タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

【イベント】二子玉川の蔦屋家電で開催された「はじめての海外文学」イベントに行ってきたよ!

なのである。

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移動時間を考慮して少し早めに会社を出た私の目に飛び込んできたのは、結構な量で降りしきる雪だった。雪が降っているということは、当然ながら「寒い!」のである。それだけで、ちょっと気持ち的には萎えてしまいそうになるのだが、今日は大事な(?)使命がある。私はマフラーと手袋でしっかりと防寒し、駅の改札を抜けるとホームへの階段を上った。

というわけで、東京に雪が降った2017年2月10日(金)、二子玉川の蔦屋家電で開催された「はじめての海外文学~小説家と翻訳家が語る海外文学の魅力~」に行ってきました。イベントの出演は、作家の深緑野分さん、翻訳家・作家の西崎憲さん、そして『はじめての海外文学Vol.2』の仕掛け人である“でんすけのかいぬし”さんの3名です。

 

今回のイベント、私にとってはかなり気になるイベントでした。というのも、イベントのお題にある「はじめての海外文学」とは、とても強い(と勝手に思い込んでいる)ご縁がある! それが、私も参加している書評コミュニティサイト「本が好き!」で2016年11月~2017年1月の期間盛り上がった掲示板企画「本が好き! #はじめての海外文学 vol.2フェア応援読書会」なのです。

この掲示板企画は、今回のイベント出演者であるでんすけのかいぬしさんが中心になって開催された書店連動フェア「はじめての海外文学vol.2」のビギナー篇ちょっと背伸び篇にラインナップされた合わせて52冊の海外文学作品を読もうというもの。開始当初は、「52冊もあるから、みんなで少しずつ読もう!」というまったりした感じで始まったのですが、終了期限が近づくほどに「本が好き!」サイトレビュアーさんたちが盛り上がり、いつしか目標は「目指せ!全52冊レビューコンプリート」へと変わり、そしてついにコンプリートを成し遂げたのです!

ということで、今回のイベントと私も参加している書評サイト「本が好き!」。この因縁浅からぬ関係を思えば、私が今回のイベントに参加するのはもはや必定。しかも、Twitterでイベント参加を表明したところ、掲示板主催者である「本が好き!」のレビュアー四天王のひとりであるかもめ通信さんからこんな@ツイートが...

 

四天王のひとりからそう言われて、果たして拒否できる人がいるだろうか? いや、いない。私は、さっそくサイトを(ついでに自分も)アピールするための名札的なもの(後述)を作ってイベント当日を迎えました。なお、《「本が好き!」レビュアー四天王》って、あと3人は誰?という疑問があるかと思いますが、それは私も知りません(笑)

いつものように前置きが長くなりましたので、イベントの内容については簡単に。(なんか違うww)

イベントスタートして最初に登場したのは、西崎憲さんと深緑野分さん。この時点では、でんすけのかいぬしさんはまだ控えています。初めの30分ほどは、西崎さんが進行役(聞き役)となって、深緑さんにこれまで刊行してきた作品について、創作について、これまでに読んできた本について、好きな作家や影響を受けた作家について、などの話を伺っていきます。

※深緑野分さんの著作

オーブランの少女 (創元推理文庫)

オーブランの少女 (創元推理文庫)

 
オーブランの少女 (創元推理文庫)

オーブランの少女 (創元推理文庫)

 
オーブランの少女 (ミステリ・フロンティア)

オーブランの少女 (ミステリ・フロンティア)

 
オーブランの少女 【ミステリ・フロンティア版】

オーブランの少女 【ミステリ・フロンティア版】

 
戦場のコックたち

戦場のコックたち

 
戦場のコックたち

戦場のコックたち

 
分かれ道ノストラダムス

分かれ道ノストラダムス

 
分かれ道ノストラダムス

分かれ道ノストラダムス

 

 

子どもの頃の読書体験としては、ロアルド・ダールの作品が好きだったこと、好きな作家が遠藤周作であることなど、深緑さんの読書遍歴などのお話が続き、一番の盛り上がりはシャーリー・ジャクソンについての話でした。中でも、「ずっとお城で暮らしている」については、かなりお好きな作品とのことで、他のシャーリー・ジャクソン作品も含めて楽しい話を聞くことができました。

