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ガタガタ書評ブログ

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

原理原則にもとづいて考えることで見えてくる世の中のおかしなところを二人の論客がバッサリと斬る-勝谷誠彦✕田尾和俊「怒れるおっさん会議」

書評

物事を原理原則から照らして理路整然と突き詰めていくことは、何かを考えるにあたって当たり前のことであるはずだ。しかし、原理原則に照らして明確な目的と目標(具体的な数値)を決めることやそれを広くオープンにすることは、どちらかというと敬遠されているように思える。

原理原則にもとづいた考えとは正論であり、正論とは得てして敬遠される存在だと思うのだ。というのは、例えば会議の席などで、原理原則論に沿って発言をした場合などに、

「それは確かに正論だけどさ、正論ばかりで世の中回っているわけでもないしね」

などと、「こいつ何を言っているんだ?」的な意味不明な返し方をされて困惑することがあり、それでも原理原則に沿った発言を繰り返していると、最終的には周囲から浮き上がり、人間として敬遠されることになる。

最近、ロジカルシンキングのレクチャーを受ける機会があった。

ロジカルシンキング(論理的思考)の基本は原理原則論である。明確な目的が存在し、具体的なデータによって裏付けされ、誰もが共有できる基本的な理念であり、「お金持ちになりたい」とか「幸せになりたい」とかいう、明確で具体的なビジョンの見えない曖昧な観念は、原理原則にはなりえない。

怒れるおっさん会議 inひみつ基地

怒れるおっさん会議 inひみつ基地

 

本書「怒れるおっさん会議」は、本のタイトルこそおふざけテイストであるが、その内容は極めて真っ当であり、論理的である。ジャーナリストでありテレビの辛口コメンテーターとしても活躍している勝谷誠彦氏と、四国学院大学教授であり麺通団団長としてさぬきうどんブームを巻き起こした田尾和俊氏という二人の論客が、世の中の矛盾に満ちた出来事に対して、原理原則の観点から語り尽くしていく。

例えば、ここ数年話題になっている「地方活性化」について。香川県で大学教授を勤め、さぬきうどんブームを生み出したという実績などから、田尾氏は、地域の活性化や商店街の活性化についてのアドバイスを求められることが多いという。そこで、まず田尾氏は担当の方にこう尋ねるのだという。

田尾 (前半略)僕、商店街の活性化の会なんかに呼ばれて意見を求められたら、「目的は何ですか?」って最初に聞くんです。そしたらね、「商店街の活性化が目的です」って。「タイトルにもあります」って言うんです。
 でも、「商店街の活性化」というのは、僕ら経営をやってる人間からしたら、目的でも何でもないんです。あれは祝詞みたいなスローガンであって、具体的に何がどうなったら商店街の活性化が達成したとするのかっていうのを聞くと、答えがない。(以下略)
                     p.37-38より一部抜粋

本書で勝谷氏、田尾氏が言うように、民間企業では明確な目的、具体的な目標をキチンと定めて株主や社員などのステークホルダーに公開し、ビジョンを共有しなければ経営が成り立たない。株主は常に企業の具体的なビジョンと取り組みそして成果を重視するし、社員は自らの行動を会社が目指すビジョンを実現する目的で考え実現する。

原理原則で行動するというのは、まぎれもない正論である。正しく行動できていれば正論をぶつけられても怯むことはない。だが、正しく行動できていないと正論はグサリと胸を穿つ。痛いところを突かれるから、ある人は黙りこみ、またある人は逆ギレしたりする。

原理原則にもとづいて行動すると、大抵の場合嫌われる。だから怖い。私のように臆病な人間は、相手の考えが原理原則に照らしておかしいと思っても、面と向かって「おかしいですよ」と意見する度胸はない。結果、自分が意図しない方向へと話が進み、カオスの泥沼に引きずり込まれてしまう。

でも、これからは正しく原理原則にもとづいて行動できるようにしなければと思う。それが、本当に正しい道なのだと思う。