タカラ~ムの本棚

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【書評】ペーター・シュタム「誰もいないホテルで」(新潮社)-美しい文章(美しい翻訳)に癒やされる

小説にはいろいろなタイプがあって、プロットの妙で読者を引きつける作品もあれば、キャラクターの魅力や会話の面白さでページをグイグイと読み進めてしまう作品もある。
 
文章が美しい小説というのも、さまざまに存在する小説のタイプのひとつだと思う。書かれていることは、意外と普通の、私たちが日常的に体験しているような話でも、文章の美しさがまるで違った世界であるかのように魅せてくれることもある。海外文学の場合は、翻訳の妙というのもあるだろう。
誰もいないホテルで (新潮クレスト・ブックス)

誰もいないホテルで (新潮クレスト・ブックス)

 

ペーター・シュタム「誰もいないホテルで」は、表題作を含む10編の作品が収められた短編集である。翻訳は、日本翻訳大賞の創設メンバーでもある松永美穂さん。