ずっとお城で暮らしてる (創元推理文庫)

ずっとお城で暮らしてる (創元推理文庫)

 

西崎さんと深緑さんの話が盛り上がったところで、でんすけのかいぬしさんが加わり、ここからは「はじめての海外文学vol.2」を軸に海外文学談義がスタートです。進行役は引き続き西崎憲さん。まずは、かいぬしさんに今回の「はじめての海外文学vol.2」を企画した理由などを伺います。

「はじめての海外文学vol.2」は、vol.2とあるように今回が2回めの開催です。そもそもは、とある書店員さんの発案でした。詳しくは初代主催者さんによるこちらの記事を読んでいただくのが良いでしょう。

d.hatena.ne.jp

vol.2主催のかいぬしさんは、2代目になります。

かいぬしさんによれば、Vol.2では海外文学のプロとも言える翻訳家の先生方にお声がけして推薦本をあげてもらったとのこと。「はじめての海外文学vol.2」の推薦作品ラインナップを紹介するフリーペーパー「ビギナー篇」、「ちょっと背伸び篇」を見るとまさに海外文学のプロと呼ぶにふさわしい面々が名を連ねています。いくつか例をあげると、

  • エウロペアナ」で第1回日本翻訳大賞を受賞された阿部賢一さん(推薦本「ナジャ」:ちょっと背伸び篇)
  • 「ムシェ小さな英雄の物語」で第2回日本翻訳大賞を受賞された金子奈美さん(推薦本「【新訳】チェーホフ短篇集」:ビギナー篇)

などなどです。もちろん、今回の出演者である西崎憲さんも推薦本をあげています(岸本佐知子編「コドモノセカイ」:ちょっと背伸び篇)。

エウロペアナ: 二〇世紀史概説 (エクス・リブリス)

エウロペアナ: 二〇世紀史概説 (エクス・リブリス)

 
ムシェ 小さな英雄の物語 (エクス・リブリス)

ムシェ 小さな英雄の物語 (エクス・リブリス)

 
ナジャ (岩波文庫)

ナジャ (岩波文庫)

 
新訳 チェーホフ短篇集

新訳 チェーホフ短篇集

 
コドモノセカイ

コドモノセカイ

 

 

「はじめての海外文学vol.2」ですが、主催のかいぬしさんは大学に入るまで全然本は読んでこなかったといいます。18歳までに読んだ本はたったの3冊だったとのこと。そんな活字に縁のなかったかいぬしさんに海外文学の魅力を教えてくれたのが、芥川賞作家でもある小野正嗣さんなんだそうです(かいぬしさんの書店は小野さんが教えている大学にあります)。あるとき小野さんが薦めてくれたのが、ブルガーコフ巨匠とマルガリータ」(岩波文庫。ほとんど本を読んでこなくて、しかも海外文学ビギナーのかいぬしさんにお薦めするにはハードル高すぎじゃないの? と思いますが、かいぬしさん実際に読んでみてその面白さにハマってしまったそうです。これがきっかけで海外文学を読むようになり、結果的に「はじめての海外文学vol.2」を主催するようになるのですから、小野さんの目利きは正しかったのでしょうね。

 

 

さて、イベントは出演者3人からオススメの海外文学を紹介するコーナーへ。それぞれのオススメの3冊は以下のとおりです。

西崎憲さんオススメの3冊

ヘミングウェイ短篇集 (ちくま文庫)

ヘミングウェイ短篇集 (ちくま文庫)

 
楽しい夜

楽しい夜

 
カステラ

カステラ

 

 

■深緑野分さんオススメの3冊

ブラックランズ (小学館文庫)

ブラックランズ (小学館文庫)

 
街角の書店 (18の奇妙な物語) (創元推理文庫)

街角の書店 (18の奇妙な物語) (創元推理文庫)

 
炸裂志

炸裂志

 

 

■でんすけのかいぬしさんオススメの3冊

犬の心臓・運命の卵 (新潮文庫)

犬の心臓・運命の卵 (新潮文庫)

 
犬の心臓・運命の卵(新潮文庫)

