タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

【書評】中村融編「18の奇妙な物語~街角の書店」(東京創元社)−18人の作家たちが読者を不思議な世界に誘います

街角の書店 (18の奇妙な物語) (創元推理文庫)

街角の書店 (18の奇妙な物語) (創元推理文庫)

 

 

2月に開催された「はじめての海外文学」のイベントで作家の深緑野分さんがオススメした中の1冊がこちらのアンソロジー。執筆陣は、フレデリック・ブラウン、フリッツ・ライバージョン・スタインベック、などなど総勢18名の著名な作家たちだ。

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タイトルに「18の奇妙な物語」とあるように、収録されている短編はいずれも奇妙な味わいの作品となっている。

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【イベント】 #東京創元社2017 年新刊ラインナップ説明会に行ってきた話(後編)

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前編はこちらから

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休憩中の話
新刊ラインナップ紹介が終わり、しばしの休憩タイムに入ります。参加者たちはこの時間を利用して、ロビーの物販コーナーでサイン会用の本を買ったり、展示物を眺めたり、トイレに並んだり。私も1時間以上座りっぱなしで凝り固まった身体を軽くストレッチしたりしてました。

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【イベント】 #東京創元社2017 年新刊ラインナップ説明会に行ってきた話(前編)

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去る2017年2月23日。朝から風が強く、空もどんよりと曇って時折雨が降った木曜日に、東京飯田橋にあるホテルメトロポリタンエドモントで行われた『2017年東京創元社新刊ラインナップ説明会』に行ってきましたので、今回はその参加レポートになります。

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【書評】ハン・ガン/井出俊作訳「少年が来る」(クオン)-韓国民主化のきっかけとなった光州事件を題材とした一冊。この作品を読むには強い覚悟が必要だ。

少年が来る (新しい韓国の文学)

少年が来る (新しい韓国の文学)

 

 

「菜食主義者」で韓国人初の「マン・ブッカー賞」を受賞したハン・ガンが、自らの故郷でもある光州で起きた『光州事件』を題材に書き上げたのが、本書「少年が来る」である。「菜食主義者」は、読んで衝撃を受けた作品であったが、本書はそれ以上の衝撃を受ける作品である。

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【書評】西加奈子「i(アイ)」(ポプラ社)-《i=自分(I)=アイデンティティ》 自分という存在に悩み葛藤するアイの物語

i(アイ)

i(アイ)

 

 

西加奈子の作品を読んで思うのは、西さんの中では“アイデンティティ”というのが大事なテーマになっているのだろう、ということだ。直木賞を受賞した「サラバ!」も最後は主人公の圷歩が自らの生い立ちを見つめ直し、新しい自己を見出す歩みを踏み出そうとする物語だった。

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【書評】アーサー・コナン・ドイル/阿部知二訳「バスカヴィル家の犬」(東京創元社)−牙を抜かれた犬と読む「バスカヴィル家の犬」

《お知らせ》書評サイト「本が好き!」で、「古今東西、名探偵を読もう!」という掲示板企画を立ち上げています。名探偵が好きなみなさんのご参加お待ちしています!

 

掲示板企画に合わせて「シャーロック・ホームズ・シリーズ」の作品をボチボチと読み進めています。ちょっと間が空いてしまいましたが、今回読んだのは「バスカヴィル家の犬」です。ストーリーはだいたい知られているかと思いますが、一応簡単におさらいしておきます。

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【書評】ジョン・バージャー著・ジャン・モア写真/村松潔訳「果報者ササル~ある田舎医者の物語」(みすず書房)-1967年に刊行され、『本書を読んで心を動かされない者は、医者になるべきではない』とまで言われる1冊。ひとりの田舎医師の姿を通して医療とは医師とはを問うドキュメンタリー

果報者ササル――ある田舎医者の物語

果報者ササル――ある田舎医者の物語

 

 

まず目に飛び込んでくるのは、男性が真剣な面持ちで右眼につけたレンズで何かを覗き込んでいる表紙の写真だ。

写真の男性は、本書「果報者ササル~ある田舎医者の物語」の主人公の医師ササルだ。それにしても、タイトルにある“果報者”とはいったいどういうことなのだろうか?

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