タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

生藤由美絵・文「スイーツこねこ」(河出書房新社)-ねこたちのあの習性にはこんなあま~い秘密があったのです

東京・谷中にある〈ひるねこBOOKS〉で、2017年9月22日~10月5日に開催されていた「『スイーツこねこ』原画展」で購入した絵本です。

「スイーツこねこ」の著者の生藤由美さんは、「ねこノート」や「ゾッチャの日常」といったネコ漫画の第一人者です。

というのは、実は最近知りました。普段それほど熱心に少女漫画は読まない私は、生藤由美さんという漫画家の存在も、その作品もこれまでは全然知りませんでした。

 

生藤さんの存在を知ったのは、9月にブックポート大崎で開催された「棚マル『この本に惚れました!』フェア」がきっかけでした。

棚マルフェアの推薦本リストを紹介した私のツイートに、ねこさんぽさんがこんな引用リツイートをしてくれました。

 

ねこさんぽさんとは、ブックポート大崎で2月に開催された棚マルフェアのイベントアカウントで、中の人が生藤さんだったわけです。ちなみに、中の人の推し本は「暗渠マニアック!」で、この本が棚マルフェアを最高に盛り上げる1冊となりました。

生藤さんには、ブックポート大崎にも足を何回か運んでいただき、オフ会でレビュアーが集まっていた日には直接ご挨拶させていただくこともできました。

そんなご縁もありましたので、原画展が開かれていた〈ひるねこBOOKS〉さんに伺い、この絵本とグッズを買わせていただいたわけです。

本書のストーリーはこうです。

ある日、おかあさんねこはこねこたちに言います。「こねこのからだにはひみつがあるの」「ある日とつぜんヘンシンするの」

おかあさんねこの言った通り、ある日目を覚ましたこねこたちは、自分の身体があま~いスイーツにヘンシンしていることに気づきます。いちごのショートケーキにヘンシンしたこねこたちは、不安な気持ちでいっぱいです。でも、おかあさんねこはニコニコを笑うばかり。そのうちにお腹がすいてきたこねこは、生クリームをちょっと舐めてみました。あま~いクリームの美味しさで一口、もう一口。気づいたときには、こねこの背中はごっそりとえぐれていたのです。それでも、おかあさんねこはこねこたちに優しく言いました。「だいじょうぶ、あしたになったらもっとたのしくなるから。へいき、へいき」と。

描かれているこねこたちが本当にかわいいです。こねこの身体にショートケーキやモンブラン、タルトにチョコレートケーキが合体した姿は、まさに「食べてしまいたいほどのかわいさ」です。それと、喜んだり、悲しんだり、怖がったりしているこねこたちの表情もかわいい。「かわいい」しか表現が浮かばないくらいに「かわいい」です。

生藤さんの作品は、本書が初読み。ねこの習性をスイーツに絡めて描かれていて、絵もかわいいし、お話も途中はちょっとハラハラしますが最後にはほっこりできます。大人が癒される絵本だと思います。途中のこねこがスイーツにヘンシンした自分を舐めすぎて、身体がえぐれてしまうところが「ちょっとホラーっぽい」と感じたのですが、その辺りが、帯に書かれている、

甘くてちょっぴりビターなこねこの秘密のものがたり

という惹句の〈ビター〉なところなのかな。でも、怖いという感じではなく、「このあとどうなるの?」というハラハラの感じですね。

繰り返しになりますが、こねこたちが本当にかわいくて癒やされます。これからは、仕事で疲れているときとかにお気に入りのページを開いてこねこたちに癒やされようと思います。

【追記】
生藤さんも出演するイベントが、〈神楽坂ものがたり〉で11月4日に開催されます。イベントタイトルはズバリ「猫でめぐる暗渠」です。

www.honnonihohi.jp


イベント内容や参加申し込みは、〈神楽坂ものがたり〉のWebページでご確認ください。