タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

イアン・フレミング作、ジョン・バーニンガム絵/こだまともこ訳「チキチキバンバン〈3〉ギャングなんかこわくない」(あすなろ書房)-ギャング一味がせまりくる!ポットさん一家とチキチキバンバンの運命やいかに!?

「チキチキバンバン〈1〉チキチキバンバンはまほうの車」「チキチキバンバン〈2〉海辺の大ぼうけん」と続いたポットさん一家とチキチキバンバンの物語もいよいよクライマックス!前巻で悪名高いギャング『怪物ジョー』の一味から恨みを買い、狙われることになってしまったポットさん一家とチキチキバンバンの運命はいかに!?

 

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ということで第3巻です。前巻のラストで、ギャングたちの目をごまかし、カレーのホテルにたどりついたポットさん一家。その夜は美味しいディナーにふかふかのベッドでゆっくり休むことにしました。

しかし、ギャングたちはポットさんたちが泊まっているホテルをつきとめて、夜中にジェマイマとジェイミーを誘拐してしまいます。

でも、ここでまたまたチキチキバンバンのまほうです。気配を察知した彼女は、ひみつのレーダーをつかってギャングたちの隠れ家を突き止めます。

ギャングたちが子どもたちを誘拐したのは、世界一有名なチョコレート屋『ル・ボンボン』の金庫から大金を盗む手伝いをさせるためでした。ジェマイマとジェイミーは、どうにかその計画をじゃましてやろうと知恵をめぐらせます。

さて、朝になって子どもたちが誘拐されたことに気づいたポットさんは、チキチキバンバンがまほうのレーダーで突き止めていた隠れ家に向かい猛スピードで走り出します。

そのころギャングたちは、『ル・ボンボン』に向かっていました。いよいよ計画の実行です。ところがそれは、ジェマイマとジェイミーの機転によって未然に防がれます。あわてて逃げ出したところへかけつけたのがチキチキバンバン。ドーンと体当たりでギャングたちをやっつけ、彼らは捕まったのです。

『ル・ボンボン』の店主ムッシュー・ボンボンは、ポットさん一家に大感謝です。どのくらいの感謝かといえば、秘伝のお菓子の作り方まで教えてくれるほど。それってすごいことです。

こうして、ポットさん一家とチキチキバンバンの大ぼうけんは幕を下ろします。とっても痛快な物語でした。

本作の著者イアン・フレミングは、第1巻で紹介したように『007シリーズ』を書いた作家です。本作は、彼が自分の息子キャスパーのために書いたフレミングの作品の中で唯一の児童文学です。

児童文学と言いつつもその内容は、ジェームズ・ボンドを生み出したスパイ冒険小説の第一人者らしい、なんともマニアックなギミックで溢れています。なにより、本作の主人公ともいえるチキチキバンバンが次々とくりだすギミックは、まさにまほうです。変形して空を飛べるようになったり、ホバークラフトになって海の上をスイスイ進んだり、車としてもビューンと猛スピードで走れる。007シリーズには『ボンドカー』とよばれる改造車が次々と登場しますが、フレミング自身がそういうメカニカルなものが好きだったんでしょうね。

007シリーズのイメージしかなかったイアン・フレミングですが、たった一作とはいえ、チキチキバンバンという冒険ファンタジー小説を遺し、それが映画化され、今でもこうして読まれ続けている。とてもステキなことですね。