タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

【書評】リンド・ウォード「狂人の太鼓」(国書刊行会)ー120枚の木版画によって紡ぎ出される読者の想像力をかりたてる作品

狂人の太鼓

狂人の太鼓

 

すべては1枚の木版画からはじまる。

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【書評】文学ムック「たべるのがおそいVol.2」(書肆侃侃房)-待望の第2号発刊。今度の特集は「地図−共作の実験」と題する様々なコラボ企画。創作では大前粟生に注目だ

文学ムック たべるのがおそい vol.2

文学ムック たべるのがおそい vol.2

 
文学ムック たべるのがおそい vol.2

文学ムック たべるのがおそい vol.2

 

創刊号で、長く作家活動から遠ざかっていた今村夏子の待望の新作「あひる」を掲載するという快挙を達成し、さらに第155回芥川賞候補になるというオマケまでついた文学ムック「たべるのがおそい」のVol.2が刊行された。

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【書評】鄭泳文「ある作為の世界」(書肆侃侃房)−あるがまま、見たままをただ書き綴る。ただそれだけが面白い

ある作為の世界

ある作為の世界

 

鄭泳文(チョン・ヨンムン)による本書「ある作為の世界」は、彼が大山文化財団という団体の支援を受けて2010年春から夏にかけてサンフランシスコに滞在したときに執筆されたと「序文」の著者の言葉にある。そこには、次のようなことが書かれている。

【書評】施川ユウキ「バーナード嬢曰く。(3)」(一迅社)-まさかのアニメ化で注目の「ド嬢と仲間たち」は今回も図書館で読書談義に花を咲かせる

10月からスタートのアニメも評判(になっているのか?)の「バーナード嬢曰く。」の第3巻が出た。発売日にさっそく購入し速攻で読みましたとも。

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【書評】ドナ・タート「ゴールドフィンチ(2)」(河出書房新書)−母を失った少年の前に、失踪中だった父が突然現れた。少年は、父に引き取られラスベガスで暮らすことになるのだが…

ゴールドフィンチ 2

ゴールドフィンチ 2

 
ゴールドフィンチ 2

ゴールドフィンチ 2

 

美術館での爆破テロ事件に巻き込まれて母親を失った少年テオが、同じ現場に居合わせた老人ウェルティから託された「ゴールドフィンチ」という1枚の絵とともに様々な困難に巻き込まれつつ成長していく2014年ピュリッツァー賞受賞の大長編小説の第2巻。

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【書評】草彅洋平「作家と温泉」(河出書房新社)-♪いい湯だなぁ~、作家に温泉はよく似合う

ブックポート大崎ブライトタワー店で大好評開催中の「本が好き!#棚マルフェア」には、書評サイト「本が好き!」に参加しているレビュアーさんたちが熱烈推薦する本が並んでいる。ジャンルも多種多様で、「へぇ~、こんな本が出てたのか」とか「うわぁ~、この本は面白そうだ」など、さすがに本好きたちの選んだ本だと唸らされるラインナップだ。

info.honzuki.jp

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作家と温泉---お湯から生まれた27の文学 (らんぷの本)

作家と温泉---お湯から生まれた27の文学 (らんぷの本)

 

本書「作家と温泉」も、フェア本の中の1冊。推薦者は、レビュアーのmono sashiさん。当然ながら、ブックポート大崎ブライトタワー店さんのフェア棚から購入したものである。

www.honzuki.jp

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【書評】ペーター・シュタム「誰もいないホテルで」(新潮社)-美しい文章(美しい翻訳)に癒やされる

小説にはいろいろなタイプがあって、プロットの妙で読者を引きつける作品もあれば、キャラクターの魅力や会話の面白さでページをグイグイと読み進めてしまう作品もある。
 
文章が美しい小説というのも、さまざまに存在する小説のタイプのひとつだと思う。書かれていることは、意外と普通の、私たちが日常的に体験しているような話でも、文章の美しさがまるで違った世界であるかのように魅せてくれることもある。海外文学の場合は、翻訳の妙というのもあるだろう。
誰もいないホテルで (新潮クレスト・ブックス)

誰もいないホテルで (新潮クレスト・ブックス)

 

ペーター・シュタム「誰もいないホテルで」は、表題作を含む10編の作品が収められた短編集である。翻訳は、日本翻訳大賞の創設メンバーでもある松永美穂さん。