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— 亀石みゆき (@mkameishi) December 21, 2018
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今回レビューする「CINEMA TALK」と「映画の中の女たち」は、イラスレーターの亀石みゆきさんによる映画感想をまとめたZINEです。
「CINEMA TALK Vol.1 《特集》児童文学と映画」
「CINEMA TALK Vol.2 《特集》女の友情と映画」
「映画の中の女たち」
こちらの3作について、まとめて感想を書いていきます。
著者の亀石さんがイラストレーターということで、映画の登場人物やアイテムがイラストで紹介されているのですが、これがなんとも心地の良いタッチのイラストで、見ていて優しい気持ちになります。私は絵心がまったくないので、画風がどうとか、上手か下手かという話は一切できませんが、亀石さんのイラストはいつまでも見ていられる味わいがあると感じます。
イラストも素敵なのですが、私が読んでいて思わず「おぉ」と思ったのは亀石さんの文章の巧みさです。
たとえば、「映画の中の女たち」の「かもめ食堂」の感想はこういう具合に始まります。
出会ってからすぐに意気投合して「~ちゃん」なんて下の名前で呼び合うようになるような関係は少女時代に戻ったみたいですごく楽しかったりしますが、経験上、そのような関係は往々にして崩壊するのもまた早いように思います。
すぐに意気投合できると楽しい、とあげておいて、でも壊れるのも早いよね、と突き放す。この書き出しを読んで、この感想の先の展開や「かもめ食堂」という映画のことが気にならない読者はいないのではないでしょうか。
同じ「映画の中の女たち」にある「サヨナラCOLOR」の感想では、ヒロインである原田知世について、
「原田知世は女友達がいなさそうな役がよく似合うなぁ」と思います。
と書いています。私には原田知世に対するこういう視点がありませんでした。相手は女優なので、役柄によって受け取る印象が違ったり変わったりはあると思いますが、「女友達がいなさそう」というイメージはなかなか浮かばないように思います。
亀石さんが書く文章には、読んでいて「へぇ」とか「ほぉ」と思わせるところがあります。
その映画を観たことがあるよ、という人が読むと「そうそう」と共感するところがあれば、「そういう見方もあるのか!」と新しい魅力に気づかせてくれるところもあります。
まだ観たことのない映画なら、自分ならどう感じるだろう、どんな見方になるだろうと気になって、その映画を観てみたくなります。
「CINEMA TALK Vol.2」で取り上げている「リップヴァンウィンクルの花嫁」の感想では、亀石さんの体験談として『探偵』と思しき人物から「絶対に振り向いてはいけません。あなた、ストーカーから狙われてますよ」と声をかけられたエピソードから始まります。この入り方がうまいと思うのです。思わず「え、どういうこと?」と気になって読み進め、そこから映画の登場人物に話をつないでいく。あとは最後まで一気読みです。
もちろん、すべての文章が手練れていて上手という訳ではありません。ですが、いくつかある文章の中に少しでも気を惹く表現や気になるエピソードがあることで、全体が魅力的に感じてしまうのと、イラストの存在感もあって、読者は映画に対するイメージを描きやすくなっています。イラストと文章が互いを補完していることが亀石さんのZINEの魅力なんだと思うのです。
このZINEを取り扱っている本屋さんは、亀石さんのTwitterで確認することができます。また、亀石さんのホームページやブログでも、ZINEに掲載されている内容を確認することができます。
面白いので、読んでみてほしいです。