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今年開業50周年。新幹線を舞台にしたパニック大作-映画「新幹線大爆破」

日本が世界に誇る夢の超特急・新幹線は、今年(2014年)に開業50周年を迎えた。そんな新幹線を舞台にした映画が1975年に公開された「新幹線大爆破」である。

新幹線大爆破 [DVD]

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監督は佐藤純彌(主な監督作に「人間の証明(1977年)」、「男たちの大和/YAMATO(2005年)」など)、出演は、高倉健宇津井健山本圭丹波哲郎、等々のオールスターキャスト。「日本沈没」とか「八甲田山」とか、いわゆる大作映画が製作されていた70年代らしいキャスティングの映画だと思う。

映画のストーリーはこうだ。
※映画の展開やラストに言及しておりますので、映画が未見で今後鑑賞を予定されている場合は、以下の記事は読まないようにお願いします。

 

 

 

新幹線「ひかり109号」は、1500名の乗員乗客を乗せて、定刻通りに東京駅を出発する。そこに1本の電話が入る。相手は、「ひかり109号に爆弾を仕掛けた。速度が時速80キロ以下になったら爆発する。信じられないだろうから夕張発追分行きの貨物5790列車にも同様の爆弾を仕掛けた」と告げる。男の予告した通り、時速15キロ以下になった「貨物5790列車」が爆発。指令長の倉持(宇津井健)は、「ひかり109号」の運転士青木(千葉真一)に時速を落として運行するように指示する。

犯人は、元町工場経営者の沖田哲男(高倉健)、元過激派の古賀勝(山本圭)、沖田の工場で働いていた大城浩(織田あきら)の3人。沖田は、国鉄に500万ドルを要求し、現金の受け渡し、爆弾の解除方法を巡って犯人グループと国鉄、警察による必死の攻防が展開する。

浩が500万ドル受け渡しに失敗してオートバイで逃走中に事故死する。次いで、警察に発見され逃走を図った古賀が刑事に撃たれて負傷、どうにか追手を振りきって沖田の工場に逃げ込んでくる。浩が死に、古賀が負傷したことで気持ちが揺らぐ沖田だったが、古賀の熱意によって再度脅迫電話をかける。

その後、現金の引き渡しに成功した沖田は、捜査本部に爆弾の解除方法を記した図面を新橋の喫茶店に預けたと連絡する。しかし、その喫茶店は火事になり、肝心の図面も焼失してしまう。

現金を手中にした沖田が工場に戻ると、工場は既に警察に包囲されていた。抵抗していた古賀は、沖田の存在に気づくと、ダイナマイトを使って自爆し命を絶つ。沖田は、黙ってその場から逃走するしかなかった。

一方、図面が燃えてしまったことで倉持も焦っていた。倉持はテレビから沖田に「1500人の命を救ってほしい」と訴える。

ついに政府は、ギリギリの選択として新関門トンネル到達前に爆弾の解除ができなければ山口県内で「ひかり109号」を停車させることを決定する。倉持たちは、沖田が連絡してくるのを待つ一方で「ひかり109号」を橋裏から高速度撮影し、爆弾の位置を特定、その画像から解除方法を推測し、解除に成功する。

その頃沖田は羽田空港にいた。空港のテレビで倉持の訴える姿を見た沖田は、最後に解除方法を連絡し、国外脱出を図るために出国ゲートへ向かう。しかし、そこには警察に協力を求められて別れた妻と息子が立っていた。沖田は警察に発見され、逃亡を図るが射殺されてしまう。こうして、未曾有の事件は幕を下ろした。

映画は、当時「新幹線を爆破する」というコンセプトが影響したのか、国鉄の協力が得られないまま撮影をしたようで、指令室のセットや新幹線の模型など、見ると少し無理矢理な印象も受ける。それでも、十分に緊迫した内容の作品であり、爆弾が仕掛けられていると知った乗客のパニックや車内電話の順番争いで生じる人間の醜さといった集団心理の描写であったり、浜松駅での上下線の入れ替えにおける高速でのポイント切り替えの手に汗握る緊迫感などが、臨場感たっぷりに描かれている。また、登場人物の人間模様も克明に描かれており、国鉄内の上層部と現場の乖離、犯人逮捕にやっきになる警察の滑稽さ、犯人グループ3人がそれぞれに抱える過去やトラウマ、特にリーダー格である沖田と古賀、浩との結びつきや、警察に次第に追い詰められていく中での葛藤などが丁寧に描かれる。

映画は、公開当時それほど成功したとは言えなかったようだ。しかし、海外で公開されるとヒットし、特にフランスで評価されたらしい。イギリス人作家・ジョゼフ・ランスによって1981年に小説化され(原題「Bullet Train」)、2010年に論創社から翻訳出版されている。映画の内容をほぼ忠実にノベライズした作品となっており、映画を観なくても小説だけで十分に楽しめる。

また、「時速80キロ以下になると爆発する爆弾」という設定で、1994年に公開されたキアヌ・リーブスサンドラ・ブロック出演の映画「スピード」を思い起こした人もいるかもしれない。直接的な影響があるかは不明だが、もしかしたら日本の映画作品がハリウッドの映画製作に影響したかも、と考えると楽しくなったりする。

現代の日本映画でこのような大作が作品として成立できるか、興行的に成立できるかは難しい問題だろう。同様のコンセプトの映画は製作できるかもしれないし、CGなどの映像技術を駆使すれば、本作以上の臨場感あふれる作品になるかもしれない。それでも、本作が立ち上ってくる圧倒的なパワーがどこまで感じられるだろうか。そんなこと思い、日本映画をもっともっとたくさん観たいという気持ちを新たにした。

新幹線大爆破 (論創海外ミステリ)

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