タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

いつまでもいつまでも、彼らはきっと待ち続けるだろう−ドッグウッド・著/増谷克美・写真「待っている犬 東日本大震災で被災した犬猫たち」

2015年3月11日。東日本大震災から4年目のあの日を迎えた。もう4年経ったのか、という思いと、まだ4年しか経っていないという気持ちが交錯している。
東北の被災地は、だいぶ復興が進んでいるところと、まだまだ全然進んでいないところがあって、被災者の生活も少しずつ元の状態を取り戻しつつある人がいる一方で、歳月を経ても、いまだに仮設住宅で暮らしている人たちもいる。

待っている犬  東日本大震災で被災した犬猫たち

待っている犬 東日本大震災で被災した犬猫たち

 

東日本大震災では、人間と同様にペットの犬や猫も被災した。本書は、被災して飼い主を失ったり、はぐれてしまった犬や猫を保護して、里親を世話したり、元の飼い主を探す活動をしている「ドッグウッド」という仙台にあるショップのスタッフによる記録である。

大規模な地震と巨大な津波という大災害の中では、人間は自分たちの命を守ることだけで精一杯で、飼っているペットたちにまで気が回らなかった。

飼い主に取り残され、飼い主とはぐれ、結果的に津波にのまれて命を落としてしまったペットがいる。

大怪我をして運び込まれ、スタッフの懸命の努力も虚しく死んでいったペットがいる。

その一方で、無事に救出保護されて、スタッフにもなつき、里親や元の飼い主に引き取られて幸せに暮らせるようになったペットもいる。

それはすべて運命だ。どんな結果であったとしても、それは誰の責任でもない。だから、飼い主を責めてはいけない。

ペットは飼い主にとっては家族である。だからこそ、どんなときでもいっしょにいたいと願う。今回の大災害でペットを失くした飼い主、避難の過程でペットを置き去りにせざるを得なかった飼い主たちの心痛は如何許りであろうか。

私も14歳になる老ビーグル犬を飼っている。我が家の生活は、ほぼ彼女(メスなので)を中心にして回っているといっても過言ではない。

あの日、関東にある我が家周辺もそれまでに経験したことのない大きな揺れに見舞われた。たまたま散歩中だった彼女は、その恐怖から動けなくなり、どうにか自宅に帰りついて以降、夜になるまで風呂場の奥に閉じこもって出てこなくなった。それだけ、地震の揺れは恐怖だったのだろう。今でも、ちょっと大きな地震があると、不安そうに落ち着きを失う。

日本はペット大国である。しかし、ペットの被災対策については今回の大災害が発生するまでほとんど考えられてこなかった。今回の地震で、ペットを連れた避難のあり方や、避難所あるいは仮設住宅でのペットの飼育、保護といった問題が露呈したといえる。

本書は、2012年に刊行された。それから3年が経った今もドッグウッドの活動は続けられている。この活動がいつまで続けられるのか。保護されている犬猫たちは、いつになれば優しい飼い主さんのもとに戻れるのか。少しでも平穏な日々が、彼らに訪れることを祈り続けたい。

ドッグウッドHP http://www.dogwood-jp.com/
スタッフブログ http://blog.goo.ne.jp/welcome-dogwood