忘れることはありません。この本を読んで、その気持ちは一層強くなりました。