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ガタガタ書評ブログ

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

ポール・トーディ/小竹由美子訳「ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン」(白水社)-『私の身体はワインでできているの』ではないけれど、ウィルバーフォース氏にはワインしか見えていない

ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン (エクス・リブリス)

ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン (エクス・リブリス)

 

 

お酒に関しての蘊蓄を語る人は多い。産地がどうとか、杜氏は誰かとか、何年物は葡萄の生育が良かったから味が良いとか悪いとか。中でもワインについては、ソムリエという職業もあったりして、それが立派に成り立っているのだから、ある意味奥が深いと言えよう。

ポール・トーディ「ウィルバーフォース氏のヴィンテージ・ワイン」は、ワインにとりつかれたある男が主人公だ。

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犬猫みなしご救援隊/金子二三夫写真「鼓動~感じて欲しい小さな命の重み。」(書肆侃侃房)-この本の発行日は2012年3月11日。その日から5年、震災から6年が過ぎた今、救援隊の活動はまだ続いています。

鼓動 ―感じて欲しい小さな命の重み。

鼓動 ―感じて欲しい小さな命の重み。

  • 作者: 犬猫みなしご救援隊,写真/金子二三夫
  • 出版社/メーカー: 書肆侃侃房
  • 発売日: 2012/03/11
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • クリック: 2回
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まず最初に注意しておいた方がいいだろうと思います。

本書には、2011年3月11日の東日本大震災とその後の福島第一原発事故により被災地に取り残された動物たちの写真が数多く掲載されています。救援隊の手で保護され、飼い主さんや一時預かりの方に引き取られて幸せを取り戻した動物たちがいる一方で、過酷な生活環境で病気になったり怪我をしたボロボロの身体になってしまった動物や命を落とした動物たちも数多くいます。写真には、そのすべてが記録され掲載されています。正直、見るのがつらい写真もあります。思わず目を背けてしまう悲惨な状態を写した写真もあります。

本書は、広島に本部を置いて動物の保護活動に尽力されているNPO法人『犬猫みなしご救援隊』東日本大震災被災地における犬猫保護活動の記録です。

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エドワード・ケアリー/古屋美登里訳「穢れの町~アイアマンガー三部作(2)」(東京創元社)-「堆塵館」の驚愕のラストを読んだときから続きが気になって仕方なかった!「アイアマンガー三部作」待望の第2巻をひと足先に読んだ!すごかった!

穢れの町 (アイアマンガー三部作2)

穢れの町 (アイアマンガー三部作2)

 

 

「待ってました!」
前作「堆塵館」を読んだ方なら絶対にそう思っているはず。エドワード・ケアリーの「アイアマンガー三部作」の第2巻「穢れの町」がいよいよ刊行される。今回、東京創元社が募集した「読者ゲラモニター」に応募して当選したことで、刊行前のゲラ段階で「穢れの町」をひと足先に読ませていただく機会を与えられた。東京創元社から指定されたのは、「4月末までに読んで感想を東京創元社のサイトから登録すること」である。その後、およそ1ヶ月が経過し、刊行日を目前に控えたところで、改めてゲラを読み返しレビューを記してみたい。

なお、ネタバレなどは一切していないが「まっさらな気持ちで『穢れの町』を楽しみたい」という方もおられると思いますので、そういう方は「穢れの町」を読み終えた後で拙レビューをお読みいただければと思います。

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温又柔「来福の家」(白水社)-どこにでもある恋人たちの風景や家族の風景。でも、そこには大きく横たわる《台湾》が存在していた。

来福の家 (白水Uブックス)

来福の家 (白水Uブックス)

 

 

縁珠と麦生は恋人同士。大学の中国語クラスで出会った。どこにでもいる普通のカップルだ。

温又柔「来福の家」には、表題作の「来福の家」とすばる文学賞佳作を受賞したデビュー作「好去好来歌」の2編が収録されている。著者の温又柔さんは、台湾で生まれ日本で育った。そうした自分のルーツを探し求めて著した「台湾生まれ、日本語育ち」は第64回日本エッセイスト・クラブ賞を受賞している。

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「KanKanPress ほんのひとさじvol.5~特集まどろみ」(書肆侃侃房)- #書肆侃侃房15周年 『PR誌』と侮るなかれ。充実の内容は読み応え満点!

KanKanPress ほんのひとさじ vol.5

KanKanPress ほんのひとさじ vol.5

 

 

書肆侃侃房15周年記念プレゼント企画に当選して5冊の本をいただいた。

送られてきた中に小冊子が1部同封されていた。書肆侃侃房のPR誌がこの「KanKanPressほんのひとさじ」である。

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【イベント】第三回日本翻訳大賞授賞式に行ってきました!(遅ればせの参加レポート)

『翻訳者に光を!』ということで2014年に企画がスタートした「日本翻訳大賞」も今回で第三回となったのですね。今回は、最終選考候補作品にはじめてヤングアダルト作品が選ばれたり、大賞受賞作に英語圏からの翻訳作品が選ばれたりとこれまでとは違うところもあって、過去2回同様、むしろ過去最高の大賞になったと感じました。去る4月23日に開催された『第三回日本翻訳大賞授賞式』に今年も参加してきましたので、参加報告させていただきます。

 

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カレン・ジョイ・ファウラー/矢倉尚子訳「私たちが姉妹だったころ」(白水社)-両親と兄と双子の姉。でも、ローズマリーの家族はありふれた普通の家族ではなかった

私たちが姉妹だったころ

私たちが姉妹だったころ

 

 

『訳者あとがき』から引用する。

本を読み始める前に「あとがき」をぱらぱらめくってみる癖のある読者へ。綿密に練り上げられたこの小説のサプライズを作家の意図どおりに味わいたい方は、どうか先を読まずに本文にもどっていただきたい。サプライズは本編の第二章の中ほど、正確に言えば八九ページで明らかになる。

カレン・ジョイ・ファウラー「私たちが姉妹だったころ」は、主人公である《私》(ローズマリー・クック)が自らの家族について語る物語だ。

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