タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

和氣正幸「東京わざわざ行きたい街の本屋さん」(G.B.)-「こんなお店があるんだ!」と驚き、紹介されているすべてのお店を訪ね歩きたくなる。本屋好きが作った本屋好きのためのガイドブック

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和氣さんとは、私も登録している書評コミュニティサイト「本が好き!」の運営を担当していることもあり、ネット上はもちろん、リアルの世界でも何回かお会いしたことがある。その和氣さんから、「今度本を出すことになった」という話を聞いたのは、4月末にお会いしたときだったと記憶している。

あれからおよそ2ヶ月、待望の著書が刊行された。本書「東京わざわざ行きたい街の本屋さん」である。

 

本書は、和氣さんが自らの足で訪ね歩いて取材した東京各所にある様々な本屋さんを紹介したガイドブックである。街を4つのカテゴリにジャンル分けし、全部で130軒の本屋さんが紹介されている。

【Category01】数多くの本屋が集う~愛書家の街
【Category02】こだわりの本屋に出合える~好奇心の街
【Category03】スタイリッシュな本屋が並ぶ~文化の街
【Category04】意外な場所に本屋がある~発見の街

取りあげられている街は、

【Category01】荻窪西荻窪谷中・根津・千駄木、下北沢
【Category02】高円寺・阿佐ヶ谷・中野、吉祥寺・三鷹清澄白河、池袋、神保町
【Category03】表参道、明治神宮前、代々木八幡、渋谷、恵比寿、その他
【Category04】新宿、神楽坂、銀座・有楽町、その他

というラインナップになっている。

130軒の本屋さんは、新刊書店もあれば古書店もある(両方を兼ねている店もけっこう多い)。また、店内で飲食物を提供するブックカフェも多数紹介されている。どれも個性的で魅力的なお店で、「行ってみたい」と思ったお店のページに付箋をつけながら読み進めていたのだが、20ページも読まないうちにほとんどすべてのお店に付箋を貼る結果になってしまったので、途中で貼るのは止めてしまった。

それでも気になった本屋さんをいくつかあげてみたい。

まず荻窪にある〈Title〉。元リブロ池袋で人文書の棚作りを担当していたという店主辻山さんが開いたお店である。〈Title〉については、以前からネットで知っていて気になる書店だったのだが、本書でその店構えや店内の様子などを見て、行ってみたいお店になった。

吉祥寺にある古書店〈百年〉も、以前から気になっていたお店で、やはり本書でお店の様子を見て実際に行ってみたいと思った1軒。“著者によるトークイベント”開催の先陣を切った店というのを初めて知って「へぇ~」と感心した。

カテゴリの中での紹介ではなく、【不思議な本屋】と題したコラムのひとつとして紹介されている無人の本屋さん〈BOOK ROAD〉も気になるお店である。24時間無人で営業しているというのがまず驚きで、金額に応じたガチャガチャでお金を払うというシステムも斬新だ。盗難の心配はないのかと不安になるが、案外平気というのも驚く。

その他、赤坂にある〈双子のライオン堂〉清澄白河にある〈古書ドリス〉、ブックカフェだと駒場東大前の日本近代文学館にある〈BUNDAN COFFEE & BEER〉、渋谷の〈写真集食堂めぐたま〉にそそられる。

もちろん、その他の本屋さんも気になる店ばかりで、本書に紹介されている130軒は全部行ってみたい店だ。

本書は、最初のページからじっくりと読み進めていくのも楽しいが、それよりは目次ページで気になる街や気になる本屋を見つけて、そのお店の紹介ページを読むのが楽しい。そして、きっとそれ以上に本書を楽しむ方法は、この本をカバンに入れて実際に街へ出てみることだ。初めて訪れる街の駅に降り立って、おもむろに本書を開き、目指すべき本屋さんへの道をたどる。目的の店まで歩く間に胸の奥から湧き上がってくるワクワクした気持ちと、見知らぬ街の見知らぬ風景が渾然一体となって、きっと楽しい街歩きになるはずだ。そして、訪れた本屋さんでゆっくりと棚を眺め、気になる本を手に取り、気に入ったら買う。カフェスペースのあるお店なら、自慢のコーヒーと一緒に買ったばかりの本を開く喜びもその場で味わえる。

そんな休日の過ごし方。きっと素敵な一日になると思う。