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ガタガタ書評ブログ

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

【書評】ボフミル・フラバル「厳重に監視された列車」(松籟社)-ナチス・ドイツ占領下のチェコ。とある駅を舞台に描かれる人間の本質

映画 書評 海外文学

ボフミル・フラバルという作家の作品を読むのは、本書「厳重に監視された列車」が初めてだ。

厳重に監視された列車 (フラバル・コレクション)

厳重に監視された列車 (フラバル・コレクション)

 

ボフミル・フラバルがどういう作家であるかは、本書の解説をはじめ、様々な作品の解説その他に書かれているので、このレビューで紹介する必要はないと思う。1914年生まれのチェコの作家であり(1997年没)、ミラン・クンデラなどと共にチェコを代表する作家である。

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【書評】石原慎太郎「天才」(幻冬舎)-金権政治の象徴か、不世出の政治家か。田中角栄と戦い続けた著者が描く天才政治家の実像

ノンフィクション 書評

片手に扇子を持って顔をパタパタと仰ぎながら、ややふてぶてしく憎たらしい傲岸な雰囲気を醸しつつダミ声で一言「ま、このぉ~」

天才 (幻冬舎単行本)

天才 (幻冬舎単行本)

 
天才

天才

 

昭和世代のオッサンならば、田中角栄元首相のモノマネを誰でも一度くらいやってみたことがあるのではないだろうか。とにかく、ダミ声で「ま、このぉ~」と言っていれば誰でも田中角栄になれた。もちろん、似ているか否かは個人の心持ち次第だ。

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【書評】ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア「たったひとつの冴えたやりかた」(早川書房)-むかしむかし、遠い宇宙でひとりの少女が新しい命と出会った

書評 海外文学 SF

人類が宇宙へと足を踏み出してから半世紀以上のときが過ぎた。

たったひとつの冴えたやりかた 改訳版

たったひとつの冴えたやりかた 改訳版

 

人類が宇宙に進出する前から、空想の世界では人類は宇宙へ飛び出していて、太陽系はおろか、もっともっと遥か彼方の深遠なる銀河の果てまで進出している。そこでは、人類以外の異星人との出会い(ファースト・コンタクト)があり、平和的な関係を構築している場合もあれば、戦いに明け暮れている世界もある。

ジェイムズ・ティプトリー・ジュニアたったひとつの冴えたやりかた」は、ファースト・コンタクトを描くSF中編である。

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【書評】クラスナホルカイ・ラースロー「北は山、南は湖、西は道、東は川」(松籟社)-ハンガリー人作家を魅了した街・京都

書評 海外文学

京都という場所は、訪れる人を魅了する街だ。それは、私たち日本人だけではなく、世界から訪れる外国人観光客にとっても同様で、京都は国際的な観光都市でもある。

北は山、南は湖、西は道、東は川

北は山、南は湖、西は道、東は川

 

ハンガリーの作家クラスンホルカイ・ラースローは、1997年に初めて京都を訪れ、京都に魅了された。2000年に国際交流基金招聘フェローとして再来日すると、日本の伝統建築についての研究を深めながら半年間滞在した。そのときの経験から生まれたのが、本書「北は山、南は湖、西は道、東は川」である。

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【本が好き!】書評がつなぐ世界一周の旅。まさかの全世界制覇を達成!?

書評

「本が好き!」というWebサイトがある。その名の通り、「本が好き!」な読書家たちが参加して、自分が読んだ面白い本についてのレビューを投稿し、他のレビュアーさんたちが「読んで楽しい」、「参考になる」などの投票をしたり、コメントを返したりして交流する読書系SNSサイトだ。

www.honzuki.jp

「本が好き!」では、レビュアーさんたちが個々の作品レビューを公開するだけでなく、あるテーマに沿った掲示板を立ち上げて交流する場も設けられている。それが、『「ホンノワ」-オンライン読書会』だ。

「ホンノワ」-オンライン読書会【本が好き!】

その「ホンノワ」掲示板で、6月末から7月30日まで、とあるテーマ掲示板が開設されていた。「読書で世界を旅しよう♪ 気球に乗って五週間!!」である。掲示板の主催は、レビュアーの哀愁亭味楽さん。内容は、隣接する国をその国に関連する本(その国が舞台になっている、著者がその国の出身(または居住)、作品中にその国が登場する、等々)でつなぎながら世界を一周しようというもので、いうならば「世界一周リレー書評」である。

読書で世界を旅しよう♪ 気球に乗って五週間!!【本が好き!】

この掲示板が、大変な盛り上がりをみせた。私も参加して、いくつかの国の作品を紹介させていただいた。どのくらい盛り上がっていたかは、期間終了後に主催の哀愁亭さんがコメントした終了メッセージに記載のデータが示していると思う。

