2014-01-01から1年間の記事一覧
ハイペリオンシリーズの第3部にして、エンディミオン2部作の第1作にあたる。直球のジェットコースターアクションに仕上がっている。 エンディミオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) 作者: ダンシモンズ,Dan Simmons,酒井昭伸 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: …
“ハイペリオン”から“エンディミオン”へと続く叙事詩の中間地点。ハイペリオン二部作の愁眉を飾る作品である。前作では、ハイペリオンへの巡礼に赴く7人の、それぞれが抱える過去や想いが語られた。本書では、いよいよハイペリオンに存在する“時間の墓標”や…
今年(2014年)のノーベル物理学賞は、青色発光ダイオードの研究、開発、普及への貢献が評価された日本人3人が受賞した。 怒りのブレイクスルー―「青色発光ダイオード」を開発して見えてきたこと (集英社文庫) 作者: 中村修二 出版社/メーカー: 集英社 発売日:…
壮大な物語のはじまりは、たいていの場合、ひっそりとしたものだ。「ハイペリオンの没落」、「エンディミオン」、「エンディミオンの覚醒」と四部作をなす一大叙事詩の幕開けも、決して派手派手しいものではない。 ハイペリオン〈上〉 (ハヤカワ文庫SF) 作者…
今年もノーベル各賞の発表が行われ、日本人3人がノーベル物理学賞を受賞したことやマララさんのノーベル平和賞受賞が話題になった。 そして、今年もやはり日本では村上春樹氏のノーベル文学賞受賞なるか、が盛り上がっていた。2006年か2007年頃から毎年のよ…
「悪人」で犯罪に手を染めてしまった青年の苦悩を描いた吉田修一が、本書で描くのは、自分が愛した又は信じた相手が犯罪者かもしれないと知った時に、人はその愛情、信頼を保ち続けられるのか。そして、愛すること、信じることに裏切られたときの「怒り」を…
このレビューを書いている今、2014年のノーベル文学賞がフランスのパトリック・モディアノに決定した。今回も日本が期待する村上春樹のノーベル文学賞受賞は夢と消えたわけである。 その村上春樹が受賞を逸したノーベル文学賞を2012年に受賞したのが、現代中…
イアン・マキューアンが変態なのは最近の作品(例えば「ソーラー」とか)を読めばわかる。1998年には「アムステルダム」でブッカー賞も受賞しているし、最終候補には計4回選ばれている。いわば、イギリス文學界ではけっこうな地位のある作家なのである。でも…
昭和に生まれ育った私にとって、学校図書室で出会った本の数々が今に至る読書遍歴のスタートラインであったと思う。そんな昭和世代の我々世代にとって懐かしい気持ちになる本が本書「少年少女ミステリ美術館 表紙で見るジュニア・ミステリの世界」である。 …
旧ソ連で秘かに創作活動を行い、粛清により命を落とした不遇の作家ダニイル・ハルムス。ゴルバチョフのペレストロイカによりソ連が崩壊したことで、陽の目を見ることになった彼の作品とその解説を収録した作品集である。 ハルムスは、1905年に生まれた。当時…
本書は1969年に書かれたフランスの小説である。著者は、本書を執筆するにあたってある制約を課した。それは、フランス語で最も頻繁に使用される文字“e”を一切使用しないということ。フランス語において“e”を使わないということは、英語でいえば定冠詞である“…
読み終えて、実は意外と救われる作品なのだと思った。親による子供の虐待。心を病んだ少年、少女。トラウマを抱え、誰にも救われることもなく成長する苦しさ。素直な気持ちを伝えられず結局相手を傷つけるだけの恋。だが、最後に語りかける言葉でそれはすべ…
歴史を語る上で“if”はつきものである。もし、本能寺で織田信長が死んでいなかったら。もし、太平洋戦争で日本が勝っていたら。時代小説の中には、そういう“if”をテーマにした作品がある。 本書は、「もし、徳川家康が暗殺されていたら」がテーマである。…
今年(2014年)7月、長崎県佐世保市で世間を震撼される事件が起きた。市内の高校に通う女子生徒が、同級生の女子生徒を殺害し、死体の首と左手首を切断した猟奇事件である。女子高生が事件を起こしたこととその計画性、猟奇性が世間に戦慄を与えた。 今…
性の芽生えを4人の少年少女を主人公に描きあげた傑作である。ラストは思わず涙がこぼれた。 物語は静岡県の架空の地方都市美流間市を舞台に、心太、無量、千穂、仁美の4人の少年少女の小学生から高校生までの成長を描いている。心太は地元育ちで人望も厚く…
今、東京は2020年のオリンピック開催に向けて様々な準備活動を展開している。新しい国立競技場の建設やその他会場、選手村の建設など、オリンピックにための公共投資、建設ラッシュが今後予定されている。 東京オリンピックが開催されるのは2020年が…
安倍政権が掲げる目玉政策の中に「女性の活用」がある。結婚や出産、子育てなどで仕事から離れたまま社会復帰が果たせないでいる女性たちの能力を積極的に活用しようというもので、そのための施策として子育て支援や女性の再雇用支援、女性管理職の登用支援…
ある日、自分が癌であると知ったなら。果たして平静にしていられるだろうか。延々と続いていく放射線治療や抗癌剤治療の苦しみに耐えて戦えるだろうか。 著者は、「GANTZ」の作者である奥浩哉のアシスタントを勤めていたマンガ家である。ある日、セックスを…
私がツイッターのアカウントを取得したのは2007年で、比較的早い時期だろうと思う。ただ、まだその頃はツイッターをやっている人が少なくて、一部の友人や例外的なユーザー以外にはフォローしたくなるようなアカウントもなく、その後はしばらくツイッターを…