タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

「燃えるスカートの少女」エイミー・ベンダー/管啓次郎訳/角川文庫-#はじめての海外文学 vol.6。書き出しでグイッと引き込まれる16篇の不思議で魅力的な物語が味わえる短編集

 

 

逆進化する恋人、胃に穴のあいた父と母親を産んだ母、男のおちんちんで体をいっぱいにしたいと願う図書館員、火の手をもった女の子と氷の手をもった女の子。

エイミー・ベンダー「燃えるスカートの少女」には、不思議な魅力に満ちた16の短編が収録されている。

思い出す人
私の名前を呼んで
溝への忘れもの
ボウル
マジパン
どうかおしずかに
皮なし
フーガ
酔っ払いのミミ
この娘をやっちゃえ
癒す人
無くした人
遺産
ポーランド語で夢見る
指輪
燃えるスカートの少女

さらに、文庫版特別付録として巻末には「夜」というショートストーリーが英日対訳で掲載されている。

収録されている作品は、どれも印象的だ。表題作になっている「燃えるスカートの少女」は、心臓が弱く足も弱い車椅子の父親と暮らす少女の物語。実は読む前は、スティーヴン・キングの「ファイアスターター」のような作品をイメージしていたのだが、そんなことはなく、むしろ切なさを感じる話だった。

「燃えるスカートの少女」には、表題作のような切ない作品から、「思い出す人」や「癒す人」のような特異な設定で読ませる作品(「癒す人」は同時に切ない作品でもある)、「私の名前を呼んで」や「どうかおしずかに」のような、ともすると“下品”で読者を遠ざけてしまいそうな作品が混在している。ある意味で実にバラエティに富んだ短編集だと思う。16の短編をどのようにとらえるのか、そしてどのように解釈し、どのような感情を抱くか、すべては読者に委ねられている。

『はじめての海外文学vol.6』で、“ほんにゃく仮面(マスク)”こと田内志文さんが推薦している作品。11月1日にオンラインで開催された『はじめての海外文学スペシャル2020』で、いろいろな意味で話題をさらったほんにゃく仮面の紹介動画が、ほんにゃく仮面のYoutubeチャンネルで公開されているのでぜひ視聴してみてほしい。きっと「燃えるスカートの少女」略して「燃えスカ」が読みたくなるはずだ。紹介動画を視聴して「読みたくなった!」と思った方は、チャンネル登録もぜひ。できれば、『はじめての海外文学』のYoutubeチャンネルも登録してね!

 


はじめての海外文学スペシャル 2020


はじめての海外文学スペシャル2020で浮いてきた!