タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

讃岐うどんブームの火付け役麺通団団長の「うどんめぐり指南」という体裁のバカ話(笑)-田尾和俊「超麺通団~讃岐うどんめぐり指南の書」

麺類が好き。中でもうどんが好き、という話は以前にも書いたかと思うけど、ここでもう一度繰り返しておきたい。

「うどんが好きです!」

さて、世の中にはいろいろな「三大○○」というのがあると、「マツコ・有吉の怒り新党」でも言っているように、うどんにも「日本三大うどん」なるものがあるらしい。それは、

 ①東北・秋田の稲庭うどん
 ②北関東・群馬の水沢うどん
 ③四国・香川の讃岐うどん

なのだそうだ。まぁ、いろいろと異論もあるやもしれないが、ここはそういうことでいかせてください。

なかでも、四国・香川の讃岐うどんは、誰もが認める日本を代表するうどんであろう。日本で1番目だか2番目だかに面積の狭い香川県にあって、うどん店の数は800軒以上もあり、

「香川のうどん屋は、コンビニの数より多い」
「香川のうどん屋は、信号の数より多い」
「香川のうどん屋は、電柱の数より多い」

などという都市伝説まで飛び交っていたほどなのだ。ちなみに、これらの真偽の程であるが、香川県内の主要コンビニチェーンの店舗数は約400店舗ほど(2015年3月末データ。出典元:コンビニエンスストア(都道府県データランキング))というデータがあるので、明らかにうどん店の方が数が多い。信号と電柱については、「いくら香川県が狭くても、信号や電柱がそこまで少ない訳はない」ので、まぁシャレですわな。

さて(2回目)、いまや「うどんを食べるためだけ」に全国から人が集まるようになった香川県であるが、そのきっかけを作ったのは、地元香川のタウン誌「タウン情報かがわ」に連載されたコラム「ゲリラうどん通ごっこ」である。それまで、地元民ですら気づかなかった(というか気にしていなかった)香川のうどん店、中でも製麺所型のうどん店の怪しい面白さに着目し、県内にある怪しいうどん店を紹介したことで、まず県内から火が付き、その連載が「恐るべきさぬきうどん」として書籍化され、全国に展開したことで県外客にも讃岐うどんの面白さが浸透してブームへと発展したのである。

その「ゲリラうどん通ごっこ」の連載を執筆していたのが、「タウン情報かがわ」編集長でもあった田尾和俊氏なのである。

ようやく話が本の方に戻ってきたぞ。

超麺通団 讃岐うどんめぐり指南の書 (西日本文庫)

超麺通団 讃岐うどんめぐり指南の書 (西日本文庫)

 

さて(3回目)、本書「超麺通団」は、讃岐うどんをネタにして田尾氏が彼独特のセンスによってバカ話を展開する、役に立つんだか立たないんだか微妙な感じの「讃岐うどん店めぐり指南書」である。

紹介されている店、県外からの初心者にオススメするうどん店めぐりコースの提案など、ひとつひとつのコンテンツに込められている情報は至って真面目なものである。しかし、ただただ真面目に情報だけをお伝えするのでは、麺通団としての矜持にもとると、とにかく話は脱線していく。この脱線の具合が、田尾和俊氏の一連の著作の醍醐味だったりするのである。

ところで(初)、本書は2002年に出版された単行本を一部加筆修正して文庫化したものである。そのため、本書で紹介されているうどん店の中には、既に閉店している店もあったりするし、場所を移転した店もある。

本書に登場する店は、いずれも讃岐うどんブームの中で牽引役となった店であり、ブームが落ち着いて以降現在に至るまで人気は衰えていない。土日やゴールデンウィークなどの休日になれば、一杯200円くらいのうどんを求めて、1時間とか2時間の長い行列ができる。

どうして、たかだか数百円のうどんのために、遠い県外から客が集まり、何時間も行列をつくるのだろう。本書では、その状況を、

香川県讃岐うどんのテーマパークだ」

と書いている。それってどういうこと? と思ったなら、本書や「恐るべきさぬきうどん」を読んでみるといい。私が、讃岐うどん欲に開眼したように、もしかすると読んだ皆さんの心の扉が開くかもしれませんよ。

恐るべきさぬきうどん―麺地創造の巻 (新潮文庫)

恐るべきさぬきうどん―麺地創造の巻 (新潮文庫)

 
恐るべきさぬきうどん─麺地創造の巻─

恐るべきさぬきうどん─麺地創造の巻─

 
恐るべきさぬきうどん―麺地巡礼の巻 (新潮文庫)

恐るべきさぬきうどん―麺地巡礼の巻 (新潮文庫)

 
恐るべきさぬきうどん─麺地巡礼の巻─

恐るべきさぬきうどん─麺地巡礼の巻─