タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

【書評】ノヴァイオレット・ブラワヨ「あたらしい名前」(早川書房)-子どもたちの無邪気さというフィルターを通して描かれるジンバブエの現実。軽妙さが逆にその苛酷さを物語るような気がする。

ジンバブエは、アフリカ大陸の南部に位置する国である。周囲を南アフリカモザンビークザンビアボツワナと隣接している。

私を含め、日本人の多くはジンバブエという国のことをほとんど知らない。私がジンバブエについて唯一知っていることは、数年前にジンバブエが見舞われたハイパーインフレーションによって、“100兆ジンバブエ・ドル”紙幣が発行されたということくらいだ。

あたらしい名前 (早川書房)

あたらしい名前 (早川書房)

 
あたらしい名前

あたらしい名前

 

本書「あたらしい名前」の著者ノヴァイオレット・ブラワヨは、ジンバブエ生まれの女性作家である。彼女は、1981年にジンバブエに生まれ、アメリカに渡って創作を学び、2010年に本書の第1章になっている「ブタペスト襲撃」を発表して高い評価を得た。本書「あたらしい名前」は、2013年のブッカー賞候補に選出されている(受賞は逃している)。

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