タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

【書評】竹村真奈/小西七重「食品サンプル百貨店」(廣済堂)-とことんリアル!日本が世界に誇る食品サンプルの世界はここまでスゴイ!

家族でデパートにお買い物に来た日曜日。お昼の時間帯となって向かうは最上階のレストランフロア。和洋中なんでも揃うレストランの入口には、様々な料理のサンプルがショーケースに並んでいる。

食品サンプル百貨店

食品サンプル百貨店

 

私の世代にとって、食品サンプルのある風景とはこういう記憶の中にあるのではないだろうか。もしくは、町の大衆食堂の店頭ショーケースで、すっかり埃をかぶり、色もあせてしまった時代を感じさせる中華そばやカツ丼、オムライスのサンプルかもしれない。

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【書評】ウィリアム・カムクワンバ/ブライアン・ミーラー「風をつかまえた少年 14歳だったぼくはたったひとりで風力発電をつくった」(文藝春秋)-アフリカでもっとも貧しいといわれる国に住む少年が起こした奇跡

アフリカでももっとも貧しい国のひとつに数えられる国マラウイ。そんな貧国で起きた奇跡をその当人が記したのが本書である。

風をつかまえた少年

風をつかまえた少年

 
風をつかまえた少年 14歳だったぼくはたったひとりで風力発電をつくった (文春文庫)

風をつかまえた少年 14歳だったぼくはたったひとりで風力発電をつくった (文春文庫)

 
風をつかまえたウィリアム

風をつかまえたウィリアム

  • 作者: ウィリアムカムクワンバ,ブライアンミーラー,エリザベスズーノン,William Kamkwamba,Bryan Mealer,Elizabeth Zunon,さくまゆみこ
  • 出版社/メーカー: さえら書房
  • 発売日: 2012/10
  • メディア: 大型本
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【書評】アンヘル・エステバン/ステファニー・パニチェリ「絆と権力 ガルシア=マルケスとカストロ」(新潮社)-コロンビア生まれのノーベル賞作家とキューバ革命の指導者の友情

2015年7月。アメリカとキューバにそれぞれの大使館が開設されたことで、1961年以来続いてきた両国の国交断絶は解消された。これは、54年ぶりの出来事であり、歴史の1ページを開いた。今年(2016年3月)には、オバマ米大統領がキューバを訪問している。

絆と権力―ガルシア=マルケスとカストロ

絆と権力―ガルシア=マルケスとカストロ

 
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【書評】泉麻人「東京ふつうの喫茶店」(平凡社)-スタバやタリーズでは味わえない佇まいと居心地。これぞ《ふつう》の喫茶店

喫茶店、好きですか? ※最近、この入りが気に入っている(笑)

東京ふつうの喫茶店

東京ふつうの喫茶店

 

最近では、スターバックスタリーズなどのカフェが増えてきているが、一方で昔ながらの《純喫茶》と呼ばれる喫茶店も健在だ。私なんかは、ちょっとした時間潰しやテイクアウトでコーヒーを買う場合にはスタバを利用することも多いが、じっくり腰を落ち着けて休みたいときは、純喫茶に入るようにしている。

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【書評】大野裕之「チャップリンとヒトラー メディアとイメージの世界大戦」(岩波書店)-「独裁者」という映画にこめられたチャップリンの想いが、様々な障壁を克服し、感動的なラストシーンへと結実した

兵士たちよ!
けだものに身をゆだねてはならない!
あなたちを軽蔑し、奴隷にし、生き方を統制し、何をして、何を考えて、どう感じるかまで指図する奴らに。
彼らはあなたたちを猛訓練させ、食事まで規制し、家畜のように扱って、大砲の餌食にする!
そんな血の通っていない奴らに身をゆだねてはならない。
機械の頭と機械の心を持った機械人間に。
みんなは機械じゃない、みんなは家畜じゃない、みんなは人間なんだ!
心に人間の愛を持っているんだ。憎んではならない。
ただ愛されない者だけが憎むのだ。
愛されない者と血の通わぬ者だけが。
兵士たちよ!
隷属のためにではなく、自由のために闘おう!

これは、1940年に公開された喜劇王チャーリー・チャップリンの映画「独裁者」の有名な演説の一部である。

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【書評】アティーク・ラヒーミー「悲しみを聴く石」(白水社)-アフガニスタンに生まれフランスで作家となった著者によって描かれる静謐な物語

アフガニスタンは、長く激動の場所として歴史を刻んできた。少なくとも、私がアフガニスタンという国を知って以来、現在に至るまでアフガニスタンに関する平和的な話はほとんど聞いたことがない。

悲しみを聴く石 (EXLIBRIS)

悲しみを聴く石 (EXLIBRIS)

 
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【書評】上野敏彦「闘う純米酒 神亀ひこ孫物語」(平凡社)-本物の純米酒を作りたい!蔵人の情熱が生み出した《神亀》という名酒の物語

日本酒、好きですか?

新版 闘う純米酒 (平凡社ライブラリー)

新版 闘う純米酒 (平凡社ライブラリー)

 

私は、つい最近まであまり日本酒を飲んでいなかった。日本酒は、飲み過ぎると気分が悪くなり、翌日の二日酔いがキツイという印象があって、どちらかというと、ビールや焼酎を飲むことが多かった。いまでも、どちらかといえば日本酒よりもビールや焼酎(サワー類)を飲むことが多い。

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