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【書評】ドナ・タート「ゴールドフィンチ(3)」(河出書房新社)-いよいよ物語はラストに向けて加速し始める

ゴールドフィンチ 3

ゴールドフィンチ 3

 
ゴールドフィンチ 3

ゴールドフィンチ 3

 

第1巻のレビューの最後で、「一気読み必至」とか書いておきながら、図書館で1巻ずつ借りてきているのと、間に別の本を読んだりしていることもあって、どうしても一気読みとはいかずに間が開いてしまっている。今回も、前巻からおよそ1ヶ月も過ぎて、ようやく「ゴールドフィンチ(3)」を読了した。

 

美術館の爆破テロ事件で母親を失ったテオ少年が、現場から持ち出した絵画「ごしきひわ」をめぐって展開する物語なのだが、第1巻、第2巻までは、なぜウィルティ老人がテオにその絵を持ち出すように頼んだのか、その理由や「ごしきひわ」に隠された謎は明かされることなく、テオの成長を軸にした物語が展開していた。

第3巻は、第2巻で飲んだくれでDVな父親が悲惨な死に方をして、彼の呪縛から逃れてラスベガスからニューヨークに戻ったテオが、ウィルティ老人のビジネスパートナーであったホービーの庇護を受けて暮らし始めてから8年後を描いている。大学に進学したテオは、ホービーの骨董店を手伝うようになっているのだが、ちょっとばかり悪どいやり方で商売をしている。そして、それが元でトラブルに巻き込まれるのだが、そのトラブルの相手が後半でテオが美術館から持ち出した「ごしきひわ」に関わってくるのだ。

テオが巻き込まれるトラブルと並行して、彼には人生における別れと出会いが訪れる。

別れは、テオが爆破テロで母親を失った後、ろくでなしの父親に引き取られるまでの間、彼を家庭に受け入れてくれたバーバー家のバーバー氏と息子のアンディの死だ。偶然に街中でプラット・バーバーと再会したテオは、ふたりの事故死を知らされる。彼は、プラットに連れられて懐かしのバーバー家を訪れ、バーバー夫人との再会を果たす。そして、バーバー家のキッツィと付き合い始め、ふたりは婚約する。

ビジネスではトラブルを抱えているものの、プライベートでは恋人との婚約を果たして幸福そうに見える。しかし、テオには心の奥底に淀んだ澱のような存在として「ごしきひわ」が横たわっていて、その存在が歳月を経ることで次第次第に彼を圧迫していく。そのことが、テオをイラつかせ、酒やドラッグを常習するようにもなっていく。

本作「ゴールドフィンチ」の第1巻の幕開けで、テオが何らかの重大な事件に巻き込まれていることが示されている。この第3巻で、彼が巻き込まれる事件の発端が見えてくる。それは、やはり「ごしきひわ」を巡って展開する事件であろう。

次の第4巻はいよいよクライマックスの巻である。テオは、自らが巻き込まれた「ごしきひわ」を巡る事件といかに対峙するのか。そもそも「ごしきひわ」を巡る謎とはいったい何か。

第4巻はあまり間を開けずに読みたいと思っています。

 

s-taka130922.hatenablog.com

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ゴールドフィンチ 1

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ゴールドフィンチ1

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ゴールドフィンチ 2

ゴールドフィンチ 2

 
ゴールドフィンチ 2

ゴールドフィンチ 2

 
ゴールドフィンチ 4

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ゴールドフィンチ 4

ゴールドフィンチ 4

 
ゴールドフィンチ 1?4合本版

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