ガタガタ書評ブログ

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

フランシス・ハーディング/児玉敦子訳「嘘の木」(東京創元社)-読み始めたらやめられない!ノンストップ・エンターテインメント小説!!

 

とにかくやたらと評判がいい。

フランシス・ハーディング「嘘の木」のことだ。プロの作家、翻訳家、書評家からアマチュア書評家にブロガーと、私が確認している範囲でこの作品を酷評しているのは見たことがない。2017年最高傑作という声もある。

「嘘の木」はファンタジー小説だ。といっても、ハリー・ポッターとかナルニア国とか、そういう王道のファンタジーとは異なる。ファンタジー小説ではあるけれど、ファンタジー色よりはミステリ色が強い。そして、そのミステリ小説としてのストーリーが評判に違わず本当に面白いのである。私は、週末の夜から読み始めたが、寝る時間になっても読むのをやめられず結局徹夜して読み通してしまった。本を読んで徹夜したのはずいぶんと久しぶりである。

簡単にストーリーを。

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フランチェスカ・リア・ブロック/金原瑞人訳「“少女神”第9号」(筑摩書房)−なぜ今までこの作家の作品を読んでこなかったのか!と遅まきながらリア・ブロックの魅力にハマっている。

 

なぜ今までこの作家の作品を読んでこなかったのか!

10月のやまねこ翻訳クラブの創設20周年記念イベントで紹介されていたフランチェスカ・リア・ブロック。先日は〈本が好き!〉の「祝! #やまねこ20周年 記念読書会」に合わせて、「ひかりのあめ」(金原瑞人、田中亜希子(やまねこメンバー)共訳)を読み、リア・ブロックという作家の存在と作品の面白さを知ることができた訳だが、今回「“少女神”第9号」を読んで、さらにその思いを深くし、冒頭の叫びへと繋がるわけである。

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イベント参加:夜を灯す本のおはなし(tsugubooks✕夏葉社・島田潤一郎)〜ヘンリー・スコット・ホランド/高橋和枝・絵「さよならのあとで」

先日「夜を灯す本のおはなし」というイベントに参加してきた。会場は、国分寺にある胡桃堂喫茶店。会場には、近隣の方々ばかりでなく神奈川や山梨から参加した方もあったそうだ。

kurumido2017.jp

「夜を灯す本のおはなし」は、会社勤めをしながら本を届ける活動をしているtsugubooksさんが主催するイベント。第1回(11月26日(日)開催)が私も参加した胡桃堂喫茶店で、ゲストに夏葉社の島田潤一郎さん迎えたもの。第2回(11月28日(火)開催)は荻窪Titleで、ゲストに作家の頭木弘樹さんを迎えたもの。第3回(12月13日(水)開催)は田原町Readin’Writin’で、ゲストにノンフィクション作家の川内有緒さんを迎えたもの。

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ジョン・アガート作、ニール・パッカー画/金原瑞人訳「わたしの名前は「本」」(フィルムアート社)-『本』が語る『本』の歴史。まるで冒険小説を読んでいるようなワクワクが味わえる一冊

 

※こちらは、フィルムアート社の読者ゲラモニター募集に当選して、いただいたゲラを読んでのレビューとなります。

まるで冒険小説を読んでいるようだ。本書を読み進めながらワクワクとドキドキがずっと続いていた。

「わたしの名前は『本』」の主人公は、『本』だ。『本』が自らの歴史を自らの言葉で語る。原始、まだ言葉を持たなかった時代の意思疎通から、やがて文字が生まれ、文字を石板やパピルスに刻むことで『書物』が生まれた。それはいつしか紙に記され、活版印刷より広く普及するようになる。

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久禮亮太「スリップの技法」(苦楽堂)−“スリップ”とは本に挟まっている細長い紙のこと。書店員として培ったノウハウは、書店だけでなく他のビジネスでも通用すると思う。

 

新刊書には、書名や出版社名などが書かれた“スリップ”という細長い紙が挟まっています。ひと昔前までは、書店で本を購入するとこのスリップを書店で回収して売上の分析などに利用していたようですが、最近はPOSシステムの導入でデータ管理ができるようになっているので、スリップを回収しない書店も多くなっています。

「スリップの技法」は、あゆみBOOKSで書店員(店長)として働き、現在はフリーランスの書店員として、〈神楽坂モノガタリ〉という店で選書に携わったり、各地で書店員研修に関わるなどの活動を行っている著者が、自らが書店員として培ってきたスリップを活用したマーケティングや売り場づくり、その他様々な仕掛けを企画するためのノウハウをまとめた本です。

私のような読者の立場から読むと、あのスリップがこれだけ活用できて、そこからたくさんの仕掛けや成果が生まれることに驚きます。

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パスカル・キニャール/高橋啓訳「世界のすべての朝は」(伽鹿舎)-言葉にできない想いを音に乗せて届けたい

m.kaji-ka.jp

九州を『本の島』にしたい、として活動している熊本の出版社・伽鹿舎。過去に、フランソワ・ルロール「幸せはどこにある」レーモン・ルーセル「抄訳アフリカの印象」と、〈伽鹿舎QUINOAZ〉シリーズの作品を読んできた。本書「世界のすべての朝は」が3作品目になる。

 

s-taka130922.hatenablog.com

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過去、早川書房から「めぐり逢う朝」というタイトルで刊行されていた本書は、同題の映画の原作として書かれたものだ。映画の公開に合わせて翻訳出版された作品だけに、その後は絶版となっていた。その作品が「世界のすべての朝は」とタイトルを新たに復刊されるに至った経緯は、本書の訳者あとがきに詳しい。

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山高登「東京の編集者~山高登さんに話を聞く」(夏葉社)-91歳の版画家が語る新潮社編集者時代の貴重な作家たちとの記憶

 

山高登さんは、大正15年生まれで今年(2017年)に91歳となる木版画家です。

私は、そもそも美術に疎いこともあり、山高登さんという木版画家の存在を知りませんでした。でも、作品は目にしたことがあります。夏葉社から刊行されている関口良雄「昔日の客」に山高登さんの木版画が掲載されているのです。

山高さんは、現在木版画家となっていますが、それ以前は新潮社で文芸編集者をしていたといいます。本書「東京の編集者~山高登さんに話を聞く」は、山高さんが編集者であったことを知った夏葉社の島田さんが、2016年の夏に山高さんのご自宅に通ってお話を聞いた内容をまとめたものです。

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