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ガタガタ書評ブログ

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

【書評】布川郁司「『おそ松さん』の企画術-ヒットの秘密を解き明かす」(集英社)-人気アニメを仕掛けたプロデューサーによるヒット企画を生み出す方法論

ビジネス マンガ 書評
「おそ松さん」の企画術 ヒットの秘密を解き明かす

「おそ松さん」の企画術 ヒットの秘密を解き明かす

 

 

2015年10月から2016年3月まで、最近では珍しく半年にわたって放送されたのが、テレビアニメ「おそ松さん」である。

osomatsusan.com

www.hulu.jp

放送時間帯が深夜であったにもかかわらず、アニメ「おそ松さん」は社会現象ともいえるブームを巻き起こす。視聴率も、最終回では3.0%を記録し、その経済効果は70億円と算出された。おそらく、リアルタイムでアニメ放送をみていなかった人も、「おそ松さん」については何らか耳にしたり目にしたりしたことだろう。

matome.naver.jp

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【書評】ノヴァイオレット・ブラワヨ「あたらしい名前」(早川書房)-子どもたちの無邪気さというフィルターを通して描かれるジンバブエの現実。軽妙さが逆にその苛酷さを物語るような気がする。

書評 海外文学

ジンバブエは、アフリカ大陸の南部に位置する国である。周囲を南アフリカモザンビークザンビアボツワナと隣接している。

私を含め、日本人の多くはジンバブエという国のことをほとんど知らない。私がジンバブエについて唯一知っていることは、数年前にジンバブエが見舞われたハイパーインフレーションによって、“100兆ジンバブエ・ドル”紙幣が発行されたということくらいだ。

あたらしい名前 (早川書房)

あたらしい名前 (早川書房)

 
あたらしい名前

あたらしい名前

 

本書「あたらしい名前」の著者ノヴァイオレット・ブラワヨは、ジンバブエ生まれの女性作家である。彼女は、1981年にジンバブエに生まれ、アメリカに渡って創作を学び、2010年に本書の第1章になっている「ブタペスト襲撃」を発表して高い評価を得た。本書「あたらしい名前」は、2013年のブッカー賞候補に選出されている(受賞は逃している)。

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【書評】監修/小林豊和「イヌの看取りガイド」(エクスナレッジ)-大切な家族だから、最期までキチンと看取るのが飼い主の責任だと思う

ハウツー 動物 書評

お久しぶり!タカラ~ム家のアイドル・ラムよ!

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4月の「世界で一番美しい犬の図鑑」以来だから、ちょうど5ヶ月ぶりね。みんな元気にしてた?

s-taka130922.hatenablog.com

 

アタシは、最近ちょっとお疲れ気味なの。今年の夏も毎日暑かったから、夏バテかしら?

でもね、本当は自覚してるのよ。「なにを?」って、それはね、ホラ、“寄る年波”ってやつ。

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【書評】大竹聡「五〇年酒場へ行こう」(新潮社)-東京中を東へ西へ。老舗酒場で楽しく飲めば、今日も今日とて二日酔い

エッセイ グルメ 書評

最近は、もっぱら家で飲んでいる。お酒のことだ。職場が、都内とはいってもちょっと辺鄙なところにあって、繁華街に出るのが面倒くさいというのが主な理由である。

それでも、月に2回くらい、仕事終わりに電車を乗り継いで飲みに行くことがある。私の場合は、新橋あたりをメインに飲むことが多いが、上野や池袋、新宿あたりまで足を伸ばすこともある。

五〇年酒場へ行こう

五〇年酒場へ行こう

 
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【書評】アントニオ・G・イトゥルベ「アウシュヴィッツの図書係」(集英社)ー《アウシュヴィッツ》という絶望の中で、《本》という希望を守り続けた図書係の少女

書評 海外文学

アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所という場所と、そこで行われていた残虐非道な行為と囚われたユダヤ人たちの絶望の日々については、改めてここで説明する必要はないと思う。毎日、誰かが命を失う。残された人たちは常に「次は自分」という恐怖と絶望に苛まれ、誰もが生きる希望を失っていく。

アウシュヴィッツの図書係

アウシュヴィッツの図書係

 

アントニオ・G・イトゥルベ「アウシュヴィッツ図書係」は、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所に収容されていた実在の少女ディタ・クラウスの収容所における実際の経験をベースにしたフィクションである。

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【書評】隆慶一郎「影武者徳川家康(隆慶一郎全集2~5)」(新潮社)-関ヶ原の合戦で徳川家康は死んでいた。その後の人生を徳川家康として生きるとになった影武者の壮絶な戦いと生き様を描く

時代小説 書評

今年(2016年)の大河ドラマ三谷幸喜脚本による「真田丸」が放送されている。先日(9月4日)の放送では、真田昌幸、信之、信繁の親子が、豊臣方に与する昌幸、信繁と徳川方に与する信之とに袂を分かつことになった「犬伏の別れ」の場面が描かれた。

www.nhk.or.jp

犬伏の別れで豊臣方と徳川方に分かれた真田親子は、その後の天下分け目の戦いにおいて東軍(徳川)と西軍(石田)として重要な役割を果たしていくことになる。昌幸・信繁に率いられた真田軍は、上田城攻略を狙った徳川秀忠軍を迎え撃ち、少数精鋭の真田軍に手こずった秀忠軍は結果として父家康の待つ関ヶ原に遅参するという失態を演じることになる。このことが、家康と秀忠の関係を悪化させたとされている。

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【書評】栗原康「村に火をつけ、白痴になれ-伊藤野枝伝」(岩波書店)-あまりに激しい伊藤野枝の28年にわたる短い戦いの人生

ノンフィクション 書評

冒頭に、地元の郷土史家である大内士郎氏から聞いたというこんなエピソードが紹介されている。

およそ十数年前に、伊藤野枝の生まれ故郷である福岡県糸島郡今宿村(現在の福岡市西区)でテレビの取材があった。もちろん、伊藤野枝に関する取材だ。野枝と同世代の老婆がまだ存命とのことで、そのおばあさんにインタビューすることになったのだが、話を聞こうとしても彼女は「そんなひとはしりません」の一点張り。結局、取材はできなかった。

その夜のこと、老婆は大内氏の家にやってきた。

昼間はおとなしかったおばあさんが、いきりたって大声をあげている。「おまえはなにを考えとるんじゃあ!テレビなんかにうつったら、世間さまに、ここがあの女の故郷だとしられてしまうじゃろうが!」どういうことだろう。大内さんがけげんそうな顔をしていると、おばあさんはこうさけんだという。「あの淫乱女!淫乱女!」

村に火をつけ,白痴になれ――伊藤野枝伝

村に火をつけ,白痴になれ――伊藤野枝伝

 
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