タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ 願いをかなえる呪文」クリス・コルファー/田内志文訳/平凡社-双子の兄弟アレックスとコナーが、12歳の誕生日におばあちゃんからもらったのは『ランド・オブ・ストーリーズ』という不思議な本でした

 

 

「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ 願いをかなえる呪文」は、白雪姫やシンデレラ、赤ずきんラプンツェル、眠りの森の美女といったおとぎ話のその後の世界に迷い込んでしまった双子の兄妹が、元の世界に戻るための『願いをかなえる呪文』を手に入れるために大冒険を繰り広げるファンタジーです。

アレックスとコナーは、双子の兄妹だけど性格は正反対。アレックスは本が大好きで勉強もできる優等生、コナーは授業中に居眠りばかりの問題児です。

ふたりは、通りをわたった小さな家にお母さんと暮らしています。お父さんは、ふたりが11歳の誕生日をむかえる少し前に交通事故で死んでしまったからです。お父さんは、いつもふたりにたくさんのお話を聞かせてくれました。ふたりは、そんなお父さんが大好きでした。

ふたりが12歳の誕生日を迎えた日のことです。その日は、いつも世界中を飛び回っているおばあちゃんがふたりの家をサプライズで訪ねてきてくれて、ふたりにたくさんのプレゼントをくれました。その中にあったのが『ランド・オブ・ストーリーズ』という本だったのです。

『ランド・オブ・ストーリーズ』は、とても不思議な本でした。なぜなら、ときどき音をたてたり、光を放ったりするのです。そしてなにより、開いた本のページに投げ入れた物を全部飲み込んでしまうのです。

アレックスは、本の不思議を知ってからずっと考えていました。この本の中に入ったらどうなるんだろうと。そして、彼女はついに本の中に足を踏み入れます。妹の身を案じたコナーも一緒に本の中に入り込んでしまいました。そこから、兄妹の大冒険が始まるのです。

子どもの頃に読んだたくさんのおとぎ話、「白雪姫」「シンデレラ」「塔の上のラプンツェル」「眠りの森の美女」「人魚姫」などなど、どれもたくさんの子どもたちの愛され、記憶に刻まれている物語だと思います。ディズニー映画にもなっていますから、物語を知らない人はいないのではないでしょうか。

『ランド・オブ・ストーリーズ』の世界に入り込んでしまったアレックスとコナー。ふたりが落っこちたのは『ドワーフの森』と呼ばれる場所でした。ふたりはそこで、フロッギーというカエル男と出会い、『願いをかなえる呪文』のことを知ります。フロッギーが渡してくれた日記には、呪文を手に入れるために必要な8つのアイテムが記されていました。

こうしてふたりは、元の世界に戻るための『願いをかなえる呪文』を手に入れるためのアイテムを探すため、『ランド・オブ・ザ・ストーリーズ』の世界を旅することになったのです。

ラプンツェルの塔』がそびえる『すみっこ王国』
シンデレラ王妃が暮らす『チャーミング王国』
赤ずきん女王が治める『赤ずきん王国』
白雪姫王妃が暮らす『ノーザン王国』
眠れる美女が治める『眠れる王国』

他にも、妖精たちが暮らす『妖精の王国』や人魚たちが暮らす『人魚の入り江』もあります。悪いトロルやゴブリンに捕まりそうになったり、お菓子の家の魔女に食べられそうになったり、ふたりの旅はけっして順風ではありません。

さらに、『ランド・オブ・ザ・ストーリーズ』の世界では大変なことが起こります。ノーザン王国の地下牢から、白雪姫の継母である悪の女王が脱走したのです。悪の女王も、彼女のある目的をかなえるために『願いをかなえる呪文』を必要としていました。悪の女王は、赤ずきんの命を狙うおおかみたちと取引して、双子の行方を追いかけます。

私たちが子どもの頃に読んだおとぎ話は、最後に主人公が幸せを掴み、悪者は懲らしめられて「めでたしめでたし」で終わっていました。でも、子どもながらに「この先、このお話はどうなっていくんだろう?」と考えたことがあります。素敵な王子さまと結ばれた白雪姫やシンデレラは、その後どんな王妃さまになったのだろう。「3びきのくま」でくまの家を荒らしてしまった女の子(ゴルディロックス)は、どんな女性に成長したのだろう。

この本には、おとぎ話の登場人物たちのその後の姿が描かれています。幸せな暮らしを続けているものもいれば、なぜかおたずね者になっているものもいます。ひとりひとりが、それぞれのその後を生きているのです。

アレックスとコナーは、さまざまな苦難を、多くの人たちの助けを借りながら乗り越えていきます。果たしてふたりは、『願いをかなえる呪文』を手に入れて元の世界に戻ることができるでしょうか。なぜふたりは、不思議な本『ランド・オブ・ザ・ストーリーズ』の世界に入ってしまったのでしょうか。そのすべてが明らかになったときには、きっと大きな驚きがあると思います。

著者のクリス・コルファーは、テレビドラマ「glee」に出演していた俳優なのだそうです。本書は映画化が決定していて、著者自身が脚本と監督をするのだとか。また、「ザ・ランド・オブ・ストーリーズ」は本書を第1巻として、全6巻のシリーズになっています。第2巻以降もアレックスとコナーの双子兄妹が活躍するシリーズになっているみたいです。おとぎ話が好きな人、ファンタジーが好きな人にオススメします!