タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

2025-03-01から1ヶ月間の記事一覧

「関心領域」マーティン・エイミス/北田絵里子訳、田野大輔監修/早川書房-それぞれの関心領域の中で繰り広げられる物語

リンク 1945年1月27日、ポーランドに進軍したソ連軍によってアウシュヴィッツ強制収容所は解放されました。今年(2025年)は、解放から80年となる節目の年であり、現地では追悼式典が行われました。 マーティン・エイミス「関心領域」は、アウシュヴィッツ強…

「犬と猫 ペットたちの昭和・平成・令和」小林照幸/毎日新聞出版-ペットを飼うことはその命に責任をもつこと。終生飼育で殺処分ゼロを実現したい。

リンク 環境省が公表している「犬・猫の引取り及び負傷動物等の収容並びに処分の状況」という統計資料によれば、2022年度(2022年4月1日~2023年3月31日)に殺処分された犬、猫の数は合計で11,906(犬:2,434、猫:9,472)となっています(※参照)。年間に1…

「幽霊ホテルからの手紙」蔡駿/舩山むつみ訳/文藝春秋-“中国のスティーヴン・キング”と称される作家によるゴーストストーリー。託された木匣と幽霊客桟に蠢く謎とは?

リンク スティーヴン・キングは世界中にいます。 スティーヴン・キングといえば言わずとしれたホラー小説の第一人者。“モダン・ホラーの帝王”と呼ばれ、ホラー小説というジャンルに新たな世界を築き上げた作家です。 キングが登場し、モダン・ホラーという形…

「友だち」シーグリッド・ヌーネス/村松潔訳/新潮社-近しい者を失うこと。親しき者を失うこと。その喪失の悲しみは深く胸に刻まれる。

リンク シーグリッド・ヌーネス「友だち」に描かれるのは“喪失”です。主人公である女性作家の一人称で紡がれるのは、尊敬し、そして誰よりも心を許せた男友だちを突然失った彼女の喪失からくる孤独の物語です。 「これは不思議な小説である」と、訳者はあと…