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西島大介「アオザイ通信完全版#3~旅の終わりと始まり」(双子のライオン堂)-全3巻ついに完結!「ディエンビエンフー」のサブテキストとしてベトナム戦争を知り、西島大介の世界を知ろう!

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ベトナム戦争を舞台とし、西島大介の代表作となった「ディエンビエンフー」。その“本当の終わり”として刊行されてきた「ディエンビエンフーTRUE END」全3巻が完結した。それに合わせて、「ディエンビエンフー」の補足的に描き続けられてきた「アオザイ通信」も、本書「アオザイ通信完全版#3~旅の終わりと始まり」をもって全3巻が完結となる。

アオザイ通信完全版#1~食と文化」では、サブタイトルの通りベトナムの食と文化について描かれたものをまとめ、さらに「ディエンビエンフー」の執筆に関するエピソードなどについて語った一万字インタビューの前編が掲載された。

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 アオザイ通信#2~歴史と戦争」は、#1が比較的優しい内容だったのに対して、ベトナム戦争という悲劇的で残酷な戦争という実態をベトナムが抱えてきた歴史を背景に解説する内容のエッセイマンガと一万字インタビュー後編で構成されていて、日本からは遠いベトナムで起きた事実を知ることができた。

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 今回、完結となる「アオザイ通信完全版#3」が描くのは、ベトナム戦争がなぜ起きたのか、ベトナム戦争とはどのような戦争だったのか、なぜ戦わなければならなかったのかということ。「ディエンビエンフー」が“TRUE END”として完結するまでの紆余曲折。完結に対する西島氏の思い。「ディエンビエンフー」執筆のための取材その他でベトナムを訪れたときのエピソードなどで構成される。

ベトナム戦争の背景を知るという意味では、「4ページでわかるベトナム戦争と題し、Part1~Part3で解説するマンガがわかりやすい。漠然と『ベトナム戦争は、当時の東西冷戦を背景にしたアメリカとソ連の代理戦争』というイメージで捉えていたが、これを読むともっと複雑なものであったとわかる。また、アメリカがベトナム戦争の泥沼から抜け出せなくなっていく状況もわかる。

西島大介人生通信(特別編)」として行われたロングインタビューには、「ディエンビエンフーTRUE END」の完結にあたり、これまで西島氏が「ディエンビエンフー」を描くために歩んできた道のりを振り返りつつ語っている。あらためて、いろいろと大変な状況で描き続けられてきた作品なのだということがわかったし、なにより西島氏自身が「ディエンビエンフー」という作品に入れ込んでいたということがよくわかった。

#2の次巻予告に『第3号のテーマは「旅!?」』とあって、#2のレビューには『!?』が気になると書いた。刊行された#3を読んで、「なるほど、これは『いろいろな意味で』旅だ」と感じた。ベトナム戦争を知るための旅。「ディエンビエンフー」を描き切るための旅。それらはすべて西島大介というマンガ家の人生の旅なのかもしれない。

西島大介がマンガ家人生を賭けて(おおげさ?)描き切った「ディエンビエンフー」と「ディエンビエンフーTRUE END」だが、実はまだ読んでいない。#2のレビューで「ディエンビエンフー」全6巻のKindle版は購入したと書いたが、「TRUE END」は入手もしていない。このレビューを書きながらAmazonを検索してみたら、なんと今(2018/9/21時点)なら、全3巻合わせて756円で買えるではないか!

ということでさっそくポチりました。読んだらレビューします。いつ読むかは未定ですが(笑)