タカラ~ムの本棚

読んだ本の感想などをボチボチと綴るブログ

ジョーン・G・ロビンソン作・絵/小宮由訳「メリーメリーおとまりにでかける」(岩波書店)-まだ小さい女の子メリーメリーは、いつだって好奇心いっぱい。

 

メリーメリー おとまりにでかける

メリーメリー おとまりにでかける

 

 

メリーメリーはまだ小さい女の子。五人きょうだいの末っ子で、一番上はお姉ちゃんのミリアム、二番めはお兄ちゃんのマーチン、三番めのお兄ちゃんはマービンで、四番めのおねえちゃんがメグです。

メリーメリーの本当の名前はメリーなのですが、お姉ちゃんやお兄ちゃんが赤ちゃん扱いして、いつの間にか「メリーメリー」と呼ばれるようになりました。お姉ちゃんもお兄ちゃんもメリーメリーよりずっと大きいからなんでも知ってます。だからいつも、まだ小さくていろんなことがよくわからないメリーメリーにいいます。

「そんなふうにしちゃだめ、メリーメリー!こうするの!」
「そっちにいっちゃだめ、メリーメリー!こっちにおいで!」

でも、メリーメリーは自分でやりたいからこういいます。

「いや。あたしのやりかたでする!」
「いや。あたしは、あっちにいく!」

好奇心いっぱいのメリーメリーは、いつだってお姉ちゃんやお兄ちゃんと遊びたいし、同じようにお出かけしたり、なにかを作ったりしてみたいと思っています。でも、お姉ちゃんもお兄ちゃんも、まだ小さいメリーメリーには「だめ!」というんです。だけど、メリーメリーの好奇心は簡単にはおさまったりしません。

塀の上からおとなりの庭をのぞきこんで、越してきたばかりのサマーズさんにお呼ばれしちゃったり(「メリーメリーおきゃくさんになる」)、荷馬車の下をのぞきこんでるバセットさんにたのまれてネコをさがし、ちゃっかりチョコレート・サンデーをごちそうしてもらったり(「メリーメリーおこづかいをかせぐ」)、お父さんとお母さんの結婚記念日のお祝いに作っていた小麦粉のお団子が、素敵なキャンドルホルダーに役立ったり(「メリーメリーのおりょうり」)、家の前の大きなゴミ箱からみつけた古いけどすてきなハンドバッグを大事につかったり(「メリーメリーのハンドバッグ」)。

そして最後には、ティーポットのカバーを頭に乗せて、お母さんのハイヒールを履き、大事な古いハンドバッグをもって、バセットさんのおうちにおとまりにもいっちゃうのです(「メリーメリーおとまりにでかける」)

メリーメリーの行動は、子どもらしい愛くるしさがあります。お姉ちゃんもお兄ちゃんも、メリーメリーを叱ったり、邪魔ものみたいにあつかったりすることもあるけど、メリーメリーがきらいなわけではありません。むしろ、一番末っ子のメリーメリーは、家族のみんなに愛されていて、家族のみんなに守られています。

そんな家族に囲まれているから、メリーメリーはいつも自由にいろんなことができるのです。

メリーメリーはわがままな子なんでしょうか?
メリーメリーはみんなに迷惑な子なんでしょうか?

たしかに、メリーメリーがやってることはわがままだし迷惑なことです。でも、子どもってわがままで迷惑をかける存在だから、可愛くて愛しいんじゃないですか? ましてや自分の子どもだったり、自分の弟や妹だったりしたら、「もう、しょうがないな~」ってちょっとイラッとしちゃっても、すぐに許せちゃうんじゃないですか?

なんか最近、電車で子どもの泣き声がうるさいとか、保育園や幼稚園の子どもの声を騒音だといって抗議したりする人がいるという話をニュースでみたりします。でもね、赤ちゃんが泣くのは当たり前だし、子どもが元気に遊べるのは、その場所が安心できる場所だからなんじゃないかと思うんですよ。

赤ちゃんの泣き声も、子どもの笑い声も聞こえないような世界なんて、怖くてイヤだなぁ。この本を読んで、レビューを書きながら、そんなことを考えたのでした。

 

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メリーメリーおとまりにでかける [ ジョーン・G・ロビンソン ]