BOOKSHOP LOVERこと和氣正幸さんの2冊めの本は、赤坂にある双子のライオン堂で入手した。版元はエクスナレッジ。表紙に使われている京都の『恵文社一乗寺店』の写真からして、もう美しい。
前著「東京わざわざ行きたい街の本屋さん」とは全然違う雰囲気の一冊になっている。紹介されているのは、関東以西の各地域にある23軒の本屋さん(関東5軒、中部4軒、関西4軒、中国5軒、九州5軒)である。まだ新しい生まれたての本屋さんもあるし、熊本の『長崎次郎書店』のように創業140年の老舗の本屋さんもある。
店構えも規模も扱っている本のジャンルもそれぞれに個性的な23軒の本屋さんに共通しているのは、本を届けるということに対する店主の熱意やポリシーであり、足を運んでくれるお客さんへの愛情だと本書を読んで感じる。大規模書店の豊富な品揃えもネット書店のスピーディーな対応もそれぞれに良い。でも、ここに紹介されているような本屋さんと出会った時の感動や体験も素敵なんだと思えるのは、私が感じたような熱意や愛情があるからなのではないか。
「いらっしゃいませ」ではなく「こんにちは」と迎えてくれる店がある。
高い天井と明るい雰囲気にたくさんの本が並ぶ店がある。
ネコたちに囲まれてネコの本に浸れる店がある。
深夜のオアシスのように暗闇に灯りを照らす店がある。
月に2回だけ開く店がある。
日本一長い駅名の駅舎をつかって開く店がある。
23軒の店には23人(それ以上)の店主がいて、23の個性的な店構えがあって、それぞれに違ってそれぞれに楽しい世界が広がっている。
一冊一冊本やその並び、背表紙の手触り、
流れるBGM、漂ってくる匂い。
その場所でしかできない体験をしている感覚。
だから本屋めぐりはやめられない。
表紙扉の折返しに記されたこの言葉が、本好き・本屋好きの気持ちをすべて言い表していると思う。もちろん私も同じ気持ちだ。この本を手にとって、この言葉を読んだ瞬間に、「この本は買わなきゃいけない本だ」と直感するだろう。じっくりと読んでみたくなる本だと思う。
前述したように、本書には関東以西の地域にある本屋さんが掲載されている。北海道や東北、北陸の本屋さんはない。四国の本屋さんも未掲載だ。これらの地域にも、まだまだ私たちが知らない素敵な本屋さんがたくさんあるに違いない。本書が刊行されたばかりで気が早いけれど、今回は掲載されなかった地域の本屋さんを紹介する続編を期待したい。