犬の心臓・運命の卵(新潮文庫)

 
予告された殺人の記録 (新潮文庫)

予告された殺人の記録 (新潮文庫)

 
怪物はささやく

怪物はささやく

 

 

オススメの理由や面白さのポイントなど、3人の話をそれぞれに伺っていると、どの作品も本当に読みたくなってきます。というか、未読本は帰宅してから図書館で予約し、図書館に蔵書のない本で入手可能なものはAmazonでポチっちゃいました(笑)

こうしてイベントも終盤を迎え、ここで質問タイムとなりました。さあ、今こそ「本が好き!」を宣伝するチャンスです。今回、私はある小道具を準備していました。それは、

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こちらの名札です(笑)。これをA4用紙に印刷しまして、会場に持ち込んでました。さっそく挙手してご挨拶。おもむろに名札をカバンから取り出し、西崎さん、深緑さん、かいぬしさんにお見せしました。かいぬしさんとは事前にTwitter上で会話していたので、すぐに認識していただき、そこから「本が好き!」で大いに盛り上がった「はじめての海外文学vol.2応援読書会」の話題へ。サイトレビュアーたちがよってたかって(言葉が悪いww)52冊の推薦本を読み、2ヶ月ほどの期間で全作品レビューを達成してしまったことについてのご感想を伺ってみました。

かいぬしさんが言うには、「まぁ、コンプリートはないんじゃないかな」という感じで、ときどきのぞいていたそうです。そうしたら、ドンドンとレビューが集まってきて最後には全作品コンプリートを達成してしまったと。あらためて、フェアを盛り上げてもらえたと御礼の言葉をいただきました。この質問のやりとりの中で、西崎さんと深緑さんにも「本が好き!」というサイトの存在を知ってもらえたんじゃないかと思います。かいぬしさんからは、「何か挑戦状でも送ろうか」という発言もあり、うまく動けばサイトとの連動で何か面白そうなことができるんじゃないかという予感が。

もちろん、イベント終わって帰宅してから御礼のメッセージとともに、掲示板のURLをTwitterでお知らせしたことはいうまでもありません。

その他、参加者の皆さんからは、

・中国文学の翻訳出版についてどう見ているか
・西崎さん編訳のアンソロジー「短編小説日和」について
・翻訳者として相性のいい海外作家とは

といった内容の質問があり、出演者がそれぞれに思うところを回答してくれました。最後に、出演者の今後の予定などのお知らせがあり、西崎さんは第3回日本翻訳大賞の話とご自身が編集している文学ムック「たべるのがおそい」の第3号の進捗状況(4月頃に刊行予定)、西崎さんが立ち上げる電子書籍レーベルの話(「たべおそvol.2」で注目の新進作家おおまえあおさんの新作がラインナップされています)をされ、深緑さんは「年内に単行本が出るかどうか」と言いつつも、Web連載中の長編の話、短編集の話などされていました。でんすけのかいぬしさんの今後の予定は、まずは4月の新学期の繁忙期を乗り切ることが第一目標といい、「はじめての海外文学vol.3」については、11月ころに企画したいと言われていました。

こうしておよそ2時間弱ほどのイベントは終了。西崎さんと深緑さんのサイン会となり、私は西崎さんの著作にサインを入れていただきました。サイン待ちで並んでいる間にでんすけのかいぬしさんとあらためてご挨拶させていただき、また機会があればサイトの方で絡ませていただくことをお伝えしました。

文学系のトークイベントはこれまでに何回も参加してきましたが、今回のイベントはサイトの宣伝(というほど大仰なものではないのですが)ができたり、その話題で出演者の方々と会話ができたりと、いつも以上に楽しく過ごせました。会場の外は雪が降って寒い1日ではありましたが、イベントが終わるころには雪もやんでいて、私も満足感でほっこりとした気持ちで家路についたのでした。

【おまけ】会場となった蔦屋家電で展開されている「はじめての海外文学vol.2」フェア棚の様子

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文学ムック たべるのがおそい vol.1

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短篇小説日和―英国異色傑作選 (ちくま文庫)

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郵便局と蛇: A・E・コッパード短篇集 (ちくま文庫)

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