ミステリー小説のジャンルのひとつに、“警察小説”がある。大尿的な作品としては、エド・マクベインの「87分署シリーズ」があるし、最近だとユッシ・エーズラ・オールスン「特捜部Qシリーズ」が人気になっている。日本国内に目を向けても、今野敏「隠蔽捜査シリーズ」があるし、小説ではないけれど、ひと昔前には「太陽にほえろ!」や「西部警察」のような“刑事ドラマ”が人気だった。
続きを読む【書評】村山早紀「桜風堂ものがたり」(PHP研究所)−桜の花に囲まれてある小さな書店は、本を愛する人たちを優しく迎えてくれる。書店への愛と書店員への愛が溢れた作品
自分を重度の活字中毒と自負する者として書店に足を運ぶことは、もはやルーチンワークといってよい。
書店に行ったときに楽しみにしていることがある。それは、その書店独自のフェアであったり、ときに“カリスマ”と呼ばれるような名物書店員さんによるオススメ本だったりする。今年(2016年)10月に、書評サイト「本が好き!」と連携してレビュアーによる選書フェアを展開した「BOOKPORT大崎ブライトタワー店」では、毎月入れ替わりで店頭のフェア棚を出版社などに貸し出して、既存のフェアとは違う独自のフェアを展開しているし、他にもそのような取り組みをしている書店は増えてきている。
「桜風堂ものがたり」の著者村山早紀さんの存在を知ったのも、「BOOKPORT大崎ブライトタワー店」での「本が好き!」フェアに著書「ルリユール」が並んでいたからだった。
続きを読む【書評】エドワード・ケアリー「堆塵館~アイアマンガー三部作(1)」-まったく先の読めない壮大なアイアマンガー三部作の幕開けを飾る作品。物語のもつ力強さと読者を取り込むワクワク感を存分に味わえる
堆塵館 (アイアマンガー三部作1) (アイアマンガー三部作 1)
- 作者: エドワード・ケアリー,古屋美登里
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2016/09/30
- メディア: 単行本
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この小説を特定のジャンルにあてはめるのは難しいし、あまり意味のあることだとは思えない。
続きを読む【書評】ヴァレンタイン・デイヴィス「34丁目の奇跡」(あすなろ書房)-ひとりの老人が起こす奇跡。彼は本当にサンタクロースだったのだろうか? #はじめての海外文学 Vol.2 ビギナー篇より
- 作者: ヴァレンタインデイヴィス,Valentine Davies,片岡しのぶ
- 出版社/メーカー: あすなろ書房
- 発売日: 2002/11
- メディア: 単行本
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気がつけば12月も半ばに差し掛かり、年末の慌ただしい喧騒が街にあふれる時期となりました。
この時期、多くの人たちの心をワクワクさせるのはクリスマスですね。恋人と過ごすクリスマス。家族と過ごすクリスマス。ひとり寂しく過ごすクリスマス。仕事に追われて過ごすクリスマス。クリスマスの過ごし方は人それぞれだと思います。
ところで、サンタクロースの存在をいつまで信じていましたか?
続きを読む【書評】「〆切本」(左右社)−〆切、それは永遠に解決されない課題である
【書評】チョン・セラン「アンダー、サンダー、テンダー」(クオン)-韓国の地方の町で出会った6人の高校生の成長と青春の記録 #はじめての海外文学 ビギナー篇より。
「どうしてアンダー、サンダー、テンダーなの」
ジュヨンが青い画面の上に小さく出たファイル名をキャッチしていたらしい。そしてそのファイル名がどこからきたのかも、すぐにわかったはずだ。
「ある年齢じゃないかな」
「年齢?」
「アンダーエイジ、サンダーエイジ、テンダーエイジ」
本書のタイトル「アンダー、サンダー、テンダー」は、日本語訳にあたってつけた邦題であり、原著タイトルは「これくらい近くに」なのだと訳者あとがきにある。原題は編集者がつけたもので、もともと著者は「アンダー、サンダー、テンダー」とつけていたそうで、翻訳版で著者の意向に応えたということになる。
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