ガタガタ書評ブログ

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

オリヴィア・スネージュ:文/ナディア・ベンシャラル:写真「パリの看板猫」(青幻舎)-カフェ、書店、ホテル。パリの店先には猫がよく似合う

パリの看板猫

パリの看板猫

  • 作者: オリヴィア・スネージュ,ナディア・ベンシャラル
  • 出版社/メーカー: 青幻舎
  • 発売日: 2016/03/03
  • メディア: 単行本
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ふと立ち寄った店で、品物が整然と並ぶ陳列棚の片隅に丸くなっている猫がいると心がほっこりする。不思議なもので、家で飼っているペットは犬なのに、店の看板動物というと猫の方がいい。

「パリの看板猫」は、パリにあるカフェや書店、ホテルなどでお客様の癒やしの存在となっている看板猫を集めた写真集である。〈パリ〉というだけでもオシャレだというのに、紹介されている猫たちのなんとオシャレなことよ。いや、よくよく見れば日本の喫茶店や古本屋の店先で、何事にも「我関せず」と寝転んでいる猫と根本的には同じ動物なのだけど、〈パリの猫〉というだけで、数段格上のような気がしてくる。

本書には、18の店で看板猫としてお客様をお迎えしている猫たちが紹介されている。

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金呂玲(キム・リョリョン)/金那炫(キム・ナヒョン)訳「優しい嘘」(書肆侃侃房)-その日チョンジが死んだ。彼女はなぜ自殺したのか。そして、残された者はどう生きればよいのか。

優しい嘘 (Woman's Best 韓国女性文学シリーズ2)

優しい嘘 (Woman's Best 韓国女性文学シリーズ2)

 

 

明日を迎えるはずだったチョンジが、今日、死んだ。

キム・リョリョン「優しい嘘」は、この文章からはじまる。文字通り、ひとりの少女の自殺がすべての物語の発端にある。

ある日、突然自ら命を絶った少女チョンジ。なぜ彼女は自殺したのか。チョンジの姉マンジは、妹の自殺の真相を知りたいと考える。

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大岡昇平「野火」(新潮社)-極限状態におかれたとき、人間の心は崩れ壊れる

野火 (新潮文庫)

野火 (新潮文庫)

 
野火(新潮文庫)

野火(新潮文庫)

 

太平洋戦争末期。もう勝てる見込みなどまったくないフィリピンの戦場で、壮絶な飢えと絶望と闘いながら必死の抵抗を続ける日本軍。極限状態であらわれる人間の本性。

大岡昇平「野火」は、戦争の悲惨さ、極限状態におかれた人間の弱さとしたたかさを描き出した戦争小説の代表的な作品である。1952年に刊行され、第3回読売文学賞を受賞している。

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美谷島邦子「御巣鷹山と生きる~日航機墜落事故遺族の25年」(新潮社)-日航機墜落事故から32年。あの事故を語り継ぐことが空の安全に繋がることを信じて

御巣鷹山と生きる―日航機墜落事故遺族の25年

御巣鷹山と生きる―日航機墜落事故遺族の25年

 

1985年8月12日乗員乗客計524名を乗せた日航ジャンボ機123便羽田発伊丹行の飛行機が突如操縦不能に陥り、約32分間迷走した後群馬県御巣鷹山の尾根に墜落した。死者520名生存者4名。単独機の事故としては現在でも世界最大の惨事である。

著者は、この事故で当時9歳の次男・健を失った。健は初めての飛行機で大阪の親戚の家に遊びに行く途中だった。

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デイヴィッド・フィンケル/古屋美登里訳「帰還兵はなぜ自殺するのか」(亜紀書房)-戦争によって傷ついた身体は治せるかもしれないが、壊れた心を治すのは簡単なことではない

帰還兵はなぜ自殺するのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)

帰還兵はなぜ自殺するのか (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ)

 
帰還兵はなぜ自殺するのか 亜紀書房翻訳ノンフィクション

帰還兵はなぜ自殺するのか 亜紀書房翻訳ノンフィクション

 

読み終わっても言葉を見つけられないでいる。

大量破壊兵器保有していることを理由にアメリカがイラクに攻撃をしかけて始まったイラク戦争では、およそ17万人の米兵が戦争に駆り出され、4000人以上の戦死者、3万人に及ぶ負傷者を出した。そして、この戦争は、アメリカに帰還した兵士たちの心に大きな傷を残した。アフガニスタンイラクでの戦争からの帰還兵に自殺者が相次いだのだ。

デイヴィッド・フィンケル「帰還兵はなぜ自殺するのか」は、帰還兵の自殺問題を取材したノンフィクションである。

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永井隆「長崎の鐘」(青空文庫)-1945年8月9日午前11時2分長崎の空に原爆は落ちた

長崎の鐘

長崎の鐘

 

1945年8月6日に広島に落とされた原子爆弾は、一瞬にして十数万人にも及ぶ犠牲者を出した。そして、3日後の8月9日には長崎に2発目の原子爆弾が投下された。

本書は、長崎医科大学(現在の長崎大学医学部)の助教授として勤務していた永井隆医学博士が書き記した長崎の原爆被害の記録である。原爆投下直前の8月9日の長崎医科大学の様子から始まる記録は、戦時下の混乱の中、いつもと変わらぬ1日を始めていた人々の生活が、原子爆弾の炸裂により一変する様を淡々した描写で記していく。

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読書探偵作文コンクール事務局編「外国の本っておもしろい!~子どもの作文から生まれた翻訳書ガイドブック」(サウザンブックス)-本を読むことの面白さを子どもたちの生き生きとした作文から再発見しました!

外国の本っておもしろい!  ~子どもの作文から生まれた翻訳書ガイドブック~

外国の本っておもしろい! ~子どもの作文から生まれた翻訳書ガイドブック~

  • 作者: 読書探偵作文コンクール事務局,越前敏弥宮坂宏美ないとうふみこ竹富博子田中亜希子
  • 出版社/メーカー: サウザンブックス社
  • 発売日: 2017/08/21
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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子どもの頃から本を読むのが好きでした。誕生日やクリスマスのプレゼントには本を買ってもらうような子どもでしたね。それがそのまま大人になっておじさんになっても続いているのですから、本を読む楽しさというのがどれほど普遍的なものなのか実感しています。

ただ、本を読むのは好きですが、どうにも苦手だったものがあります。夏休みの読書感想文です。今でこそこうして稚拙な文章を“レビュー”などと称して書き綴っては書評サイトやブログにアップして悦に入っていますが、子どもの頃は読書感想文を書くのが苦手で、毎年夏休みの終わり近くになってウンウンと唸りながら原稿用紙に向かっていたのを思い出します。

なぜ、読書感想文があんなに苦手だったのだろう。その答えが、本書「外国の本っておもしろい!」に掲載されている子どもたちの読書作文を読んでわかりました。

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