 ・コメント総数:514
 ・紹介された本の数:476

なにより、当初は「本で国同士をつなぎながら世界を一周する」というテーマだったのが、途中から「世界の国をすべて制覇する」という方向に話が展開し(対象となる国の数は206ヶ国)、しかもその目的を達成してしまったというのが、今回の掲示板の成果としてすごいところで、日本で出版されている書籍が、なんらかの形で世界の国々を網羅しているということに驚かされたところである。アメリカやイギリス、中国などのメジャーな国々ではなく、エリトリアギニアビサウといったアフリカの国々、セントビンセント・グレナディーンやセントルシアといった中南米の国々など、「そんな国が世界には存在しているのか!」と初めて耳にするような国に関連する本が、キチンと書籍として存在していたのである。しかも、旅行ガイドブックの類ではない。文学作品であったり、ノンフィクションであったりといった、文芸作品として存在しているのだ。

全206ヶ国に関連する本とはどういうものかは、今回の掲示板の内容を「本が好き!」サイトの運営スタッフがリスト化したものがあるので、そちらで確認していただきたい。

 ・1周目リスト 

info.honzuki.jp


 ・2周目リスト ※仕切り直し前

info.honzuki.jp


 ・2周目リスト ※仕切り直し後

info.honzuki.jp


 ・3周目リスト 

info.honzuki.jp


 ・4周目リスト ※7/31現在で途中まで

info.honzuki.jp

6月末に主催の哀愁亭さんによってイギリスからスタートした旅は、7月30日夜の終了までに世界を4周してしまったのである。それだけでも、この掲示板に対するレビュアーさんたちの関心の高さとパワーがわかると思う。

この掲示板で紹介された本のリストは、「日本で読める世界の本」リストとして永久保存版のリストとなるのは間違いない。すべての本について、レビュアーさんによる書評レビューがあるわけではないが、書評レビューが存在する本については、リストとレビューの合わせ技で良質なブックガイドになるだろう。

紹介されている本は、必ずしも翻訳本ばかりではなく、日本の作家による本も多数紹介されている。小説ばかりでなく、ノンフィクションやエッセイも紹介されている。世界の国や地域を網羅しつつ、様々なジャンルの本について知ることができるようになったのが、今回の掲示板の最大の成果ではないだろうか。私自身も参加レビュアーのひとりとして、勝手な達成感に昂揚している(昂揚のあまりこんなブログ記事を書いてしまったww)。

最後に、今回の掲示板を企画し、5週間にわたって主催していただいた「本が好き!」レビュアーの哀愁亭味楽さんにこの場を借りて感謝の気持ちを伝えたい。楽しい面白い企画を主催していただき、本当にありがとうございました。そして、5週間の掲示板主催お疲れ様でした。

「本が好き!」サイトでは、今回のテーマ掲示板のような楽しい企画がたくさん主催されている。レビュアーさんたちの熱い書評レビューもたくさんアップされている。本が大好き、本を読むのが大好きという方でまだ「本が好き!」を知らないという方がいたら、ぜひ一度サイトにアクセスしてみて欲しい。楽しいレビュアーさんたちがお待ちしています!

【書評】長嶋有「三の隣は五号室」(中央公論新社)-第一藤岡荘五号室、変な間取りのその部屋に住んだ歴代の住人たちそれぞれの交錯しない物語

書評

インターネットでアパートやマンション、一戸建て住宅の間取り図の見るのが好きだ。別に、引っ越しを計画しているとかいうわけではない(既に持ち家だし)、単純に間取り図を見るのが好きなのだ。

三の隣は五号室

三の隣は五号室

 

長嶋有「三の隣は五号室」は、電子月刊文芸誌(呼び方がイマイチ不明なのだが)「アンデル」の2015年1月号(創刊号)から2015年10月号まで連載されたものだ。

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【書評】池上彰「世界を救う7人の日本人 国際貢献の教科書」(日経BP社)-世界で活躍し、その国の人たちと未来のために貢献する日本人は私たちの誇りです

ノンフィクション ビジネス 書評

「いい質問ですね」のフレーズが2010年の流行語にも選ばれたジャーナリストの池上彰氏。その池上氏が世界で活躍する国際協力に従事する日本人に取材したのが本書である。テレビとはまた違うジャーナリスト池上彰の一面を垣間見せる1冊である。

世界を救う7人の日本人 国際貢献の教科書 (朝日文庫)
 

かつて日本は、国際貢献の世界であまり評判の良い国ではなかったように思う。しかし、今日国際貢献活動における日本の位置づけは、変化してきているということが、本書を読むとわかってくる。

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