タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

河田桟「馬語手帖~ウマと話そう」(カディブックス)-マジメに馬と話すための本

 

「馬と話ができたらな〜」

そんなことを考えたことがある人がどのくらいいるのかはわからないが、いろいろな事情で馬とのコミュニケーションを取らなければならない立場の人は少なからずいるはずだ。競馬関係者、牧場で働いている人、それから…まぁ、いろいろ。

河田桟「馬語手帖 ウマと話そう」は、2009年に馬と暮らすために与那国島に移住した著者が、馬たちと暮らす中で彼らとコミュニケーションを取るために、観察し発見した馬の言葉「馬語」について記した本だ。

 

『馬とのコニュニケーションの取り方』というと、なんだかウケ狙いのようにも思えるが、本書はあくまでマジメに馬とのコミュニケーションを図る方法を模索している。

著者が2009年から1年半にわたって馬と暮らしてきた中で気づいたのは、馬が鳴き声よりも顔の表情や仕草で自分の意思を相手に伝えるということだ。

例えば。耳がどこを向いているか、どんな具合に開いているか、寝ているか、で馬は感情を表している。

くつろいでいるときには、馬は耳を少し開く。
疲れていたり、相手に従順を示すときは、馬は耳を寝かせる。
不安なときは、馬の耳は落ち着きなくクルクルと動いている。
機嫌が悪いときは、馬の耳はうしろにピッタリとついている。そんなときは近づいてはいけない。

耳以外にも、目、鼻、口と顔のパーツにはそれぞれに馬を表情をあらわし、私たちは馬の表情をみて、彼らの感情を読み取る。機嫌が良ければ楽しいコミュニケーションがとれるだろうし、不機嫌な馬に迂闊に近づいたら必殺の足蹴りを食らってしまうかもしれない。

馬の感情を表情や仕草から読み取れるようになったら、いよいよ実践だ。しかし、馬とのコミュニケーションはそう簡単にはいかない。相手との間合いをとり、ご機嫌を伺いつつ、ゆっくりと距離を近づけていく。人間の側からグイグイと行ってはいけない。馬の気持ちを最優先にして、彼らの間合いで、むしろ彼らに委ねることだ。そうすれば、きっと彼らは私たちを受け入れてくれるに違いない。