タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

友田とん「パリのガイドブックで東京の町を闊歩する1 まだ歩きださない」(代わりに読む人)-「『百年の孤独』をか代わりに読む」の友田とん、今度はパリのガイドブックで東京を歩く!?

 

パリのガイドブックで東京の町を闊歩する: まだ歩きださない (1)

パリのガイドブックで東京の町を闊歩する: まだ歩きださない (1)

 

 

「『百年の孤独』を代わりに読む」という、なんとも興味をそそられるタイトル自費出版本で私の心を惹きつけた友田とんさんが新刊を出した。しかも、今回はご自身で出版レーベル(その名も『代わりに読む人』!)まで立ち上げたとのこと。新刊のタイトルは「パリのガイドブックで東京の町を闊歩する1 まだ歩きださない」である。

パリのガイドブックで東京の町を歩く?
でも、まだ歩きださない?

タイトルだけで、これほど読者の興味をそそる本があるだろうか? 「『百年の孤独』を代わりに読む」もそうだったが、ネットや店頭で見たときに「おぉ!」と思わず唸ってしまう本がある。友田さんの本は、まさにそういう本だ。

しかし、タイトルで興味をそそる本は、一方で危険な本でもある。というのは、タイトルが秀逸すぎて、中身でガッカリすることが少なくないからだ。過去に何度もそういう経験をしてきた。

友田さんの場合、前作が期待に違わず内容も抜群に面白かったので、今回も大丈夫と安心して読んだ。ちゃんと期待にこたえてくれていた。

本書がどういうジャンルのどういうタイプの本なのかを説明するのは、なかなかに難しい。そもそも、「パリのガイドブックで東京の町を闊歩する」とはなんなのか。東京の町を紹介する『街歩きガイドブック』になるのか。であれば、『パリのガイドブックで』とはどういう意味なのか。

読み始めるまでに、どういう疑問が頭の中をグルグルと渦巻くに違いない。あまりに訳がわからなすぎて、歩きださないどころか読みださないなんて人もいるかもしれない。

「『百年の孤独』を代わり読む」で友田さんは、「百年の孤独」を読み始めるときにふたつのことをなんとなく決めた。

・冗談として読むこと
・とにかく脱線すること

その、なんとなく決めたポリシーが本書にも受け継がれている。「パリのガイドブックで東京の町を闊歩する」という、友田さんの脳裏に唐突に湧き上がった啓示に、彼はなんらかのときめきを感じた。Spark Joyしちゃったわけである。

パリのガイドブックで東京を歩くにあたってのルールをまずふたつ決めた。

ルール1:東京のガイドブックには頼らない
ルール2:パリのガイドブックは読む

さらに、その後に3つめのルールが追加される。

ルール3:フレンチトーストは好き

いやいや、なんだそのルールはよくわからんぞ。と思われたかもしれない。詳しく説明したいところだが、本書は50ページにも満たない短い作品なのだ。細かくレビューしていたら、ほとんど書き写しみたいになってしまう。気になる方はぜひ書店で買って読んでください。

サブタイトルにあるように、友田さんの東京の町を闊歩する物語はまだまだスタートラインに立ったばかりだ。フレンチトーストとカレーを求め歩いたように、これから友田さんはいろいろな何を求めて東京の町を闊歩し続けていくのだろう。

「パリのガイドブックで東京の町を闊歩する2」は、今年の秋の刊行予定とのこと。時代が平成から令和にかわる歴史的な転換点において、友田さんの旅がどのような展開をみせていくのか気になる。第2巻がでるまでの間、私もフレンチトーストとカレーを目当てに町に出てみようかと思っている。

 

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