ガタガタ書評ブログ

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リチャード・プラット文、クリス・リデル絵/長友恵子訳「海賊日誌~少年ジェイク、帆船に乗る」(岩波書店)-さあ、少年よ!いざ冒険の海へ!

 

昨年(2017年)書評コミュニティサイト「本が好き!」で開催された「やまねこ20周年記念読書会」をきっかけに〈やまねこ翻訳クラブ〉メンバーの訳書をいくつか手に取ってきた。その中には、「なぜカツラは大きくなったのか?-髪型の歴史えほん」(宮坂宏美訳)や「中世の城日誌~少年トビアス、小姓になる」(長友恵子訳)のようにレビュアーからの投稿が相次ぎ、「カツラまつり」「城まつり」といわれるほどに盛り上がった作品もあった。

本書「海賊日誌~少年ジェイク、帆船に乗る」は、そのタイトルからもおわかりのように「中世の城日誌~少年トビアス、小姓になる」の姉妹編のような作品だ。リチャード・プラット文、クリス・リデル絵という組み合わせも同じ。翻訳も同じく長友恵子さんとなっている。

「中世の城日誌」と同様、本書も少年の日誌の形で物語が展開する。

1716年9月23日。イギリスの植民地であったアメリカはノースカロライナ州にあるホリオーク村に住む少年ジェイク・カーペンターは、ウィルおじさんとともに船にのることになる。ちょっとした手違いはあったもののグレイハウンド号に職を得ることができたふたりは、他の乗組員たちとともにマルティニーク島に向けた航海へと旅立つ。長い航海の中で、ジェイクは大工見習いとしてアダムの手伝いをすることになる。アブラハムというコック見習いの友人もできた。

航海の中でジェイクは様々なことを体験する。その中には楽しいことも、残酷なこともある。船の上では船長の命令は絶対だ。グレイハウンド号の船長ニックは独裁的な残酷な男で、ときに船員に理不尽な罰を与えたりする。

途中、海賊の襲撃を受けて船が乗っ取られ(船長は囚われの身となり哀れな末路をたどる。彼の人徳のなさからすれば仕方ない)、グレイハウンド号自体が海賊船となる。こうしてジェイクは、様々な経験を積み、船乗りとして成長をしていくのである。

「中世の城日誌」が、少年トビアスの成長を通じて、中世の城事情を時代背景や城での仕事、人々の役割を通してわかりやすく解説する知識教養絵本であるのと同様、「海賊日誌」もまだアメリカがイギリスの植民地であった18世紀初頭の時代を背景にして、船乗りたちが船の上でどういう生活をしていたのか、どんな仕事があったのか、船長がどれだけの権力を有していたのかなど当時の船事情をわかりやすく解説している。「中世の城日誌」にあった城の構造や名称を解説するページは本書にもあって、グレイハウンド号の内部構造を解説するページがある。船の各部の名称や中がどういう構造になっているかなどわかりやすく図示されていて勉強になる。

訳者の長友さんは、「中世の城日誌」を翻訳するときに様々な文献をあたり、ずいぶんと苦労をして翻訳されたそうだ。きっと本書「海賊日誌」の翻訳でも苦労をされただろうと思う。そうした翻訳者の苦労があって、私たちは外国の本を読むことができる。翻訳者の仕事には本当に感謝である。

 

s-taka130922.hatenablog.com

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なぜカツラは大きくなったのか?―髪型の歴史えほん

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中世の城日誌―少年トビアス、小姓になる (大型絵本)

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