タカラ~ムの本棚

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【書評】アントニオ・G・イトゥルベ「アウシュヴィッツの図書係」(集英社)ー《アウシュヴィッツ》という絶望の中で、《本》という希望を守り続けた図書係の少女

アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所という場所と、そこで行われていた残虐非道な行為と囚われたユダヤ人たちの絶望の日々については、改めてここで説明する必要はないと思う。毎日、誰かが命を失う。残された人たちは常に「次は自分」という恐怖と絶望に苛まれ、誰もが生きる希望を失っていく。

アウシュヴィッツの図書係

アウシュヴィッツの図書係

 

アントニオ・G・イトゥルベ「アウシュヴィッツ図書係」は、アウシュヴィッツ=ビルケナウ強制収容所に収容されていた実在の少女ディタ・クラウスの収容所における実際の経験をベースにしたフィクションである。

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